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怒りを自分自身に向ける人々:心のケアのために

碓井真史社会心理学者/博士(心理学)/新潟青陵大学大学院 教授/SC
(写真はイメージ)(ペイレスイメージズ/アフロ)

■怒りの感情

怒りの感情は、様々な感情の中でも、人生を破壊する可能性のある感情です。怒って人を殴ったりすれば、会社を首になるかもしれません。暴力暴言で身を滅ぼす人々もいます。

だから、怒りは抑えなくてはなりません。抑えなくてはと、多くの人が思います。怒りを上手にコントロールすることは、もちろん大切です。でも、怒りを人にぶつけるのではなく、自分自身にぶつけてしまうのも、コントロールの失敗です。

■自分に対する怒り

人に対して暴言暴力を行うことがあるように、自分自身に暴言暴力を振るうことがあります。人に対して言うのではなく、自分自身に対して攻撃的に「ばか!」「役立たず!」「死ねばいい!」「最悪だ!」と酷い物言いをしてしまいます。

自分自身を傷つけることもあります。自分で自分を殴りたくなることもあるでしょう。壁に頭をたたきつけたくなったり、怪我をするとわかっているのにカラスにパンチしたり。リストカットなど、実際に自分を傷つけることもあります(自傷行為)。

やけ酒や、乱暴な運転、自暴自棄な生活なども、自分自身への怒りと攻撃です。

人の心や体を傷つけてはいけませんが、もちろん自分自身を傷つけても良いことは起こりません。

■怒りは危険信号

自分自身にイラつき、腹が立ち、自分を攻撃したい時。それは、人生の危機です。あなたの心と体に、何かが起きています。短気を起こして人に乱暴してはいけないのですが、自分を乱暴に扱ってもいけません。自分への攻撃と人への攻撃は、別々のものではないのです。

職場、学校、家庭。みんなを殺して自分も死ぬと思ってしまう人がいます。殺人や自殺まで考えなくても、自分が所属する組織も、自分自身の人生もどうなっても良い、破壊してやると思うことはあります。

何もしないという形で、怒りを表現することもあります。仕事や勉強にも、自分自身の人生や健康を守ることにも、無関心になってしまうことも、怒りの現れます。

心の危機は、心のSOSサインです。致命的なことが起きる前に、心をケアする必要があります。

■自分自身に怒りを向けやすい人

自分自身に怒りを向けやすい人は、次のような考え方の特徴を持っています。

・人を傷つけるのは好きではない。

・自分のことより他人優先。

・みんなは怒っても自分は怒るべきではない。

・平和を求めている。

・不快感を表さない。

・怒りの感情に罪悪感を感じる。

・自分をケアするヒマがない。

・自分はいつも間違える。

自分自身に怒りを向けやすい人は、善良な人々です。多くの場合は、日頃から優しくて平和的な人々です。でも、その人たちが自分自身に対して激しい怒りを埋めることがあります。そんな怒りと攻撃が行き過ぎれば、心がパンクします。では、どうしたら良いのでしょうか。

■私はなぜ自分自身に怒りを向けるのか

自分自身に怒りを向ける理由を理解できれば、行き過ぎた自罰の傾向を和らげることができます。でも、自分に怒っている人は怒りの感情を恥じるので、自分の心を押さえつけ、怒りの事実も理由も、自覚が難しいのです。

自分に怒りを向ける人々には、次のような心理があります。

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社会心理学者/博士(心理学)/新潟青陵大学大学院 教授/SC

1959年東京墨田区下町生まれ。幼稚園中退。日本大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(心理学)。精神科救急受付等を経て、新潟青陵大学大学院臨床心理学研究科教授。新潟市スクールカウンセラー。好物はもんじゃ。専門は社会心理学。テレビ出演:「視点論点」「あさイチ」「めざまし8」「サンデーモーニング」「ミヤネ屋」「NEWS ZERO」「ホンマでっか!?TV」「チコちゃんに叱られる!」など。著書:『あなたが死んだら私は悲しい:心理学者からのいのちのメッセージ』『誰でもいいから殺したかった:追い詰められた青少年の心理』『ふつうの家庭から生まれる犯罪者』等。監修:『よくわかる人間関係の心理学』等。

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