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アートの新しい地平線を切り開く「STUDIO Gallery: NOMA」:大地さんに聞く(3)

鈴木崇弘政策研究アーティスト、PHP総研特任フェロー
「STUDIO Gallery: NOMA」 写真:同所提供

             …前号(2)の続き…

コミュニティについて

S:ありがとうございます。そのようなアーティスト周りのお話なども聞いたので、特にそれとの関係からいうと、「STUDIO Gallery:NOMA」は、正にコミュニティをつくることも考えていらっしゃるようなこともメッセージとして伝わってきますが、大地さんはその辺りのことはどのようにお考えですか。

大地さん:コミュニティ。コミュニティという考え方が、最近はとても多様になってきた気もします。どの角度でお話ししましょうか。コミュニティとは何ですかね。人が集まる場所ですか。情報が集まる場所ですか。

S:集まるというか、出たり入ったりですね。単なる集まってくるだけではなくて。

大地さん:そういう意味で、われわれは今、NOMAというコミュニティをつくっています。NOMA自体は、元々ブランディングであったり国際映画制作スタジオなどでもありましたが、今となっては多種多様なアーティストさんや、たくさんのブランド同士が行き交うコミュニティになっています。他のコミュニティと分けているのは、やはり分散型であることです。NOMAには本当にたくさん優秀な方々が集まってきています。そして、それぞれのプレーヤーは日本のIPなどにしっかり関わったお仕事をされていらっしゃいますが、それらを超越したコミュニティとなっている感じです。

 ごめんなさい。僕は、ここで日々毎日ここで活動し入り込んでいるので、このコミュニティという言葉にするのがなかなか苦手なトークなテーマかもしれません。

S:そうなのですね。

大地さん:なぜだろう。

S:別にコミュニティではなく、では、逆にいうと、大地さん的にはどのような言葉だったら一番しっくりしますか。

大地さん:運命ではないかという感じです。

S:運命、フェイトですか。

大地さん:コミュニティは果たして意図的に形成するものなのかという面もあります。一方で、戦略的には意図的に形成してもいいのかもしれません。そちらの話をすると、どうしても思考的にはアーティスト的というか理想論者的な僕が邪魔をし始めるのです。この場所、STUDIO Gallery自体が、本当にここで日々を送っている者あるいはギャラリストからしたら、作品なのです。ただこの場所を見てくれるだけで結構伝わるわけです。アーティスト的な理想論的にいうと、コミュニティは運命ですし、意図的ではなくても、シンクロで伝わっていったり、ゆくゆくは個性や文化というものなどになっていくわけです。

 ではそれを、しっかりした現実主義的な実現力でいうと、GINZA SIXに構えた理由は先ほど説明させていただいたように、20代から40代のミレニアム世代、かつデジタルネイティブな人たちにもしっかり関わってもらいながら、企業さんも関われる新しい形を提供していくことや、ニュースをつくっていくことなどのプロポーザル(提案)がここでは行われているわけですます。そこに引き合いがある人たちがどんどん増えていってくれたらいいと思っている感じです。

 僕は、今までつくってきたコミュニティと、今また新しい別のステージに変えていっているような感じです。僕は、今までは山でたき火をしながら、その周りでボディーペイントしながら盆踊りしているようなことが、ちょっとした幸せだったわけです。

S:実はそういう感じなのですね。

大地さん:これまでにミュージカル映画や海外でショーなどをやったけれども、それも全てつながりがあってやはり行ったものでして、そこにはあまり潜在的な意図は含まれていない活動だったのです。これまで割と直感的に生きてきました。今日に至るまではそうだったのです。そして、「STUDIO Gallery:NOMA」で活動する時に、やはりNOMAというコミュニティをつくっていきたいわけです。そこには、僕が今まで出会ったことがなかったような、おそらくアートの道を歩んでいるだけだと出会うはずのないような、例えばブロックチェーンの申し子みたいな方々がたくさんいたり、GINZA SIXを始め、無名のアーティストたちには絶対に見向きもしないような大手企業さんたちがここに関わってくれたりする日々に、僕は、これからどのようなコミュニティをつくっていくのかというところを今、考えさせられているようなものです。なので、コミュニティに関しては発展途上というところではないでしょうか。

