アメリカが安倍訪米を最大限に持ち上げて見せる訳
フーテン老人世直し録(147)
卯月某日
先月末に「安倍政権は自主憲法制定とは逆の『アメリカのアメリカによるアメリカのための憲法改正』を『粛々と』進めようとしている」と書いたが、今週の安倍総理訪米と日米防衛協力の指針(ガイドライン)再改定がまさにそれを物語っている。アメリカが「歴史的転換期」として安倍訪米を持ち上げるのはそのためである。
日本国民が自らの国の仕組みを自らの手で決める憲法改正を経ずに、安倍政権はアメリカの要求に従って現在の憲法を専守防衛から海外派兵を可能にする解釈に変え、それを国会で立法化する前にアメリカとの約束を先行させて既成事実化しようとしている。
アメリカを助けるために、いつでもどこでも日本人が血を流す事を認めさせたのだから、アメリカにとっては朝鮮戦争以来の悲願の達成である。「歴史的」という言葉にはその実感がこもっている。一方でそれが日本国内の民主主義的な手続きを無視する形で行われたところに、アメリカがダブルスタンダードの国である事が示されている。
アメリカは民主主義を「普遍的な価値」として掲げるが、一方で民主主義の未熟な国に対しては平然と民主主義を無視する。例えば中東や中南米では独裁権力と手を組んで民衆を無視する外交を行ってきた。今回の安倍訪米でもアメリカは沖縄県民の声や世論調査に現れた国民の懸念を無視している。日本が民主主義の未熟な国と思われている証拠ではないか。
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