日本代表はなぜシンガポールから点が取れなかったのか
アイスホッケーは、ゴールラインを超えてもプレイできる。そこからフェンスまで縦4mある領域にボールを運ぶことができる。相手ゴールの背後に深々と侵入し、そこからマイナスの折り返しが決まればチャンス到来。瞬間、得点の期待は急速に高まる。
ゴール前を固めるディフェンダーは、パックとマーカーをその視界に同時に捉えることができない。パックを見ればマークはズレ、マーカーを見ればパックを見失う。首を左右に大きく振りながらの対応になる。
サッカーのディフェンダーがこの状態に陥るのは、攻撃側がサイドにボールを運んだ時だ。その直前に、サイドチェンジが入っていたり、スピードに変化があったり、複数の人が絡んだりすると、ディフェンダーはさらに混乱する。その結果、攻撃側がマイナスのボールをゴール前に送り込めば、アイスホッケーのように、得点の期待は俄然高まる。
折り返しのポイントがゴールに近ければなおさらだ。合わせる選手は、ボールもGKの動きも同時にその視界に捉えることができる。ディフェンダーと真逆の関係にあるので、得点の確率はアップする。イージーゴールは生まれやすい。
アイスホッケーを連想させるマイナスの折り返し。これは、崩しの理想型に他ならないが、日本代表に決定的に欠けている要素になる。追求もしていないし、こだわってもいない。僕にはそう見える。
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たかがサッカー。されどサッカーのバックナンバー 2015年6月
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