S:そのようなものを「未完の更新」といいます。

大地さん:そうなのですか。

S:私の専門の一つは民主主義だったりするのですが、民主主義は、「未完の更新」、要するに完成しない更新をしていくことなのです。新しく、絶えずリニューアルしていくことを意味しています。今のお話を聞いていると、それと同じように感じます。

大地さん:そこの話を聞きたいです。

S:いいえ、今日はそのようなことが中心ではありませんので、民主主義の話はここらへんで止めておきましょう。

大地さん:「未完の更新」。つまり完結することがないということですか。

S:ないです。絶えずリニューアルやリノベーションし続けることです。

大地さん:それはいいですね。僕はいろいろな専門家の方からそのようなお話を聞きたいです。もし「未完の更新」にどの専門家も結局至るのであれば、自分がやってきたことは間違っていなかったなと思う節が1つあります。それは、アートも「未完の更新」だからという話になります。どこまで行っても。僕は、あるアート科で美大・芸大の就活に関する特別講師をやらせていただいているのですが、そこでアート科の学生の、やはり強みを僕が企業さんに話しているときには、正にその点を話します。アート科の学生ほど失敗を繰り返している学生はいません。デッサンを何百枚も描いてやっと1枚の作品を提出します。しかし、その1枚は成功作を出しているわけではありません。期限があるから仕方なく出しているだけです。満足していません。皆、次にもう1枚描けば、もっとうまくいくと思っています。なので、失敗作の中で一番いいものを出してということです。僕は、一番できのいい失敗作が、実は世の中に頒布されているアート作品だと思っています。まだもっとうまくできるのではないかというものを繰り返しているような。

S:今のお話を聞いて思い出したのがエジソンです。エジソンは、自分は失敗していないと言いました。1万回、成功のための経験を積んでいるというようなことを、彼は言っているのです(注1)。そういうことですよね。

大地さん:今を伺ったこと、インプットしておきます。

大地さんをインタビューする筆者 写真:「STUDIO Gallery: NOMA」提供
大地さんをインタビューする筆者 写真:「STUDIO Gallery: NOMA」提供

アート教育などについて

S:なので、そういうところはつながっているのかなと思いました。あと、ご存じかもしれませんが、STEAM教育(注2)を知っていますか。

大地さん:知りたいです。

S:STEAM教育というのは、STEAMとはS、T、E、A、Mですが、Sはサイエンス、Tはテクノロジー、Eはエンジニア、Aはアートで、Mはマティマティクス、つまり算数・数学のことです。要するに、今まではどちらかというと、STEMといってきた。その場合、理系のテクノロジーなどが社会のために必要だということで、子どもたちにはロジックを中心に、化学やサイエンスや数学を教えてきたのです。ところが、それだけだと実は大きなブレークスルーができないということで、アートを入れたSTEAM教育が今、世界中で広がってきているわけです。

 要するに、ロジックも必要だけれども、ロジックだけでは限界があるということです。それを超えるために、まさにイノベーションであったり、クリエーティビティーとしてのアートが、今評価がされてきているのです。大地さんのお話を聞いていて、そのことを思い出しました。

大地さん:そうですね。ただアートの教育などは難しいです。アートの教育は全てそうかもしれません。数学などもそうですが、結局、数学的考え方のような話ですし、アート教育も、アート的考え方の話にすぎません。美術史を学べばアートを学んだことになるかといったら、そうではありません。しかし、数学を学んでいてもアートは学べますし。数学を学んでいてもアート的思考で数式をみたりなどもできるわけです。

S:確かにできますね。

大地さん:そういう考え方をどのように伝えられるだろうと思ったら、やはりそのような環境をつくるしかないです。そのような先輩たちの姿を見せてくれる環境をつくることが一番いいと思います。

S:あと、これもご存じかもしれませんが、「デザイン思考」(注3)という考え方がありまして。これはMBAなどのコースの一環でもやることもあります。そのように、今までの既製ではないようなものを考えてくる、一つの視点としてのアートの視点や思考法が非常に重要になってきています。

