【パリ】秋のロックダウン1週間 制約のなかでの平穏を模索して
10月30日から始まったフランスの2度めのコンフィヌモン(自己隔離、外出禁止)も1週間が経ちました。
その間のパリの様子はこちらの動画でご覧になれます。
休暇が明けて学校が再開
皮肉なことに、南仏のマルセイユ、そしてオーストリアのウイーンと、テロの頻発がコンフィヌモンと重なってしまうという週になり、万聖節の休暇があけて2日から再開された学校は、パリ郊外コンフラン・サントノリンで起きたテロで犠牲になった教師への黙祷から始まるというものでした。
ところで、春のコンフィヌモンと今回が大きく違うのは、保育園、小、中、高校が開くこと、というのは前回の記事でもお伝えしました。それは子どもたちに平等に教育の機会を与えるという意味があるだけでなく、保護者たちの活動の助けにもなっています。
テレワークを要請されている職種、つまり家で働く人の場合、前回は家にいる子供の面倒をみながら仕事もするというスーパーパパ、もしくはスーパーママの活躍が求められましたが、今回の場合はテレワークでも、あるいはどうしても職場に行く必要のある業種でも仕事がしやすくなりました。
経済活動をできるだけ保った状態で感染拡大を抑えるというのが今回のコンフィヌモンで政府がめざすところなので、働きやすい環境というのはそれに沿った流れといえます。
個人商店 活路を見出す工夫
「フランス2」の2日20時のニュースでは、個人商店が前回のコンフィヌモンでいかに打撃を受け、そのぶんネット販売がどれほど伸びていたか、3品目について4月の売上を前年同月と比較していました。
(洋服)
個人商店/−100%、大型店/−45%、eコマース/+22%
(コスメティック)
個人商店/−25%、大型店/+2%、eコマース/+38%
(本)
個人商店/−90%、大型店/−4.5%、eコマース/+75〜200%
想像はしていたものの、こうしてあらためて数字にすると歴然とします。
今回も営業を継続できるのは、食料品、衛生・清掃用品、工具、事務用品などの生活必需品を売る店。不要不急とされる洋服、靴、おもちゃなどは対象外です。
本や花も対象外というのが前回から問題視されていましたが、休業を余儀なくされているレストランがテイクアウトに乗り出したのと同じように、多くの本屋さん、花屋さんが、電話やインターネットで予約して店頭で引きとる「Click&Collect(クリック&コレクト)」というシステムによって、コンフィヌモンのスタートから営業を続けているというケースが春とは違っています。
筆者もよくお世話になっている花屋さん「Pas de Deux(パ・ドゥ・ドゥ)」は、ほかの花屋さんと同じく春のコンフィヌモン中は休業していましたが、今回は営業していると聞いて、早速行ってみました。
「注文の花束をただ渡すだけでは味気ないので、外からも見えるように店にはお花をたくさん飾るようにしました」
と、オーナーの田島えりかさん。
たしかに、店内には色鮮やかな花がたくさん。ふと振り返ると、戸口に立っていたわたしの後ろから、ロマンスグレーのムッシューが店内をのぞき込んでいます。
「あ、わたしすぐに終わりますよ」というと、「いえいえ、今日は見るだけで」と、ムッシュー。
聞けば、ご近所の方で、いつもこの道を通るたびに目を楽しませてもらっているのだとか。
「前回は寂しい思いをしましたけど、今日は香りまでしてくるようですね。このマスク越しですけれどね」
と、サージカルマスクの鼻の部分をすこし浮かせて笑います。
パリの花屋さんというのは、そんなふうに、買う予定のないときでさえ人々の生活に溶け込んでいるもの。そこにいつもフレッシュな花があるだけで心を豊かにしてくれる存在なのです。
田島さんがいつも早朝に花を仕入れるのは、パリ郊外にある欧州最大の卸売市場ランジスの生花ゾーン。それが前回のコンフィヌモンでは完全にクローズしていたのですが、今回は開いていて品揃えはふだんと変わらない豊かさ。「逆に、お店を開いて、どんどんお客様に届けてあげなくてはかわいそう」と思ってしまうほどだったそうです。
さて、いまこの記事を書いている5日夜(フランス時間)時点で公式発表されているCovid-19関連の数字は次のとおり。
直近24時間での新規感染者数 40,558人
直近24時間で病院で亡くなられた方 394人
蘇生治療を受けている人 4,089人
集中治療室のベッド占有率 83.5%
まったく油断できない状況であることは確かです。
感染者が増えているということは、それだけ検査の需要も高くなっているわけですが、今後はパリ、ボルドー、マルセイユ、レンヌの国鉄駅構内にも無料のPCR検査所が設けられる予定で、まずはパリ、リヨン駅で5日からスタートしました。
ちなみにこの取り組みは、少なくとも今後6ヶ月継続されるという報道ですから、コロナとともに生きる日々はまだまだ続きそうです。