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アートの新しい地平線を切り開く「STUDIO Gallery: NOMA」:大地さんに聞く(2)

鈴木崇弘政策研究者、PHP総研特任フェロー
「STUDIO Gallery: NOMA」イメージ画像 写真:同所提供

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「STUDIO Gallery:NOMA」の全体像把握の方法について

S:なるほど。そういうことですか。面白いです。ありがとうございます。

 それで、まだ完全には分かっていませんが、大体のことがわかってきたような気がしてきているのですが、ホームページなどを見ても、いまいち「STUDIO Gallery:NOMA」の完全な全体像をなかなか把握できないのですが、どこをどのように見たり、関わったらそれが分かるようになりますか。

大地さん:ありがとうございます。わからないのがミソといえばミソです。

S:やはりそうですか。

大地さん:そうです。たとえば完成した映画や、完成しているブランドなどであったら、もう入る余地がありません。映画の場合、映画の制作発表などがされるときはほぼスポンサーの席は全て埋まっていますし、制作陣も全て埋まっている状態です。発表されるときには、映画製作委員会(注1)などがすでにつくられていて、そういう日本のクリエーティブにおけるヒエラルキーのようなものを、ユーザーや一アーティストたちは突破できません。

 その結果なのですが、完成品に至る前のバリューが付いていない過程が公開されるということはこれまでなかったのです。しかし、その過程にバリューが集まっているこの空間は、ほぼ奇跡だと思っています。これだけの状況と施設、この時代と若い世代から業界の大御所たちまでが集まってきているこの空間の意味や役割を、ホームページ上などでどうわかっていただいたらいいのかということに関して、僕はそれをうまく知っていただく術(すべ)を知りません。

S:そうなのですね。

大地さん:だから、もう信じてくれてということでしょうか。信じられる要素はありますからね。

S:面白いと感じてくれる、面白いことがあるのではないかと感じられるというのが重要なのでしょうか。

大地さん:そうですね。僕も背伸びしてここにいる人間なので、GINZA SIXという場所や、国際映画などのようなすごそうだなというプロジェクトや、ブロックチェーンのプロジェクトなど、すごいことをやっているなと、感じていただけたらと思います。この活動や動きをやっているのは全く同じ人間なので、同じ土俵に乗ってきてもらいたいと思うわけです。

 たとえば奥で作業しているデザイナーさんも、ある日ふと来た方で、こういうことをやっていますという話になって、ではやっていただこうとなって、早速あそこのデスクでお仕事をされているという状況なので。ジョイントするというのが一番の関わり方ですし、この空間を理解できるのではないでしょうか。

S:それこそが、この空間のキーワードですね。

大地さん:そうですね。

S:今まで本当にエンターテインメントやアートは、基本的には僕ら、一般の者は消費者でした。そして、創るほうなり、アーティストさんは提供するだけで、なかなかそこの接点がうまくなかったのが現実ですね。他方で、AKB48(注2)などのアイドル育成・成長に普通のファンが参加していくことというのは、消費と参加の両方が味わえるわけです。ある意味では、エンターテインメントやアートでももっとそれをやろうという感じなのでしょうか。

大地さん:そのような感じだといえるかもしれません。

S:参加型アートなり、参加型エンターテインメントというものでしょうか。

大地さん:そうですね。言葉にしてしまうと、ちょっと安っぽい感じですが。

S:そうですね。そうだけれども、普通の人には分かりやすいです。

大地さん:確かにそうですね。GINZA SIXさんの他のテナントとの対比で見ると、すごくわかりやすいかもしれません。それらはやはり完成された外資系の企業さんの文化がほとんどだと思います。この空間はそれら(文化など)をつくっていく工場のような感じで思ってもらうといいかもしれません。

 たとえば、今ここでは『THE RHETORIC STAR』(注3)という国際映画がまさに製造中です。では、それをつくる人たちは誰かといったら、EDLEAD社という映画会社をはじめとするハリウッドの映画制作チームと、それから日本ではメジャーのCMを、400社500本以上の制作実績を持つ映画監督TAICHIさん(注4)という方を含めた制作チームです。それをマーケティングするのはブロックチェーン、仮想通貨メディアでは日本で一番、世界3位のCoinPost社(注5)が参加されたチームです。