大地さん:教育分野は鈴木さんにいろいろと教えてほしいです。

S:いいえ、私は、本当の教育の専門家ではありません。

大地さん:それでもとても伺ってみたいです。

S:いいえ、私の専門は政策であって、教育ではありません。しかも、今日は大地さんを飽くまでも中心にお話ししていきたいです。

大地さん:ぜひデザイン思考について伺いたいです。

S:今日はその点について深入りしませんが、この空間とも関係しそうですね。

大地さん:鈴木さんに少しだけでも絡んでいただいて、世界で起きているデザイン思考とここを結び付けるのは何かあるのでしょうか。

S:ここでそういうことをやったらいいと思います。そういう企画などをしたら、結構来たいというビジネスマンはたくさんいると思います。このような場所でやったら、違った意味のビジネスになども生まれてきそうです。雰囲気は重要です。やはり教室でやるのと、このような謎めいた場所でやるというのは全く違ったものが生まれてくるかと思います。

大地さん:ではここで、デザイン思考を学べるとしましょう。それはどのような授業風景になるのでしょうか。

S:一つは、やはりグループワークをやらせます。概論的なことは教えられますが、それではまさに、大地さんがおっしゃったように、単に思考で終わってしまいます。これはやはり視点や思考などの問題なので、絶えずそのような違った見方をできるようにするためには、やはりグループワークをやったり、いろいろ活動などをすることによって、それを学んだ人が単に知識ではなく、自分の感覚の中に落とし込めるような授業をやらなければいけません。

大地さん:例えば、あちらでもう古波監督のミニチュアセットの制作が始まっているわけですが、そういう映画でまさにリアルタイムでここで制作されている映画のワンシーンなどを題材にしたグループワークのようなものではどうでしょうか。

S:できると思います。急にその場で言われると、私も実際は分かりませんが。

大地さん:僕はその企画の実現に関心が向かっています。

S:いいえ、それを言い出すと、今日は本当に終わらなくなってしまいますね。

大地さん:しかしギャラリストである僕が主宰して、鈴木さんのようなしっかりとした教育でのキャリアがある方と本分がきちんとした制作者である方が企画して一緒にここでやってくれるというのはどうでしょうか。

S:それはぜひ。やりたいですね。それと、もうこれは余計な話ですが、僕は政策や政治が専門ですが、実は政治や政策は、世界をデザインすることですから、「世界をアートすること」だと思っています。なので、そういう意味では、私はこの空間との接点が実はあると、勝手に思っています。しかしこれは今日のテーマとは別の話ですので、今日は飽くまでも「STUDIO Gallery:NOMA」のお話に焦点を絞りたいと思います。

大地さん:そうですか。では、鈴木さんが主役の回をまたつくりましょう。

現在進行中の企画などについて

S:ありがとうございます。別の機会によろしくお願いします。妙な方向に盛り上がってきましたが、今まで、まさに「STUDIO Gallery:NOMA」に関するいろいろなお話をお伺いしてきたなかでも、もう既にお話もいただいていますが、ここで現在動いているプロジェクトや企画など、言える範囲で結構ですので、ぜひ教えてください。

大地さん:かしこまりました。「STUDIO Gallery:NOMA」では現在、先ほどお話しした『THE RHETORIC STAR』という実写映画および『OPUS1895』という連載アニメーション映画、そしてドキュメンタリー映画が走っています。それに対して、例えば協賛企業さまはそのGalaパーティーをここで開いたりなどもできます。昨日も実は開催されていました。東京タワーでのプロジェクト、そちらの方がこちらでGalaパーティーを開催されました。

 実写映画『THE RHETORIC STAR』では、ブロックチェーンを題材とした映画ですので、本当にかなり現実に即した映画になっています。ここでは、例えばそこにジョイントしてくださっているCoinPostの社長さんなどがリアルなイベントを開催して、パネルやモニターが置かれていたりします。そのイベントなどには、例えばドバイやシンガポールの、例えば取引企業の社長さんや、クリプトの大手の企業さんなどが出演されて、生配信したりもします。そして、ここに来られた方は、そういった世界のクリプトのトップの方に直接質疑応答ができるような体験ももてたりするわけです。これはもちろんオンラインでも配信がされます。

