4年ぶりの開設!海水浴シーズンだけ営業する幻の駅 牟岐線 田井ノ浜駅(徳島県海部郡美波町)
紀伊水道に面した徳島県海部郡美波町には海水浴シーズンのみ営業する幻の駅がある。徳島と阿波海南を結ぶローカル線・牟岐線にある田井ノ浜駅だ。
新型コロナウイルスの流行により海水浴場が閉鎖されていた影響で令和2(2020)年から令和4(2022)年までの3年間は夏になっても営業していなかったが、今年は海水浴場の再開により、令和元(2019)年以来4年ぶりに開設された。今年の営業期間は7月15日から8月6日までの3週間だ。
停車する列車は一日三往復。始発は10:54発の阿波海南行きで、終電は16:51発の徳島行きだ。海水浴場へのアクセス駅で、それ以外の利用は想定されていないため、昼間の時間帯しか列車は停車しない。
駅自体はホームだけの簡素なもので、駅舎は無い。ホームに面した建物は海水浴場の監視塔なので、一般の利用者が入ることはできない。昔は一階部分で切符を売っていたそうだ。ホーム上にベンチはないが、海水浴場の方に屋根付きベンチがあるので、そちらを待合所代わりに使うことができる。
駅前には田井ノ浜海水浴場が広がっている。全長1.5キロの遠浅の海岸で、徳島でも有数の海水浴場として知られている。海水浴客のためだけに営業している駅だけあって、砂浜までの近さはなかなかのものだ。美波町のHPによればこの海岸からの日の出は「西日本で二番目に美しい」とのこと。
筆者が訪問したのは平日だったためか海水浴客の姿は少なく、砂浜の整備をする地元の方の姿の方が目立っていた。海の家などはないので、事前に食べ物や飲み物を買っていくことをおすすめする。
海水浴場の外れには徳島県会議長を務めた森口幸夫氏の銅像が建てられている。海の近くにあるこうした銅像は、水平線を見つめていることが多いのだが、この像はなぜか海の方ではなく中途半端な方向を向いている。周りは草も刈られず、忘れ去られたような雰囲気だった。
一方、線路を挟んだ反対側(山側)には森が広がっている。森の向こうには田井地区の集落があり、防風防砂林の役目を果たしているのだろう。道路の脇には「アカテガニ横断に注意!」の標識が立っている。
4年ぶりに開設された田井ノ浜駅の営業は8月6日まで。残された営業期間はあと数日だ。来年もまた営業するとは限らないので、気になる方は今年のうちに行っておいた方がいいかもしれない。