国際映画「THE RHETORIC STAR(レトリックスター)」の事業計画発表会での映画監督TAICHIさんらの鼎談会 写真:筆者撮影
国際映画「THE RHETORIC STAR(レトリックスター)」の事業計画発表会での映画監督TAICHIさんらの鼎談会 写真:筆者撮影

 『OPUS1895』(注6)という連載アニメーション映画もここで製造されています。それは、例えば『鬼滅の刃』や『ポケットモンスター』などの作画監督を務めたり、あとは、最近もアカデミー賞の優秀アニメーション賞を受賞された『アイの歌声を聴かせて』の作画監督をされて、オリンピック2021の公式アニメーションも描かれている、GOZ:郷津春奈さん(注7)というアニメーターの方です。この方は、僕のギャラリーの方で昨年初個展した際には、世界のトップギャラリーに仲間入りするほどの実績を出し、かつNFTを初発表した際には2日間で、Foundation(ファンデーション)(注8)というアート専門のNFTのプラットフォームにおいて日本一および世界一を獲得しました。そのような布陣で創っていくようになっているのです。

 また、あちらでは興味深いミニチュアセットが制作中です。あれはアニメーションの背景になるセットを作成しています。ウルトラマンやゴジラなどのセットなども制作されて、その過程すらここで公開しながら、それを配信したりします。

ここでは、それ以外にもいろいろな企画も生まれてきています。たとえば声優さんたちのチャレンジなどです。声優さんの名前は、近日公開なのですが、大御所の方々もジョイントされます。学生、プロやアマを含めて、コンテストなども行われ、大御所が審査に加わったりして、当スタジオギャラリーで制作中の国際アニメーション映画でも、アニメーターや声優の大御所と一緒に国際デビューしていく、などになってきています。

 今日もちらっとみえていましたが、世界的ダンサーもジョイントしていったりなど、そのような大御所やトップから、これからのチャレンジャーがそこに関わります。そのような、アーティストが往来する場所には、カンパニーバリューがすごくつくので、協賛企業さんからしてもすごく面白い場所になっていると思います。そのような感じです。

S:まさにプラットフォームのような感じですね。

大地さん:そうですね。

S:制作過程を見せるというのは、言葉としてはすごくよく分かりますが、現実にどのような形で楽しむのかという点に関してのイメージが湧きません。

大地さん:アミューズメントパークではないですね。アミューズメントパークだと、お金を払って滞在時間、たとえば3時間や4時間を思い切り楽しんで、帰ってその話をする、そしてまた、別の友達を連れて、行ってというような感じだと思います。

 ここはもう少しロングスパンかもしれません。ここに来て触れることは、まさにアミューズメントパークなどをつくっている人側の戦いの「議事録」のようなものです。ここではその「議事録」を公開しているのです。作品などのクリエィティビティの過程に関する「議事録」を公開していて、とても面白いのです。長いスパンでみてほしいです。

S:基本的にはその「議事録」はここに来て見ることですか。それとも、オンラインか何かでも、いろいろな議論などが流れるのでしょうか。

大地さん:今、それが作品としてはドキュメンタリー映画になります。それと、今オンラインプラットフォームをつくっていくという企業さんが、主に大手企業さんたちが入るオンラインプラットフォームでそれをつくっていこうという話も進んでいます。このように、今日の段階で話せる話と、1週間後にしっかり公式でローンチできる話とが現在進行形で進んでいるのです。

S:いろいろあって、素晴らしいですね。

「STUDIO Gallery:NOMA」の楽しみ方などについて

大地さん:この進み方がとてもリアルではないですか。完成品や完成施設だけみても、なぜその作品が生まれたのか、なぜあのアミューズメントパークが生まれたのかが分かりません。ただ、ここではそれがわかるのです。

S:おっしゃりたいことはすごく分かります。僕らは普段は結果、完成品しかみていませんから。

大地さん:そうですね。業界内でいうと、このパネルはどうなっているのだろう、裏を見てみたいなどのようなことです。

S:ここであれば、そこまでをわたしたちは楽しめるということですね。普段はそういうバックグラウンドの部分はよくわかりませんね。逆にいうと、その辺りがプロセスに関わったりすることによって、楽しむことができるようになるのでしょうか。

