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偽ニュース対策を行うファクトチェック団体が発足、ガイドライン作成などを目指す

藤代裕之ジャーナリスト
ファクトチェック・イニシアティブの記者会見=東京都千代田区の社会起業大学

真偽不明のデマなどの偽(フェイク)ニュース対策を進めるため「ファクトチェック・イニシアティブ (FactCheck Initiative Japan, FIJ)」が発足。6月21日、発起人が東京都千代田区で記者会見を開きました。会場には報道陣ら50人が集まり、関心の高さが伺えました。FIJでは、ガイドラインの作成、ファクトチェックの支援システムの実証事件などを行います。

発起人のマスコミ誤報検証・報道被害救済サイト「GoHoo」の楊井人文さんは「世界で116のファクトチェックウェブサイトが稼働しているが、国内では一部に留まっている」と国内外の状況を解説、FIJの取り組みは「判断材料を提供すること」と目的を説明しました。ファクトチェックの対象は、政治家の発言、メディア報道、有識者の言説、一般人の発言、ということです。

FIJは任意団体で、将来の法人化を目指します。当面の取り組みとして、ガイドラインづくり、ファクトチェックの支援システム、国際交流、セミナー・シンポジウム開催、資金募集を行っていきます。

同じく発起人のスマートニュースの藤村厚夫執行役員が、ファクトチェックの支援システムを説明。「インターネットの爆発的な情報量に対し、人によるファクトチェックは量的な限界がある」と、機械学習・自然言語処理技術、オープンに活用できるデータベース(API)、標準的なフォーマットの必要性を訴えました。

取り組みの役割は、FIJがファクトチェック団体のネットワーク化、東北大学乾・岡崎研究室がファクトチェックすべき情報の解析、スマートニュースがファクトチェック情報のオープンデータ化を行います。藤村さんは「スマートニュースだけでなく、Googleの参加も求めていきたい、ソーシャルメディアの参加も求めていきたい」と話しました。

FIJはオープンなスキームづくりを取り組みを目指すと説明=記者会見配布資料から
FIJはオープンなスキームづくりを取り組みを目指すと説明=記者会見配布資料から

【ファクトチェック・イニシアティブ(FIJ)発起人】(五十音順)

・乾 健太郎 (東北大学大学院情報科学研究科教授)

・小川 和久 (NPO法人 国際変動研究所理事長、静岡県立大学特任教授)

・奥村 信幸 (武蔵大学社会学部メディア社会学科教授)

・ジョン ミドルトン(一橋大学大学院法学研究科教授)

・瀬川 至朗 (早稲田大学ジャーナリズム大学院教授)

・立岩 陽一郎 (調査報道NPOアイ・アジア代表)

・藤村 厚夫 (スマートニュース株式会社 執行役員 メディア事業開発担当)

・牧野 洋 (ジャーナリスト兼翻訳家)

・楊井 人文 (一般社団法人 日本報道検証機構代表)

・山崎 毅 (NPO法人 食の安全と安心を科学する会(SFSS)理事長)

フェイクニュースに関しては、筆者が代表理事を務める日本ジャーナリスト教育センター(JCEJ)でも、欧米の取り組みを参考に、調査手法や対策を学び、国内でのフェイクニュースの実態解明を目指す研究会を立ち上げています。

ジャーナリスト

徳島新聞社で記者として、司法・警察、地方自治などを取材。NTTレゾナントで新サービス立ち上げや研究開発支援担当を経て、法政大学社会学部メディア社会学科。同大学院社会学研究科長。日本ジャーナリスト教育センター(JCEJ)代表運営委員。ソーシャルメディアによって変化する、メディアやジャーナリズムを取材、研究しています。著書に『フェイクニュースの生態系』『ネットメディア覇権戦争 偽ニュースはなぜ生まれたか』など。

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