 そして、われわれグループへの協賛企業さまは、後ろの背景の、ちょうどわれわれが映っているここです。そこにロゴを掲載させていただいたりしています。

S:なるほど。

大地さん:あとは、今進んでいる声優さんの企画です。ラジオ番組の形式をとっていて、大物声優さんが企業さんの紹介をする機会があったりなどします。あとは、まさにここで起きるブロックチェーン周りのことが全て、『THE RHETORIC STAR』の映画の内容になっていくので、その公開支援ができるという話です。

 『OPUS1895』の連載アニメーション映画に関しては、協賛会社さんがかなり制作に参加できます。毎週1分ずつ公開されていくアニメーション映画で、1カ月で4分、2年間で96分の作品になり、劇場公開がされていきます。その1分も、例えば販売されていきます。では、協賛企業さんがその1分を買ったとなったら、その方がファッションのメーカーさんだったら、主人公のキャラクターにそのファッションを着せることもできるわけです。

S:そういうことですね。

大地さん:アニメーターさんたちの作画机も、このSTUDIO Galleryに置かれていまして、そこで描いていますから。来週に組み込むのは制作スケジュール的には無理ですけれども、1カ月先のところに組み込んでほしいという話をしたりなどはあります。

 たとえば、最近は難しくなってきていますが、たばこを吸うシーンだったら、IQOSを吸っているなどのシーンにできるわけです。またSDGsをテーマにした団体さんが例えば協賛で入ってきたときには、背景をSDGsの認定都市にしてみたり、活動をうたえるような演出がそこに入れたりというようなことを、プロデューサーさんと毎日のように打ち合わせしているわけです。

 あとは、背景です。『OPUS1895』のワンカット、ワンシーンで使われるデザイン、これを動かすのは一般の方で来場した方が自由に絵を描いて、それが映画の中に採用されるようなクリエーティブの機会もありうるわけです。

S:その場合に、どうやったら実際に採用されますか。

大地さん:それは採用されるのではないでしょうか。担当の方はプロデューサーとして寛容な方なので、ここにせっかく来てくれて、描いていただいたものはなるべく多く採用されると思います。そのように、皆さんが描いた絵や出したアイデア、されに皆さんが作られているプロダクトが、そういったアニメーション映画にリアルタイムで反映されていくようになるのです。これはとても面白いことだと思います。

 あと、ドキュメンタリー映画に関しても、皆さんがここで回した動画が、もしかしたら映画に採用されることもあります。ドキュメンタリー動画は、ドキュメンタリー監督が正式にカメラを回している時だけではないですから。もしかしたら監督のタイミングが合わないときに事件が起きるかもしれません。そのときに皆さんがぱっとカメラを構えてもらいます。ここの中で起きることは全て、撮影オッケーなので。隠し事は一切ありませんから。そこで皆さんが撮った映像が映画化されるかもしれません。

 そのように、一来場者であってもクリエーティブに参加できるということがありますし、企業家さん的にはプロダクトのCMのチャンスがあるわけです。

さらにGINZA SIXさんも非常に積極的に応援してくれていますので、ここにジョイントされたブランドやカンパニーさんはどんどん紹介してもらえる流れを今取っています。そういった関わり方やプロジェクトとなっているわけです。おそらくすべてをしゃべり切れてはいないと思いますが、僕も思い出せないほど多くのことが起きたり、生まれたりしているのです。ふっと来た人がやると約束したというようなことも起きているのです。

S:もう何でもありの感じですね。

大地さん:そのような感じです。

「STUDIO Gallery: NOMA」の様子と大地さん 写真:筆者撮影
「STUDIO Gallery: NOMA」の様子と大地さん 写真:筆者撮影

「STUDIO Gallery:NOMA」への関わり方について

S:なるほど、ご説明ありがとうございます。ここを知れば知るほど、ますます面白い感じがしてきました。まさに今もおっしゃられたように、外部の人が活動を申し込んだり、そういうこともできるということですね。

大地さん:そうです。アニメーションのワンシーンを切り抜いた立体作品が生まれて、発表されたりもしています。それは持ち込まれたものです。ここに来た企業さんが、こんな技術があると全力プレゼンテーションをわれわれにしてくれて生まれたものです。

