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なでしこ快進撃の要因に“逆算の選手起用法”

杉山茂樹スポーツライター

決勝トーナメントに入り、右肩上がりに転じているなでしこジャパン。グループリーグの戦いがウソのようないい流れになっている。それには様々な原因があるのだろうが、僕が挙げたいのは選手の起用法だ。

グループリーグの3試合に、佐々木監督は全ての選手をピッチに送り込んだ。初戦のスイス戦にはベストに近いメンバー(いま振り返れば)で臨んだが、2戦目のカメルーン戦では少しいじり、3戦目のエクアドル戦では、それまでの2試合に出場していない選手、全てを使った。そして、4戦目(決勝トーナメント1回戦)のオランダ戦、5戦目(準々決勝)の豪州戦では、再びスイス戦に近いメンバーに戻している。

グループリーグは3試合とも1点差の接戦。というより苦戦だった。カメルーンには終盤追い上げられ、引き分けてもおかしくない内容だったし、エクアドル戦も、それまでの2戦で15失点を許していた相手に、わずか1ゴールしか奪えないあり様だった。選手を変え、あえて苦戦した。そんな感じさえ受ける。グループリーグの3試合を100%で戦っていないところに、いま右肩上がりが訪れている原因があるように思う。「正解」を時間を掛けて、見つけ出そうとした感じだ。

言い換えれば、最初から7試合を戦うつもりでいる選手起用法だ。7試合目から逆算するような采配と言ってもいい。称賛すべきポイントだと思う。残り2試合、使えるのは誰か、戦力になるのは誰か。準備は万端。見極めはついた状態にある。試合数が進むにつれ、選択肢は確実に豊富になっている。

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スポーツライター

スポーツライター、スタジアム評論家。静岡県出身。大学卒業後、取材活動をスタート。得意分野はサッカーで、FIFAW杯取材は、プレスパス所有者として2022年カタール大会で11回連続となる。五輪も夏冬併せ9度取材。モットーは「サッカーらしさ」の追求。著書に「ドーハ以後」(文藝春秋)、「4−2−3−1」「バルサ対マンU」(光文社)、「3−4−3」(集英社)、日本サッカー偏差値52(じっぴコンパクト新書)、「『負け』に向き合う勇気」(星海社新書)、「監督図鑑」(廣済堂出版)など。最新刊は、SOCCER GAME EVIDENCE 「36.4%のゴールはサイドから生まれる」(実業之日本社)

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