iOSアプリ「160円」 iPhone 14より円安は進んだか
9月20日、アップルがiOSアプリの価格設定を引き上げることを発表しました。iPhone 14の発表時に比べて、アップルの中での為替レートはさらに「円安が進んだ」可能性があります。
iPhoneよりも「円安」に
iOSの有料アプリやアプリ内課金の価格は、開発者が設定できます。しかし任意の額を指定できるわけではなく、あらかじめ用意された価格の中から選ぶ方式となっています。
日本では安い順に120円、250円、370円……と上がっていきますが、これが10月から160円、320円、480円……と約3割上がります。なお、自動更新のサブスクは対象外なので、毎月の負担がいきなり増えることはありません。
アップルは定期的に価格変更を実施しており、今回は日本やユーロを採用する欧州など幅広い地域が対象です。約20年ぶりという最近のドル高に対応した動きと考えられます。
米国での価格設定は変わっていないので、米国で最も安い0.99ドルのアプリは、日本では160円となります。ただ、税の扱いが異なるため1ドル=160円というわけではありません。
米国では州や市によって税率が異なり、またアプリのようなデジタルコンテンツに課税するかどうか自体にも違いがあります。そのため、オンラインで表示される価格は日本とは違って税抜です。
これを考慮すると、160円のアプリは1ドル=約147円になります。同様に、用意された87段階の価格設定の平均レートを計算すると1ドル=144.58円になりました。
これまでの日本のアプリ価格は2019年10月の消費税率引き上げの際に設定されたもので、1ドル=111.15円であることから、約3割の値上げとなるわけです。
筆者が注目したのは、最も安いアプリが「150円ではなく、160円になった」という点です。
というのも、iPhone 14の日本向け価格は1ドル=136円台で設定されており、このレートを使うなら「150円」のほうが妥当なのです。
しかしiPhone 14の発表直前から、為替相場はさらに円安が進みました。今回、アプリ価格を150円ではなく160円にしたことからも、アップルの中での為替レートはしっかり円安に進んでいることがうかがえます。
サブスクの値上げはあるか
アップルは9月にiPadを発表しなかったこともあり、10月に次の発表イベントを開くのではないかと予想されています。
もし日本向けに出てくる製品があれば、その価格がどのようなレートを基準に設定されるか、気になるところです。
一方、まだ値上げされていないサービスもあります。Apple Musicは学生プランを値上げしたのみで、iCloudなどの料金は据え置きとなっており、いつ値上げが発表されても不思議ではありません。
ただ、サブスクの値上げは毎月の負担増に直結します。Apple Musicが値上げすれば、SpotifyやYouTube Musicに移行を考える人も出てくるでしょう。こうした競争の中で値上げに踏み切ることはできるのか、アップルは厳しい選択を迫られそうです。