残念なマネジャーが作る「営業管理ツール」3つの特徴 【法人営業大学】
上司は部下の活動を把握したい。部下は自分の活動を正しく伝えたい。お互いのコミュニケーションを効果効率的にするために、多くの組織では営業管理ツール(会議資料や情報システム)が活用されている。
ツールなきコミュニケーションは、的外れになりがちで、生産性が極めて低いからだ。
しかし、このツールが逆に組織の足を引っ張ることがある。部下はツールへの入力作業に追われ、本来の営業活動に支障をきたす。上司はツールを見ても状況が把握できず、部下を呼び出して確認する時間が増える。このような「残念な管理ツール」は、業績の悪い組織で多く見られる。
とくに組織マネジャーは、日ごろ活用しているツールが本当に機能しているのか、一度立ち止まって考えてみてほしい。今回は、残念な管理ツール3つの特徴と、その改善方法について解説していく。ぜひ最後まで読んでもらいたい。
■マネジャーの知りたいことだけが反映されている
残念なマネジャーが作る「管理ツール」には、3つの特徴がある。
(1)マネジャーの知りたいことだけが反映されている
(2)何が問題なのか一目で分からない
(3)マネジャーが変わるたびにツールが変わる
それでは、一つ一つ解説していこう。
(1)マネジャーの知りたいことだけが反映されている
多くのマネジャーは、自分が知りたい情報だけが反映されたツールを作る傾向がある。
営業の現場で何が起きているのか、顧客にどのような提案をしているのか、相手の反応がどうだったのか、問題点はどこにあるのか、マネジャーは多くの情報を知りたがる。
このように、多くの項目を記入させようとする結果、フリーフォーマットの日報や週報、月報を使うようにしてしまう。
気を付けたいのは「フリーフォーマット」では、ツールの体(てい)をなしていないことだ。目的に合わせて入力項目が決まっているからこそ、部下はその都度考えようとするのだ。フリーフォーマットなら考える切り口がなく、具体性に欠ける報告が多くなるのは当然。
たとえば「今月は新規開拓に力を入れる予定だったが、既存顧客からの問い合わせが多くて対応に追われた」といった言い訳が毎月繰り返される。
とくに言語力が低い営業パーソンの報告は、マネジャーが読んでも内容がよく理解できず、会議で説明を求めた結果、さらに混乱が生じることだろう。
(2)何が問題なのか一目で分からない
残念な管理ツールは、何が問題なのか一目で分からない。
とくに文章が書かれているだけ、数字が羅列されているだけの場合、読み解く能力や知識がないと、どの情報が重要なのか、何が問題なのかが理解できない。
そもそもツールというのは、マネジャーが部下とのコミュニケーションを円滑にするために使われるはずだ。なのに、パッと見て分からないようなツールなら逆にコミュニケーションを混乱させる。
何が異常なのか、どの部分が改善すべき点なのかがはっきりしないツールは、マネジメントにとって非常に不便。情報が多すぎたり、整理されていなかったりすると、問題の本質を見失ってしまう。
(3)マネジャーが変わるたびにツールが変わる
マネジャーが変わるたびにツールが変更される現象は、組織全体でのマネジメントルールが確立されていない証拠だ。非常に問題がある。
属人的なマネジメントが行われている組織では、マネジャーが自分のやり方に合わせてツールを変更し、前任者のツールを無視することが多い。
「私はもともとこういった情報システムを使って、営業活動の見える化することには反対だった」
「営業とは、そういうものじゃないと思う」
着任当日からこんなことを公言してしまうのだ。
しかし、管理ツールは組織全体のルールに基づいて一貫して運用されるべきである。ツールがマネジャーの個人的な考え方に依存している場合、組織のマネジメントは乱れ、営業活動全体が不安定になる。
過去のデータとの比較もできず、長期的な視点での分析や改善が困難になってしまう。営業活動はマネジャー個人の能力だけでなく、組織全体の戦略や方針に基づくべきであり、それを反映したツールが必要である。
■シンプルで使いやすいツールを作る
管理ツールは、以下の3点を意識して作るべきである。
(1)入力項目は最小限にする → 本当に必要な情報だけを集める
(2)問題点が分かりやすい → 折れ線グラフ、帯グラフを使い、色分けや記号で異常値を可視化する
(3)組織全体で統一 → マネジャーが変わっても継続して使用する
管理ツールは、上司と部下をつなぐ重要な架け橋である。このツールが適切に機能しなければ、組織全体のパフォーマンスは落ちる。
重要なのは、部下が使いやすく、上司が見やすいツールを作ることだ。そのためには、情報を盛り込みすぎないこと。常にアップデートさせ続けることだ。
<参考動画>