 映画はコンテンツ産業のトップといわれています。分かりやすい話では、たとえば国際映画祭では、映画のことをやっているのは映画館の中だけですが、その手前にあるレッドカーペットなど、そこはほぼ社交場にあるわけです。あらゆるプロダクトやブランドが関わってきます。ハリウッド映画の平均制作予算は150億円といわれています。一方、そこに集まる協賛費は2,000億円程度も集まるわけです。そのことかわもわかるように、実際に動くお金は、興行収入の10倍以上のマーケットが映画では存在しているのです。

S:いろいろやっていて、広がりというのが実はあるということですね。

大地さん:そうです。映画というものにしても、映画制作だけではないという話です。そこに付随するマーケットもここでやっているわけです。その意味では誰でも参加できるというお話です。

S:それを聞くとすごくよく分かったような気がします。でも、やはり、ある意味ではやはり分からない面が残ります

大地さん:要するに皆さんが持っているものを持ち込めばいいという感じです。

S:逆にこの場を利用して楽しめばいいということでしょうか。

大地さん:そうです。持ち込んでもらったら、それがもう国際デビューの機会かもしれません。

S:そうですね。今は本当に、YouTuberが世界のスターになったり、次の小説がネットで書いていたものになったりする世界ですからね。

大地さん:まさにそうです。

マネタイズや収益などについて

S:本当に従来のオールドメディアなどがやってきた、チマチマとしたものとは違った状況が生まれてきているということですね。どこがどう大化けするのかがよく分からない状況が生まれているということですね。

 その延長線上で、正に「STUDIO Gallery:NOMA」はそのような組織や活動で、もう既にお話も少しされていますが、マネタイズというか、収益というか、財政的にどのような感じで回しているのかという点が、不思議というか興味深いテーマになってくると思います。いえないことはいわなくても構いませんが、その点を教えてください。

大地さん:問題ありません。ぜひいわせてください。僕が結局できることは、ギャラリストという自分のキャリアからいっても、やはり作品の発表だけです。映画にすごく関わったところで、おまえは映画の何のキャリアがあるのかといわれれば、あまりありません。ブロックチェーンやクリプトの人間でもありません。

 僕がやることは、作品をしっかり発表したり、映画という作品を発表したりして、協賛企業さんから応援としてお金を頂戴し、協賛企業さんにそれ以上のベネフィットを返すことです。

 一般来場者の方には、作品のコレクションをしたり、映画に個人出資をなさるようなお客さんも中にはいらっしゃいます。ただ、もっと、本当にライトなユーザーさん、初めて来ましたという方などにも触れて、お持ち帰りいただけるような作品のギフトも用意しています。

 僕自身は、結局リアルなマネタイズしかできない人間なので、そうしています。一方、このチームには、先ほどお話ししたようなブロックチェーンの専門家たちがいたり、NFT(非代替性トークン)やクリプト企画などのように、たくさんのマネタイズの機会があったりもしますので、そういったところにジョイントしたいというような、仕掛け人の方やプロデューサーの方々がいましたら、来てもらえれば。その道の専門家たちがここにはいます、対応させていただきます。映画の協賛を取りましたら、ここで関わっていただけますので、正にここが映画の制作現場になります。そして映画に集まったお金は、ここで活動する方々には当然行くことになります。そのようなマネタイズのされ方が、ここではなされているわけです。

S:そういう意味では、この場所あるいは、大地さんがやはりある意味のマッチメイキングをして、そこの間の血液としてのお金をうまく循環させるような役割も果たしている状況になるのでしょうか。

大地さん:そうです。僕は、ある意味一番面白い立場にいるわけです。やりたいこと、かつ今はもうできていることでもありますが、ここで僕がやっていて一番面白いことなのですが、個人のプライスやバリューを上げることができるということなのです。

S:先ほども収入の話などを言われていましたよね。

大地さん:もっと具体的に話をすると、「STUDIO Gallery:NOMA」で活躍するアーティストが外部から指名されたときに、そこの席料が例えば億を超えるマーケットが存在するわけです。僕も、そのようなことをここで何件か見ているわけです。そうすると、先にお話ししたコミュニティの話に戻っていくわけです。

