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相続人の中に成年被後見人と成年後見人がいる場合の遺産分割方法について解説。

成年後見人というと、司法書士や弁護士がなるイメージが強いですが、ご家族の方が後見人となる親族後見人も増えています。

では、例えばお父様が亡くなった当時、お母さまが認知症で、長男がお母様の成年後見人だった場合、どのようにお父様の遺産を分割したらよいでしょうか。

相続人が成年後見人としても協議に参加する場合は利益相反行為になる

お父様が被相続人、相続人がお母様、長男、長女の3人だとします。

お母様は認知症で長男がお母様の成年被後見人になっていると仮定しましょう。

このとき、長男はお母様の成年後見人としての立場で相続手続きに参加し、また長男の立場としても相続手続きに参加することになり、お母様の利益と自己の利益が対立する状況が生じてしまいます。

この状態を利益相反と言います。

相続人同士が利益相反関係にある状態での遺産分割協議はできません。

それでは、どのように相続手続きを進めれば良いのでしょうか。2つの方法をご紹介します。

特別代理人を選任して遺産分割をする方法

法定相続分どおりに相続をしない場合には、遺産分割協議が必要になります。

先ほども申し上げた通り、長男についてはお母様の成年後見人という立場と、自らの相続人という立場の2つの立場があり、利益相反状態となります。

この利益相反状態を解消するために、お母様の代理人として成年後見人とは別の代理人を決めます。

具体的には、家庭裁判所に特別代理人選任の申立を行います。

成年後見人の代わりに別の方にお母様の代理人になってもらうことで、遺産分割協議ができるようになります。

特別代理人選任の申立て方法

特別代理人選任の申立ては、成年被後見人の住所地を管轄する家庭裁判所に対して行います。

特別代理人をどうやって決めたらよいのかという問題がありますが、成年被後見人と利益相反の関係になければ基本的には制限はないとされています。成年後見人の配偶者側の親族や、甥姪、叔父叔母でも大丈夫です。

家庭裁判所には申立書の添付書類として、特別代理人候補者の住民票と、遺産分割協議書の案を提出します。

管轄の裁判所によっては更に追加で書類が必要となる可能性がありますので、事前に問合せをして確認した方がよいでしょう。

成年被後見人が相続人となる遺産分割協議で気をつけること

なお、相続人の中に成年被後見人がいる場合に、遺産分割の内容で気を付けることがあります。

それは、成年被後見人が最低でも法定相続分を取得するように協議をまとめなければいけないということです。

特別代理人を立てれば好きなように遺産分割協議ができるということではありませんので注意してください。

遺産分割をせず法定相続をする方法

遺産分割協議をせずに法定相続分で各相続人が相続分を取得する方法もあります。

法定相続分通りの相続であれば遺産分割協議は不要です。

先ほどの例ですと、お母様の法定相続分が2分の1、長男長女がそれぞれ4分の1を取得します。

不動産の名義は、法定相続分での共有となり、預貯金の解約金も法定相続分通りに取得することになります。

事情に合わせた相続手続きを検討しよう

相続人が自分以外の相続人の成年後見人になっている場合、特別代理人を立てて遺産分割協議を行うか、もしくは遺産分割協議をせずに法定相続分通りの相続を行うかという選択肢があります。

いずれにしても、成年後見人は最低でも法定相続分を取得するようにしなければなりません。

相続人の中に成年後見人がいると制限は生じてしまいますが、それぞれの事情に合わせた相続手続きをしてください。

司法書士とは不動産などの大切な権利を守るための専門家です。司法書士の視点から不動産、相続、終活を中心にわかりやすく役に立つ記事をお届けします。AFP2級ファイナンシャルプランナーでもあり、行政書士、宅建士の有資格者です。

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