安倍総理を「調教」するかのような米大統領副補佐官発言
フーテン老人世直し録(146)
卯月某日
ローズ米大統領副補佐官が24日の記者会見で、「我々は過去の日本の談話と合致させて歴史問題に取り組むよう安倍総理に働きかけてきた」と述べた。米国議会での演説を前に安倍総理に村山談話や河野談話を引き継ぐようクギを刺したと思わせる発言である。
安倍総理はこれまで8月15日に出す予定の「総理談話」について、「歴代内閣の立場を全体として引き継ぐ」と表明する一方、「引き継ぐと言っている以上、同じことを書く必要はない」とも述べ、村山談話にある「植民地支配」や「侵略」という表現は使わない考えをにじませていた。
それを証明するかのように22日のバンドン会議の演説で安倍総理は、「先の大戦の深い反省」と述べただけで「植民地支配」や「侵略」への「おわび」はなく、韓国外務省は早速「遺憾」の意を表明した。
この演説についてアメリカ国務省は「コメントしない」との立場を取る一方、バンドン会議に付随して行われた2回目の日中首脳会談について「歓迎する」とコメントした。しかし首脳会談の中で中国の習近平国家主席は「歴史問題は両国間の政治的な基礎」と述べて安倍総理の「歴史認識」を注視する姿勢を見せ、安倍総理の演説の際には退席して演説を聞こうとしなかった。
こうした経緯を受け、しかも米国議会演説が間際になってからの大統領府の発言である。中国も韓国も注目している演説で、アジアの安定を損ねる事がないようにと安倍総理にクギを刺したと見るのが妥当である。
この記事は有料です。
「田中良紹のフーテン老人世直し録」のバックナンバーをお申し込みください。
「田中良紹のフーテン老人世直し録」のバックナンバー 2015年4月
税込550円(記事6本)
※すでに購入済みの方はログインしてください。