大地さん:ギャラリストは、事業家目線の言葉や企業家の戦略的頭と、アーティスト的クリエーティブな判断のできる頭の両方をもっている。そのために、この空間のような発想ができるとわけです。

S:まさに大地さんはその両方を持っています。正にその両者の通訳ですよね。

大地さんとインタビューする筆者  写真:「STUDIO Gallery: NOMA」提供
大地さんとインタビューする筆者  写真:「STUDIO Gallery: NOMA」提供

文化やアートの意味および役割などについて

大地さん:そうです。その意味からも、作品は一度に多言語で影響を与えるのですが、言葉は一言語でしか話ができないので、どちらの言葉で今話そうかなと思っています。

 アーティストサイド的にいえば、本当にそういう文化や個性が発揮され、守られていく社会にしていきたいという話になります。もしかしたら、この後、話す予定かもしれませんが、戦争の話題などにも少し触れてしまうと、僕は戦争が起きない条件を知っています。それは文化があることです。では、人はなぜ戦争を起こすのかといったら、その対象の国や地域をつぶした方が利益があると思うからです。そこをつぶさない方が利益があると思われたら、そうすれば戦争は起きません。そう思わせるものは何かといったら文化です。

S:確かに文化ですね。

大地さん:文化があればやはり壊されないということです。

S:たとえば日本に投下された原子爆弾も、初めは京都に落とす予定だったのだけれども、京都には文化や歴史があるので、そんなことをしたら、全世界から批判や非難されるのでそれを止めたといわれていますが、そういうことですよね。

大地さん:そうです。だから、それは、国のレベルでいったら文化です。もっと個人的レベルでは、いじめや自殺などが起きないためにはどうやるのかといったら、個性が認められていることです。この人の替えは利かないと認められれば、攻撃をしません。お互い認め合えるわけです。

S:確かに。

大地さん:僕が、アートをやっている最大の理由もそこです。個人の個性が尊重され、承認される時代、ひいては国レベルにならそれは文化のことになるわけです。そのように文化や個性が存在に認められれば、戦争が起きない時代になるかもしれません。これは、今、アーティストサイドからの視点の話です。それをどう実現するかなどということは全く無視してお話しさせていただきました。

S:分かります。一つの理想ですね。

大地さん:理想論者です。

S:そのような理想はそれはそれでいいと思います。そこからいうと、今までなかった質問ですが、大地さんのような翻訳者というか、通訳者のような方がいないと、このような仕組みは広まらないのではと、お話を聞いていて感じました。その辺りはどう考えていらっしゃいますか。

大地さん:そう思っています。

S:現実的には、アーティストはこれまで自分のアートには興味があるけれども、例えばそれをマネタイズできません。マネタイズする人は、アーティストのことがよく分かりません。そのために、その間に立てる人がいないと、おそらく本当の意味ではアートの広がりなどは難しいのではないかと思います。それことは、重要な役割だと思うのですが、もう少しお話いただけませんか。

大地さん:そうではないでしょうか。僕は、今やっていることを使命感を持ってやっています。僭越な言い方をすると、他にできる方がいるのかなとも思ってやっています。それこそ先ほどの個性というものを、もう僕の個性を見ろという、本当に日々を今送っているような感じです。僕・大地のようにしっかりと自分の作品をつくって、アートでお金を稼ぎ、アートに再投資している。死に物狂いですよ。本当に効率は良くありません。

S:そうですね。アートなどは肉体労働ですものね。

大地さん:アートの活動はとても肉体労働です。そこで生まれた利益をまたアート支援に回します。つまり、投資先としても金銭的リターンがあるかどうかは分かりません。本当に文化を育てるということにしか特化していないわけです。そして、アートは結局、応援してもらわないとやっていけない領域なので、応援者をとにかくつくっていきます。つまり、応援されるべき人生、人間であるべきだと考えています。それは僕も好きですし、やっていることですが、それをやれる人は他にいるのかと思ってやってきています。

S:しかし、まだお若いから関係ないと思いますが、あと10年ほどたったらおそらく、もっと第2、第3、第4の「大地さん」をつくるぐらいのこともやっていかないと、おそらく一人だけで終わってしまったらそれは意味がないのではないかと、聞いていて思いました。