S:それが実はコミュニティに関係するのですね。

大地さん:そうです。では、このコミュニティはどのようなコミュニティなのでしょうか。もちろん皆さん方が考えたようにコミュニティを形成すればいいと思いますが、僕がこうしたいと思うコミュニティは、個人のバリュー(価値)を圧倒的に上げていけるものなのです。

S:バリューを上げる。

大地さん:できれば世界一です。僕が目指すのは、世界一のアート・コミュニティの構築です。世界一のアート・コミュニティとは何かといったら、世界一が当然集まる場所です。その人たちの個性が重要ですが、個性は一人一人が持っている十人十色の時点で、それはランキング的には暫定世界一です。そして、それを資本主義社会に落とすときにもバリューがキチンと認められる形にしていきたい。そのためにはいろいろな手助けが必要になるのかもしれません。このような場所だったり、発信する機会だったり、信用ある企業さんの後押しだったり、業界の先輩たちのアドバイスだったり、ここがそれらがある場所にしたいのです。ここにチャレンジャーやカンパニーが飛び込んできたときに、バリューがゼロが1個、2個、3個、4個と圧倒的に上がっていくような、精神と時の空間ともいうべき場所でしょうか。あるいは修練場かもしれませんね。ここのような不思議な箱を通して、個性を活かしたら、ものすごくバリューが上がってくるというような、そのようなものにしていきたいと考えています。

(注)なお、国際映画のスタッフルームを公開する「STUDIO Gallery:NOMA」でギャラリストを務めた坂本大地、及び、SynchroArt Foundation(saf)は、取り扱い映画の撮影開始を見届け、2022年7月1日に、店舗名を「Saf Gallery」に変更・改装OPENした。

 「Saf Gallery」では、STUDIO Gallery:NOMAの軸であった ”アート×映画×クリプト”の強みはそのままに、新時代を代表するアート作品の発表をはじめ、海外ギャラリーとの連動企画。日本文化の発信、及び他国との交流によるリアルタイムな世界文化の体験の共有などを行っている。

 引き続き、取り扱い映画、及び関連アーティストの活動支援もしながら、世界と日本のアートマーケットを繋ぐハブとして、この期間に垣根を越えて集結した各業界を更に巻き込んだアートギャラリー=”社交場”となる。

saf公式HP

・最新情報やイベント招待は公式LINE

・「Saf Gallery」

〒104-0061 東京都中央区銀座6-10-1 GINZA SIX 5F(旧 STUDIO Gallery:NOMA)

営業時間:10:30~20:30(定休日なし)

電話番号:03-6555-2989

・一般財団法人 SynchroArt Foundation

Mail:contact@synchroart.or.jp

FAX:03-6701-7524

その他ニュース

(注1)エジソンに関しては、次のような逸話があったといわれています。

「失敗が1万回を超えたとき、友人がエジソンに尋ねたという。『1万回も失敗したのに、まだ続けるのか?』 エジソンは不思議そうな顔で言い返した。『俺は失敗なんかしてないよ。1万回もうまく行かない方法を見つけたんだ』」

出典:「ある発明家の生き方 ―トーマス・エジソン―」(ヘンリー幸田 人と人生)

