「クリスマスノルマやめよう」余ったクリスマスケーキの精霊流しも 聖誕祭は食べ物を粗末にする日ではない
12月25日のクリスマスを前に、クリスマスケーキなどの販売ノルマが課せられている事例を目にする。
キリスト教徒は日本の全人口の1%
もともとクリスマスとは、イエス・キリストの誕生を祝う日(聖誕祭)だ。
文化庁が発行している宗教年鑑の最新号(平成29年版)によれば、日本国内のキリスト教徒は、1,914,196人で、全人口の1.1%に過ぎない。
キリスト教徒でもない人たちがクリスマスを祝うのは、海外から見ると能天気に見えるようだ。林修氏の著書には、大学時代、イスラム圏から国の代表として来日していた男性との出会いを機に、クリスマスと距離を取るようになった体験が書かれている。
国民のほとんどがキリスト教徒のフィリピンでは9月からクリスマス
筆者が青年海外協力隊員として2年近く暮らしたフィリピンは、国民のほとんどがキリスト教徒だ。「ber month(バー・マンス)はクリスマス」ということで、英語の月名の末尾に「ber」が付く9月・10月・11月・12月は、全部クリスマスとも言われる。現地では、9月からクリスマスソングが流れ始めていたし、飾り付けも秋から始まっていた。
キリスト教徒の彼らにとって、クリスマスは、それだけ、待って待って待ち望むだけの大イベントなのだ。
「丸いものが縁起がいい」と言われ、フィリピンのクリスマスには、食卓に、りんごや、丸い形をしたチーズなどが並ぶ。
筆者は、所属していた大学の先生や職員から「うちにおいで」と何人もに誘ってもらい、家をはしごして、ご馳走になった。
意味もわからず消費するだけ、薄っぺらい日本のクリスマス
筆者も、フィリピンに赴任し現地で暮らすまでは、クリスマスに何の疑問も抱かなかった。だが、キリスト教徒としてのフィリピンの人たちの、心からの祝いぶりを目の当たりにし、各地で体験してからは、日本のクリスマスを「薄っぺらい」と感じるようになった。
クリスマスの真の意味を理解せず、キリストの誕生を祝うでもなく、クリスマス前となれば、販売者が販売個数のノルマを労働者に課すような日になっている。
Twitterにはクリスマスのノルマを憂う声が並ぶ
Twitterには、クリスマスの販売ノルマを課せられ、困っている声が並んでいる。
クリスマスは食品ロス(フードロス)を出す日ではない 売るのも買うのもほどほどに
クリスマスを排除しよう、と言いたいのではない。家族や友人と楽しむきっかけになるならいい。でも、前述のTwitterを見ると、楽しんでいるどころか、苦痛になってはいないか。クリスマスは食品ロス(フードロス)を出す日ではない。
コンビニオーナー座談会で取材した際、クリスマスケーキやおでん、恵方巻の買い取りノルマの話を聞いた。社員がクリスマスケーキを買い取り、精霊流しのように川に流していたという。恵方巻も10万円分を買い取り、川に流していた、とも。おでんを500個買い取った話も伺った。
ブラックバイトユニオンは、アルバイトに向けて、もし買い取り強要があれば、ぜひ相談して欲しいとツイートしている。
せっかくの休暇、食べ物を無駄にせず美味しく味わい、心穏やかに過ごせる日であってほしい。
関連記事: