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パリ五輪の熱再燃!徹夜組も続々、グッズ大放出市に2000人が行列

鈴木春恵パリ在住ジャーナリスト
パリ市庁舎前の広場で開かれた五輪グッズ販売会(写真は全て筆者撮影)

オリンピック・パラリンピックのグッズ販売会が大盛況!

パリオリンピック・パラリンピック2024は幕を下ろしましたが、パリではその熱気がまだ冷めていません。

10月12日土曜日、パリ市庁舎前(Hôtel de Ville)の広場にてオリンピック・パラリンピックグッズを特別価格で販売するBraderie(ブラドリー=ストックセール)が開催され、11時の開始時刻前にすでに約2000人が行列を作るほどの大盛況ぶりでした。列は市庁舎の建物をぐるりと回り、リヴォリ通りやその周辺にまで広がっていました。

一番乗りしたのはパリ郊外からテント持参で訪れた女性で、前日16時に到着していたとのこと。つまり、この場所で夜明かしした人たちが少なくなかったのです。

行列の先頭の方々。前日の夕方から泊まり込み覚悟で駆けつけた
行列の先頭の方々。前日の夕方から泊まり込み覚悟で駆けつけた

販売会の出品アイテムは、公式サイト等で販売されていた記念品などではなく、大会スタッフ用のユニフォーム、会場の備品、オリンピック村で使用するために作られたものなどで、大部分が未使用品。すっかりお馴染みとなったボランティアグッズ、タオルやスニーカー、パラソルや石鹸などもありました。価格は1ユーロから45ユーロと手頃なものが中心で、1人あたり10点まで購入可能でした。

以下は出品された品々。こちらはボランティアの帽子(手前)と大会関係者の帽子
以下は出品された品々。こちらはボランティアの帽子(手前)と大会関係者の帽子

コレクターズアイテムになりそうなスニーカー
コレクターズアイテムになりそうなスニーカー

選手たちも使っていたタオル
選手たちも使っていたタオル

ロゴマークの入ったパラソルは40ユーロで販売
ロゴマークの入ったパラソルは40ユーロで販売

昨夜から並び、購入品を持って会計を待つ女性。「普段は行列したりしないけれど、今回は特別。オリンピックの時の気持ちを持ち続けていたいから」
昨夜から並び、購入品を持って会計を待つ女性。「普段は行列したりしないけれど、今回は特別。オリンピックの時の気持ちを持ち続けていたいから」

環境に配慮した取り組み

オリンピックは、短期間で巨大なインフラや資源が投入される一方で、その後に多くのものが廃棄されてしまう問題があります。

2024年パリオリンピック・パラリンピック組織委員会の循環経済マネージャー、カロリーヌ・ルイさんは、今回のグッズ販売会を「持続可能な大会運営の象徴」と強調したうえでこう語りました。

「600万点以上の製品がオリンピックのために必要でしたが、イベント後にもそれらに新たな命を与える挑戦を私たちは自らに課しました」。

廃棄物を減らし、持続可能な未来への遺産としてこの大会のポリシーを具体化する行動の一つがこの販売会なのです。

パリオリンピック・パラリンピック組織委員会の循環経済マネージャーCaroline Louis(カロリーヌ・ルイ)さん
パリオリンピック・パラリンピック組織委員会の循環経済マネージャーCaroline Louis(カロリーヌ・ルイ)さん

また、今回の販売会とは別に「Seconde vie Paris 2024」というサイトがすでに立ち上がっていて、大会運営のために使用されたあらゆる品々が販売されています。

LEDプロジェクター、消化器、防犯カメラ、アイロン台、携帯トイレ、マッサージチェア、USBケーブル、コーヒーメーカー等々、(なるほど確かにこういうものも必要だったに違いない)と思わせる品々。購入するかどうかに関わらず、その多様なラインナップを見るだけでも興味深いです。

ちなみに、サイトのトップページに掲げられた「OLD IS THE NEW GOLD」という言葉もまたなかなかのセンス、と筆者は感じました。

パリ2024の魔法はまだ続く

パリ市の助役(スポーツ、オリンピック・パラリンピック、セーヌ川担当)ピエール・ラバダンさんのスピーチも印象的でした。

「オリンピックは一時的なパランテーズ(例外)だという人がいますが、そうでないことはこの販売会を見ればわかります。パリ2024の魔法はまだ解けていないのです」。

パリ市助役(スポーツ、オリンピック・パラリンピック、セーヌ川担当)のPierre Rabadan(ピエール・ラバダン)さん(左の男性)
パリ市助役(スポーツ、オリンピック・パラリンピック、セーヌ川担当)のPierre Rabadan(ピエール・ラバダン)さん(左の男性)

ところで、この販売会はパリだけでなくフランス国内24都市で開催。その中には2030年冬季オリンピック(フランスアルプス2030)の開催地のひとつ、南仏ニースも予定されています。

前例のない取り組みが多かったパリ2024オリンピック・パラリンピックは、多くの感動を生みました。そのレジェンドは会期が終わった今も、このような形で受け継がれているのです。

メトロの駅などに設置された案内看板等は無料で頒布されていた
メトロの駅などに設置された案内看板等は無料で頒布されていた

パリ在住ジャーナリスト

出版社できもの雑誌の編集にたずさわったのち、1998年渡仏。パリを基点に、フランスをはじめヨーロッパの風土、文化、暮らしをテーマに取材し、雑誌、インターネットメディアのほか、Youtubeチャンネル ( Paris Promenade)でも紹介している。

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