(注2)STEAMとは、「サイエンス(Science/科学)、テクノロジー(Technology/技術)、エンジニアリング(Engineering/工学)、アート(Art/芸術)、マセマティックス(Mathematics/数学)の頭文字を取った造語。児童生徒が数学・科学の基礎を身につけた上で、技術や工学を応用して、問題に取り組む「STEM(ステム)」にアートの感覚、具体的にはデザインの原則を用いたり、想像力に富み、創造的な手法を活用したりすることによる問題解決を奨励すること。このために必要な能力を統合的に学習することが「STEAM教育」である。2018年6月に文部科学省と経済産業省が今後の教育方針について報告書・提言書を公開、そこにはSTEAM教育の必要性について記載されている。両省が掲げる方針で共通している方向性は、AI(人工知能)やIoTが(モノのインターネット)発達する社会は単に現在の延長線ではない。したがって、与えられた仕事をこなすだけでなく、異分野をつなげる力や新たな物事にチャレンジする能力が必要である、というもの。そのための手法として、STEAM教育を掲げている。学習内容はSTEAM教育に重点を置くとしながらも、知識の習得や基本的な計算などの基礎学力を身につけた上で、問題解決能力や、想像力・創造力を高めることをテーマとする。文理分けはせず両方やる必要があるとする。学び方は一斉一律から脱却し、個別化し、EdTech(Education(教育)とTechnology(科学技術)を組み合わせた造語)を活用することでエビデンスを取り、改善につなげる。18年には都内でタグラグビーを数学で疑似シミュレーションする「数学×スポーツ」、名曲をデータ解析する「音楽×数学」などSTEAMの狙いを掲げたプロジェクトが実施された。STEAM教育を実践する環境については、同じ学年の児童・生徒が同じ時間に同じ教室に集まる必要はなく、学校である必要さえないかもしれず、児童・生徒に「学び、考えることを促す」人は教員に限らず、そのためには専門家を招くこともある。その場合、教員の役割は教えるのではなく、学びの場をプロデュースして講師と生徒をコーディネートするなどの役割を担うことになる。(若林朋子(ライター)/2019年)」(出典:「知恵蔵」((株)朝日新聞出版)

(注3)「デザイン思考(Design Thinking)」とは、「主にデザイン業務で広く用いられている考え方や手法を、ビジネス全般にて解釈し、ユーザーの課題を解決するための道筋を立てていく思考プロセスです。」(出典:「デザイン思考とは|あらゆるビジネスに応用される考え方の5つのプロセス」、パーソナルテクノロジースタッフ、2021年5月28日)

           …次号(4)に続く…

・インタビュー対象者(略歴)

大地さん 写真:本人提供
大地さん 写真:本人提供

 大地さん saf -President-、STUDIO Gallery:NOMA -Gallerist-

17才夏、「男子シンクロウォーターボーイズchampion ship」出演。日本大学芸術学部卒業。ラスベガスAria Hotelなどでショー監督を務めたのち、大統領や王族もコレクターに連なる立体造形作品を制作/プロデュース。

2017年 六本木に自身の作品を発表するギャラリーを構える。

2018年 単一ギャラリーとして売上日本一を達成。

2019年 2月、国際アートブランド認証機関となる財団safを発足。

2020年 麻布十番に財団の想いに賛同したアーティストたちの作品発表を行う路面店ギャラリーを開き、ギャラリストデビュー。

2021年 3月、銀座6丁目の路面にもギャラリーを開く。GOZ:アニメーター郷津春奈個展、NFT WEEKS TOKYOなどが開催される。同年、パラリンアートのスペシャルサポーターに就任。

2022年 3月、銀座最大の商業施設GINZA SIXにアーティストの創造拠点となる『STUDIO Gallery:NOMA』をOPEN。「アート×映画×クリプト」を題材に、世界のコンテンツ産業頂点へのマイルストーンを構築する。

STUDIO Gallery:NOMA GINZA SIX 5F  

 アーティストたちの創造拠点であり。本物の「スタジオ」と「ギャラリー」が融合した空間。作品を完成させる“その過程”を価値化し、常に現場で公開。各国メジャーのアーティストたちを紐付けるクリプトが、ニュースになる瞬間をこのスタジオから公開していく。その映画製作は、「アート業界」と「クリプト業界」と連携している最先端。国際メジャーなアーティストたちのクリエーティブに現場で触れることができる。

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・大地さんインタビュー動画

政策研究アーティスト、PHP総研特任フェロー

東京大学法学部卒。マラヤ大学、米国EWC奨学生として同センター・ハワイ大学大学院等留学。日本財団等を経て東京財団設立参画し同研究事業部長、大阪大学特任教授・阪大FRC副機構長、自民党系「シンクタンク2005・日本」設立参画し同理事・事務局長、米アーバン・インスティテュート兼任研究員、中央大学客員教授、国会事故調情報統括、厚生労働省総合政策参与、城西国際大学大学院研究科長・教授、沖縄科学技術大学院大学(OIST)客員研究員等を経て現職。新医療領域実装研究会理事等兼任。大阪駅北地区国際コンセプトコンペ優秀賞受賞。著書やメディア出演多数。最新著は『沖縄科学技術大学院大学は東大を超えたのか』

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