恵方巻き1人200本、クリスマスケーキ50個・・・社員や取引先、アルバイトが明かす販売ノルマの中身
国が通知を出してもスーパー・コンビニは右肩上がりの販売金額を目指す
2019年1月、農林水産省が小売業に対し、恵方巻きは需要に見合う数を売るよう、通知を出した。
農林水産省は、小売業のお手本として、兵庫県のヤマダストアーを挙げている。この会社は「前年実績で作る」としており、「対前年比で何%増」という右肩上がりの目標は立てていない。だが、大手小売各社は、マスメディアの取材に対し「予約販売を強化する」と答え、前年実績を上回る姿勢は変えていない。予約を増やして店頭売りを減らすならわかるが、そもそも2017年に取材したときには、コンビニ・スーパー4社とも「予約販売はロス削減のためじゃない」と答えていたのに、打って変わって「ロスを減らすために予約販売強化します」だなんて、おかしい。
相変わらず社員やアルバイトにはノルマが課せられている
2018年2月には、コンビニのアルバイトが店長に「恵方巻きを200本買うよう指示された」というツイートがあった。
2018年12月には、社員がクリスマスケーキ50個のノルマを課せられたという書き込みがあった。
恵方巻きの売り方には注目が集まってきているので、2019年はどうなるか・・・と思っていたら、恵方巻きの記事に書かれたスーパー社員のコメントが目についた。毎年「恵方巻き一人一本」のノルマが課せられるという。
スーパー社員「恵方巻き、社員一人一本ノルマ」
アルバイトもやっぱりノルマ
一方、アルバイトも相変わらずノルマを課せられているというツイートが散見される。
筆者の記事を読んで、元食品メーカー社員からは「取引先からノルマを課せられ、断ったら取り扱い商品を半分減らされるなどの不利益を被った」という声も寄せられた。
「自分買いを部下に強制したら即刻解雇」とした田中修治社長
14億円の負債を抱え、倒産寸前だったメガネチェーンを買収し、立て直した田中修治さんの著書『破天荒フェニックス オンデーズ再生物語』(幻冬舎)の中に、次のくだりがある。
このくらい、組織のトップがノルマに対して断固NOとした姿勢を見せれば、ノルマは発生しないだろう。
残念ながら、ノルマが発生している組織は、自社の売り上げを達成するため、横行するノルマを見て見ぬふりをしている、と言わざるを得ない。
自社で解決できないから国が通達を出す有様
「需要に見合う数を売る」なんて、本来、企業が自主的に取り組むべきことだ。ところがそれができていないから、国が通達を出さざるを得ない事態になっているのだろう。
2019年1月19日、TBS系列の「久米宏ラジオなんですけど」に出演したとき、久米宏さんは、国が通知を出したことに対し「半分笑っちゃった」と話していた。
ヨーロッパの大手スーパーは、自ら「まとめ売り(1個いくらを2個買うと安くする、といった)をやめる」と宣言するなど、売れさえすればよいとするのでなく、倫理的な販売に変えていこうと努力しているのだ。
久米さんが笑うのも無理ないだろう。自分(の会社)でできない有様だから、国に指示を受けているのだから。
試しに「恵方巻」で検索すると、「廃棄」という言葉も出てきた。
恵方巻きに罪はないのに。
ノルマには声を上げよう
こうした事態が少しでもよい方向に変わるために、ノルマを課せられたら、声を上げていこう。
見せかけの売り上げを作っても、ノルマで構成された数字なら、それは真の実績とは言えない。
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