大地さん:ありがとうございます。それは、僕がそうでしたが、第2、第3の「〇〇さん」ではなくていいのかなと思っています。

 いわずもがなだと思いますが、先輩から学びはしますよね。先輩からその姿ややり方を学びはするけれども、学んだ上で、その人からしか生まれない、第1の「〇〇さん」となっていくということだと思います。

 その点でいうと、別にこれまでも美術批評家や博物館のキュレーターさんなど、そういった方々もその役割を果たしてきたとは思いますが、あまりにも一般ユーザーと、評論家やキュレーターの距離が遠過ぎました。それは、つまり完成品を評論、完成品をキュレーションしていたわけですから、ユーザーから遠いという話です。その意味でも、この空間のように、ゼロからスタートできたり、体験型で、公開されているというところに価値があると考えています。

S:なるほど。私もたまたまアートなどに興味があるので美術展などにたくさん行きますが、やはり日本全体や世界全体からすると、特に日本はあまり美術を見る人が多くない.

 海外だと、週末などに皆さん行きます。夜などもやっていますから。日本は本当に一部の好きな人しか行かないというのがほとんどです。その辺りが変わっていくためにも、やはり大地さん、大地ワンやツーではなくても何でもいいです。大地だったり、地球だったり、宇宙だったり、何でもいいのですが、そのような違ったキャラクターや違った個性があり、異なったやり方も違うでしょうが、そのような両者の間をつなげるような人がある程度増えて、産業というか、そこを確立した分野になっていかないと、せっかく大地さんがやられていることも広がっていかないのではないか、という危惧するわけです。

大地さん:そうですね。ありがとうございます。ちなみに日本人は、ある意味美術館には世界一行く民族です。

S:それは飽くまで、有名なアーティストの展覧会などの話でしょう?

大地さん:そうです。では、そこで何の違いがあるかというと、やはり大きくなればなるほど、ギャラリストの話になります。銀座のギャラリーさんに今、たくさんここに集まってもらっています。「STUDIO Gallery:NOMA」の企画に国際映画マーケット、そして、ネクストジェネレーションマーケット、そして、デジタルマーケットなどのような、銀座の老舗の先輩ギャラリストたちが持っていないものを、われわれは持ち込んでいる自負はあります。でも、それらを提供すると共に、キャチボールのようなやり取りをしながら、先輩たちのキャリアやコネクションからお借りしたり、助けていただくようなこともしていただきたいわけです。その意味で、「STUDIO Gallery:NOMA」には、銀座の老舗のギャラリーさんにもぜひ集まってきていただきたいと考えています。

S:いいですね。

大地さん:ギャラリストを集めると、僕はハッとすることも多く、面白いです。

S:そうなのですね。

大地さん:銀座には300ほどの多くのギャラリーがあります。

S:知っています。

大地さん:おそらく一般ユーザーの方々は5~6のギャラリーを回ったら、「あれ、今どこのギャラリーに私はいるのだろう」というようになります。

S:そうですね。

大地さん:大体同じように、絵が見やすい箱であったり、額縁に飾ってあったりというものです。けれども、ギャラリストの人格が実はそこにはかなり反映されています。飾り方や販売のし方などに反映されているのです。

 コレクターの皆さんがアート作品を買ったとしましょう。アート作品を買ったときに、買った後は誰と付き合うのかといったら、箱ではありませんよね。そこのギャラリストという人物とお付き合いが始まります。そのギャラリストは、家族のようなアートコミュニティーをつくりたいと思っているギャラリストもいれば、センセーショナルで刺激的な情報をいつも卸してくれる、そのような刺激的なギャラリストもいます。なので、ギャラリストを見るとそのギャラリーが見えてくるのです。美術館クラスになってしまうと見えないことも多いのですが。

S:そうですね。キュレーターがいるわけではありませんから。

大地さん:そうです。初めはそのようなギャラリーにまず足を運んで、ギャラリストと会話して、アートを見る目や建物を見る目を持つようにするところから始めてみると、ご指摘のあった、海外のアートの盛んな地域に近づけるのではないかと思います。

