トランプ氏銃撃直前にドローンで集会場を偵察か 「トランプが好き? バカげている」との言及も 米報道
トランプ氏暗殺未遂事件から1週間。この間、トランプ氏を銃撃したトーマス・クルックス容疑者の犯行動機の解明を進めている連邦捜査局(FBI)は、議員たちに対してブリーフィングを行い、新たな事実が浮かび上がっている。米メディアもクルックス容疑者に関する新情報を報じている。
クルックス容疑者について、新たに、どのようなことがわかったのか?
何が押収されたのか
CBSニュースによると、FBI捜査官は、クルックス容疑者の自宅から銃14丁、爆発装置1台、携帯電話1台、ノートパソコン1台、ハードドライブ1台、USBメモリー3本を押収したという。
また、クルックス容疑者は犯行時、ライフル、遠隔送信機、ホームデポの領収書、携帯電話を所持しており、車内からはドローン1台、弾倉4つ、爆発装置2台、タクティカルベスト(戦闘に必要な装備品を入れるポーチが多数取り付けられているベスト)1着が発見されたという。クルックス容疑者は、銃撃のために十分な準備をしていたことがうかがえる。
銃撃数時間前にドローンで集会場を偵察か
米ウォールストリート・ジャーナル紙が、治安当局者からの情報として、クルックス容疑者がトランプ氏の選挙集会が始まる数時間前にドローンを集会場の上空に飛ばして、集会場の映像を撮影していたと報じている。
捜査当局は、クルックス容疑者の車内からドローンを発見したが、ドローンで会場を偵察し、トランプ氏が立つ演壇に向かって発砲する場所を選んでいたのではないかと見ているようだ。
そのため、SNSでは、シークレット・サービスの警備体制の欠陥を批判する声が多々あがっている。
トランプが好きなのか? バカげている
FBIは、注目されているクルックス容疑者の政治的信条については、それを示す証拠は、まだ見つけられていない。
米報道によると、元同級生たちはクルックス容疑者の政治的信条はわからないと話している。しかし、ニューヨーク・タイムズ電子版は、銃撃犯と同じ中学、高校に通っていた元同級生ヴィンセント・タオルミナ君の談として、クルックス容疑者が両党の政治家に対して軽蔑の念を示していたとも報じている。
7年生の時、政治討論が行われたクラスで、タオルミナ君がトランプ氏支持を表明すると、クルックス容疑者は信じられないといった様子でこう言ったという。
「君はヒスパニックじゃないのか? トランプが好きなのか? それはちょっとバカげている」
ヒスパニック系アメリカ人は、一般的に民主党支持者が多いので、クルックス容疑者はこのような発言をしたのだろうか。あるいは、自身もこの時は民主党を支持していたからだろうか。実際、クルックス容疑者は17歳の時、民主党系の団体に15ドルを寄付していた。もっとも、その後、クルックス容疑者は共和党員として有権者登録をしている。
「いじめられていなかった」との見方も
また、クルックス容疑者については何人かの元同級生が「いじめられていた」とか「孤立していた」などとコメントしていたが、タオルミナ君はそれについて異議を唱え、犯人は頭が良く、友達と小さなグループを作っていたとし、「彼のことは個人的にも友人としても知らなかったが、彼はいじめられていなかったし、孤立もしてなかった」と話している。
人に対する見方は、結局、見る人のフィルターを通されることになるので、見方も多様になるのだろう。
「うつ病」の検索履歴も
クルックス容疑者の犯行動機には辿り着けないFBIだが、同容疑者の検索履歴は得たと報じられている。2024年4月に、同容疑者は「うつ病」や「うつ病の危機」という言葉を検索していた。このことは、クルックス容疑者が精神的問題を抱えていた可能性を示唆している。
また、ペンシルベニア州バトラー郡でトランプ氏の集会が開催されると発表された3日後、同容疑者はトランプ氏とバイデン氏について検索したり、「トランプ氏は7月13日にどこで演説するのか」「民主党全国大会はどこで行われるのか」という質問を検索にかけていた。銃撃当日は、バトラー郡の農場の写真や、ベセルパークにある銃砲店アレゲニー・アームズも検索していたという。
不審者を特定も、見失う
ブリーフィングでは、事件の時系列も示されたということだが、それによると、警官は銃撃の約1時間前に犯人とされる不審者を特定したものの、その後、不審者の行方を見失い、銃撃の約20分前に狙撃兵が再び犯人を発見したという。
両親は事件前、警察に通報していた
クルックス容疑者の両親は、同容疑者がトランプ氏を銃撃した数時間前に、息子が行方不明になったと警察に通報していたと報じられている。フォックス・ニュースによると、クルックス容疑者の両親は、息子が予告なしに姿を消したことを「心配している」と警察に伝えていたという。
犯行予告はフェイクだった
また、クルックス容疑者が銃撃前、ゲームプラットフォーム「スチーム」に、「7月13日は僕のプレミア(公開初日)になるだろう。展開を見守ってください」と犯行予告を示唆するメッセージを投稿していた可能性があると報じられたが、ニューヨーク・タイムズは「捜査当局によると、さらに調査した結果、それはフェイクだったようだ」と報じている。
FBIはクルックス容疑者の犯行動機に辿り着くことができるのか? 今後の調査の行方に注目したい。
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