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母が認知症で施設に入ることになりました。自宅を売って費用に充てることはできますか?

母が認知症になってしまいました。父は他界、2人の子(娘)はそれぞれ結婚して遠方におり、母の面倒を見ることができません。
高齢者向け施設への入居を検討していますが、費用が心配です。母名義の自宅を処分して、入居費用に充てることはできますか。

高齢者向け施設に入居する際、施設によっては高額な一時金がかかる場合があります。また、月々かかる費用も支給される年金だけでは足りない可能性があり得ます。

このような状況で選択肢に上がってくるのが自宅の売却。しかし、自宅の名義人であるお母様が認知症の場合、自由に売却することはできません。

今回は、認知症のお母様のご自宅をどのようにして売却し、施設の入居費用に充てるのかを解説します。

成年後見の申立てをする

認知症とは、脳の病気により認知機能が低下し自分の意思に基づく判断ができなくなる症状を言います。認知症が進行して常に社会生活に支障をきたす状態になってしまうと法律行為を有効に行うことができなくなります。

このような状況で、認知症の方が所有する不動産を売却するためには、本人のために成年後見人を立てる必要があります。成年後見人が、本人に代わって法律行為を行います。

成年後見の申立ては家庭裁判所に対して行います。

成年後見人が裁判所に売却許可の申立てをする

成年後見の申立てをすると、家庭裁判所が成年後見人を選任します。本人の自宅の売却を予定している場合、弁護士や司法書士などの専門家が選任されるケースが多いでしょう。

成年後見人は、まずはじめに本人の財産調査をします。その後、自宅の売却先が決まったら、家庭裁判所に対して売却許可の申立を行います。

自宅の売却は成年後見人が家庭裁判所の許可を得ることで可能となります。

成年後見人が自宅を売却する

成年後見人が本人に代わって、不動産の買主と売買契約を締結します。

通常、不動産の名義を新しい買主に変更する場合、一般的に権利証と呼ばれる書類が必要になりますが、家庭裁判所の売却許可があれば、これらの書類を紛失していても名義変更が可能です。

申立ての準備から自宅の売却が完了するまでは、最低でも半年程度はかかると見ておいた方が良いでしょう。売却先がスムーズに見つからない場合はさらに時間がかかります。

自宅内に荷物が残っている場合、専門業者や不動産の仲介業者が整理してくれることが多いようです。

不動産を売却して得たお金はご本人の口座に送金されます。

認知症になってしまうと簡単に自宅の売却ができなくなる

このように、成年後見の申立てをして本人名義の自宅を売却し、施設の費用に充てるためには、通常の売買よりも多くの時間がかかります。

売却までの間、どのようにお母様のケアをしていくのか、費用の問題をどうクリアしていくのか、家族間で話し合うことが求められます。

司法書士とは不動産などの大切な権利を守るための専門家です。司法書士の視点から不動産、相続、終活を中心にわかりやすく役に立つ記事をお届けします。AFP2級ファイナンシャルプランナーでもあり、行政書士、宅建士の有資格者です。

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