S:なるほど。あと、今おっしゃられた話で思い浮かんだのは、私の知り合いがたまたま、若手のアーティストのサポートとして、作品に奨学金を与えて、最終的にできたものをオークションにかけてやること活動をしています。そこにはアーティストなどもいて、買ったときには話したりできるのです。そうすると、単なる作品だけではなく、その制作アーティストなども知れて、広がりがもてて面白いです。   

 そういうことだと思います。ギャラリストであったり、キュレーターも含めて、そういうアート作品に関わる人や環境などが付いてきた方が、より、単なる紙や物の作品を買うだけではなく、より深みというものが生まれてきます。アート作品も、3次元、4次元、5次元になるのかなという気がしました。

大地さん:そうですね。本当に3次元、4次元、5次元ですね。

(注)なお、国際映画のスタッフルームを公開する「STUDIO Gallery:NOMA」でギャラリストを務めた坂本大地、及び、SynchroArt Foundation(saf)は、取り扱い映画の撮影開始を見届け、2022年7月1日に、店舗名を「Saf Gallery」に変更・改装OPENした。

 「Saf Gallery」では、STUDIO Gallery:NOMAの軸であった ”アート×映画×クリプト”の強みはそのままに、新時代を代表するアート作品の発表をはじめ、海外ギャラリーとの連動企画。日本文化の発信、及び他国との交流によるリアルタイムな世界文化の体験の共有などを行っている。

 引き続き、取り扱い映画、及び関連アーティストの活動支援もしながら、世界と日本のアートマーケットを繋ぐハブとして、この期間に垣根を越えて集結した各業界を更に巻き込んだアートギャラリー=”社交場”となる。

saf公式HP

・最新情報やイベント招待は公式LINE 

・「Saf Gallery」

〒104-0061 東京都中央区銀座6-10-1 GINZA SIX 5F(旧 STUDIO Gallery:NOMA)

営業時間:10:30~20:30(定休日なし)

電話番号:03-6555-2989

・一般財団法人 SynchroArt Foundation

Mail:contact@synchroart.or.jp

FAX:03-6701-7524

その他ニュース

(注1)映画製作委員会については、次の記事等を参照のこと。

「なぜ日本映画の「リメイク権」は一大輸出産業にならないのか?製作委員会方式の謎〈前編〉」(寺田 悠馬、現代ビジネス、2016年10月7日)

「日本映画の『製作委員会』ってなに? 独特の慣習がはらむ功罪 製作委員会方式の謎〈後編〉」(寺田悠馬、現代ビジネス、2016年11月4日)

(注2)AKB48とは、「秋元康氏によるプロデュースで2005年に誕生した女性アイドルグループ。「秋葉原で新しいアイドルを劇場から作ろう」というコンセプトでプロジェクトが立ち上がり、同年7月に第1期メンバーの募集が始まる。8月には秋葉原ドン・キホーテ8階にAKB48劇場を作ることが決定した。10月に実施された第1回オーディションには7924人が応募し、最終審査に45人が選出され、その中から最終オーディションで24人が合格した。AKB48劇場は、12月にグランドオープンしたが、当初の観客は関係者を含めて72人だった。公演を100回観るとMVPのTシャツとメンバー全員との写真撮影ができるという特典をつけた、いわゆるAKB48商法が始まる。

 翌06年2月にはインディーズデビューシングル「桜の花びらたち」が発売され、オリコンチャートで初登場、第10位に輝く。女性アーティストとしては8年ぶりの快挙となる。AKB48のコンセプトは「会いに行けるアイドル」で、その名の通りAKB専用劇場で毎日ステージを行っている。メンバーの多くはオーディションで合格してから短期間で歌やダンスをマスターしている。また、グループが大人数なため通常はチームA(16人)、チームK(16人)、チームB(17人)、2011年6月に発足したチーム4 (10人)に分かれて活動し、さらに研究生(21人)(2011年6月6日現在)が在籍。現在は11期生。発売されるCDやアルバムには握手会に参加できる権利がつくなどの特典があるのが特徴で、特典目当てに複数買いをするファンも多く、CD業界の不況にもかかわらず売り上げを伸ばしている。例えば08年10月に発売されたメジャー10作目のシングル「大声ダイヤモンド」(キングレコード)はオリコンチャート初登場第3位、第2週が11位と健闘。発売記念握手会には、4千人のファンが集まった。音楽以外にも各メンバーがドラマや映画出演、雑誌連載、写真集発売など幅広く活躍している。11年3月に起こった東日本大震災の被災者に対しては同月14日に「AKB48プロジェクト義援金」を発足させ、広く協力を募集。メンバー以外にもスタッフや総合プロデューサーの秋元康氏も寄付を寄せている。新曲を歌うメンバーをファン投票で決める総選挙も、AKB48の特徴として有名。第1回は09年、第2回は10年に行われた。第3回では、11年5月発売の21作目のシングル「Everyday、カチューシャ」に投票権がつき、11年8月に発売予定の22作目のシングルでの21人の選抜メンバーを選ぶ。姉妹ユニットであるSKE48、NMB48のメンバーも含め過去最大の150人が出馬し、5月24日午前10時に投票が開始された。投票は6月8日午後3時に締め切られ、結果は前回惜しくもトップを逃した前田敦子が1位に返り咲き、前回トップだった大島優子が2位、3位は柏木由紀に決定。開票の様子は6月9日、東京・日本武道館で発表され、その模様は全国83カ所のスクリーン上で生中継、香港でも3カ所で中継された。なお、この楽曲「Everyday、カチューシャ」は発売2日で108.5万枚を売り上げるヒットで、オリコンによると発売第1週でのミリオン達成はアイドル史上初の快挙だという。(金廻寿美子[フリーライター] / 2011年)」(出典:「知恵蔵」((株)朝日新聞出版発行))

(注3)実写映画『THE RHETORIC STAR』とは、国際キャスト&一流スタッフが「経済の未来“クリプト”を活きる3つの人生、欲と闇、そして希望」を描き出す衝撃の「現実」社会はサスペンス。撮影は、日本、米国およびエルサドバドルで行われる。

(参考)

「CoinPost、NFT活用で国際映画製作スタジオNOMAを率いるEDLEAD社と業務提携プロジェクト「THE RHETORIC STAR」始動。新しい形の映画創出を目指す」(PRTIMES、2021年12月2日)

「映画の新しい形を創る国際映画プロジェクト『THE RHETORIC STAR』、1月4日にブース出展【NFT WEEKS TOKYO】」(30min. 2022年1月4日)

(注4)映画監督TAICHIさんの略歴は、次のとおり。

 1971年生/東京都出身/慶応大学経済学部“除籍”1984年SFXアーティストとして映画業界デビュー。VFXスタジオILLUSION株式会社、映画プロダクションEDLEAD inc.(Los Ahgeles、HOLLYWOOD)のCEOを務め、60本の劇場映画、400者500作品の地上波メジャーCMに参画。2016年4月、実写VR映画等の国際映像スタジオ「NOMA」を創設。映画、CM、MV、PVに監督作多数。近作ではニコラス・ケイジ主演映画のプロデュースのほか、ファション誌「GQ」のVR、ドキュメンタリー 、ホログラムを駆使した「VOGUE」のファンタジー、宇宙航空研究機構「JAXA」のブランディング監督作品など。世界初のVR連載にて産経新聞より、最新監督作の国際映画「THE RHETORIC STAR」のプリ・プロダクションを公開中。

(注5)CoinPost(コインポスト)社(https://coinpost.jp/)は、日本国内最大手仮想通貨(暗号資産)・ブロックチェーンメディア。

(注6)アニメーション『OPUS1895』は、2022年春から毎週1分ずつ政策配信される連載映画。1ヵ月で4分、2年で96分となり劇場公開を予定している。同アニメは、国際映画『The Rhetoric Star』を製作しようとしている映画監督が困難ね取材を続ける物語で、映画監督というアーティストの意識目線で描く、社会派幻想ファンタジー映画。映画監督が出逢う実在の人々の言葉が、COVID時代の社会の真実を浮き彫りにしていく。世界各国の映画祭「アニメーション部門」へ、ノミネート。

(注7)GOZ:郷津春奈氏は、アニメーター。ガンダムやULTRAMANアニメを手がけた巨匠アニメーター板野一郎氏に師事。数々のメジャーアニメ、映画の作画、作画監督を担当。現在ではサンライズ、MAPPA、unfotabelなどのアニメスタジオでアニメ制作を担当すると共に、書籍や企業プロモーションアニメ制作など多岐にわたり活動。参加一部:鬼滅の刃、2021TVシリーズ原画/NetflixオリジナルYASUKE #2 作画監督/岬のマヨイガ作画監督 2021年夏/2021東京オリンピック公式アニメーション 原画/ONE PIECE FILM Z/

ロトスコープアニメータ/ポケットモンスターXY 作画監督50話。   

(注8)Foundation(ファンデーション)とは、NFTの販売を行っているマーケットプレイスの一つで、主にデジタルアートを取り扱っている。

[参考]

記事「Foundationとは?【NFTアートが高く売れる】その3つのメリットを紹介」NFTcheck 2022年4月18日

・NFT(Non Fungible Token:非代替性トークン)とは、「デジタルデータの所有権を証明できる技術のことです。ブロックチェーン技術を用いてデジタルデータに識別情報を持たせることで、そのデータの『所有者』とデータの『唯一性』を示せます。」(出典:記事「NFTとは|仕組み・取引方法とデジタルアートの作り方も紹介」パーソナルテクノロジースタッフ 2021年12月28日)

記事「NFTとは何かをマンガでもわかりやすく解説、なぜデジタルデータに数億円の価値が付くのか?」FinTech Journal 2021年12月10日

             …次号(3)に続く…

・インタビュー対象者(略歴)

大地さん 写真:本人提供
大地さん 写真:本人提供

大地さん saf -President-、STUDIO Gallery:NOMA -Gallerist-

 17才夏、「男子シンクロウォーターボーイズchampion ship」出演。日本大学芸術学部卒業。ラスベガスAria Hotelなどでショー監督を務めたのち、大統領や王族もコレクターに連なる立体造形作品を制作/プロデュース。

2017年 六本木に自身の作品を発表するギャラリーを構える。

2018年 単一ギャラリーとして売上日本一を達成。

2019年 2月、国際アートブランド認証機関となる財団safを発足。

2020年 麻布十番に財団の想いに賛同したアーティストたちの作品発表を行う路面店ギャラリーを開き、ギャラリストデビュー。

2021年 3月、銀座6丁目の路面にもギャラリーを開く。GOZ:アニメーター郷津春奈個展、NFT WEEKS TOKYOなどが開催される。同年、パラリンアートのスペシャルサポーターに就任。

2022年 3月、銀座最大の商業施設GINZA SIXにアーティストの創造拠点となる『STUDIO Gallery:NOMA』をOPEN。「アート×映画×クリプト」を題材に、世界のコンテンツ産業頂点へのマイルストーンを構築する。

STUDIO Gallery:NOMA GINZA SIX 5F

 アーティストたちの創造拠点であり。本物の「スタジオ」と「ギャラリー」が融合した空間。作品を完成させる“その過程”を価値化し、常に現場で公開。各国メジャーのアーティストたちを紐付けるクリプトが、ニュースになる瞬間をこのスタジオから公開していく。その映画製作は、「アート業界」と「クリプト業界」と連携している最先端。国際メジャーなアーティストたちのクリエーティブに現場で触れることができる。

[関連記事等]

アートの新しい地平線を切り開く「STUDIO Gallery: NOMA」:大地さんに聞く(1)

アートの新しい地平線を切り開く「STUDIO Gallery: NOMA」:大地さんに聞く(3)

アートの新しい地平線を切り開く「STUDIO Gallery: NOMA」:大地さんに聞く(4)

・大地さんインタビュー動画

政策研究者、PHP総研特任フェロー

東京大学法学部卒。マラヤ大学、米国EWC奨学生として同センター・ハワイ大学大学院等留学。日本財団等を経て東京財団設立参画し同研究事業部長、大阪大学特任教授・阪大FRC副機構長、自民党系「シンクタンク2005・日本」設立参画し同理事・事務局長、米アーバン・インスティテュート兼任研究員、中央大学客員教授、国会事故調情報統括、厚生労働省総合政策参与、城西国際大学大学院研究科長・教授、沖縄科学技術大学院大学(OIST)客員研究員等を経て現職。経済安全保障経営センター研究主幹等兼任。大阪駅北地区国際コンセプトコンペ優秀賞受賞。著書やメディア出演多数。最新著は『沖縄科学技術大学院大学は東大を超えたのか』

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