某国家元首も宿泊したオークラが食のイベントに力を入れるワケ
The Okura Tokyoで行われたイベント
2022年のゴールデンウィークは、まん延防止等重点措置も解除され、最大で10日間の大型連休にもできたことから、大きな賑わいをみせました。各地で様々なイベントも行われ、足を運んだ人も多かったのではないでしょうか。
数あるイベントの中で、衆目を集めたのが、The Okura Tokyoの「本物ってたのしい~オークラで出会う音楽と食のレッスン~」。The Okura Tokyoは、つい先日国賓の宿泊先としても選ばれたほどの一流ホテルです。
そのThe Okura Tokyoで注目されたイベントとは、2022年5月4日から6日にかけて、こども音楽フェスティバルと併催されたものでした。オークラ創業者である大倉喜七郎氏が発案した幻の縦笛「オークラウロ」による「オークラウロ ロビーコンサート特別版」やヴァイオリンやチェロなどの「楽器体験」を開催。
他にも、ドレミステップライトや縁日といった「遊び場」が設けられており、非常に充実していました。
食のレッスン
食のイベントも開催されており、5月4日と5日に「食のレッスン」を実施。テーブルマナーを学びながら食事まで楽しめるということで、体験型イベントに関心の高い小学生を持つ親子を中心に参加者が集まり、すぐ定員に達しました。
ホテルやレストランにおけるテーブルマナーを中心とした食育イベントでは、10人程度を対象とするのが一般的です。しかし、The Okura Tokyoで行われた「食のレッスン」では、大きな宴会場で80人以上を対象とするなど、とても力が入っていました。
プログラムは、以下のように心が躍る内容。
・1時限目
シェフによる「コンソメスープ」ができるまで
・2時限目
いつもは絶対入れない! ホテルのキッチンに入ってみよう!
・3時限目
きれいにできるかな? テーブルセッティング
・4時限目
お食事&ミニテーブルマナー
最初にブイヨンのつくり方からオークラ伝統のコンソメスープができ上がるまでを学び、普段は提供されないブイヨンを味見できます。普段ゲストは入れないキッチンも見学でき、大きな鍋でコンソメスープがつくられている様子が見られました。
テーブルのセッティングやマナー講座も
キッチンを見学した後は会場に戻り、テーブルクロスからショープレートやカトラリー、ナプキンまでを設置し、自分でテーブルをつくり上げます。最後はオークラ伝統のコンソメスープ、オークラ牛のハンバーグ、レモンパイと、オークラが誇るメニューを味わいながら、テーブルマナーを学ぶという流れでした。
テーブルマナーの講座も非常に実用的。座り方、ナプキンやナイフの使い方から、スープやパン、肉料理の食べ方など、子供だけではなく大人にも役立つ内容でした。
他にも、総支配人の梅原真次氏や洋食調理総料理長の池田順之氏が登壇したり、最後に梅原氏の名前が記された修了書が贈られるなど、ホテルを挙げてイベントを盛り上げようという気持ちが伝わってきます。
食に定評があり、日本におけるフランス料理の発展に寄与してきたオークラで、意義のある食育を受け、おいしいランチコースを味わえたことは、子供たちにとって貴重な体験となったのではないでしょうか。
食文化の発展に寄与
素晴らしい食のイベントを開催したThe Okura Tokyoですが、実は昔から食文化の発展に力を入れてきました。
テーブルマナーの知識については歴史が深く、ホテルオークラ東京創業時に社長を務めていた野田岩次郎氏が1968年に「テーブルマナー西洋料理をおいしく食べる本」(光文社 Kappa Books)を上梓しているほど。
一般的なマナー本にある「どうすれば恥をかかなくてすむか」ではなく、「どうすれば、料理をおいしく食べられるか」に焦点が当てられており、テーブルマナーは楽しく食べるためにあるという考え方が斬新でした。このテーブルマナーの捉え方は、オークラ創業から60年経った今もしっかりと受け継がれています。
テーブルマナープランが好評
「食のレッスン」のような宴会場で行う 「テーブルマナープラン」 は、 校外学習や社員教育の一環とされ、 対象年齢も小学生から大人まで幅広い研修プランとして定着しました。2009年からは、日本料理「山里」で、和食の食卓作法に特化したテーブルマナー講習会が不定期に開催されていました。
「日本ホテル・レストランサービス技能協会認定 テーブルマナー講師」の資格を有したスタッフがレクチャーするなど本格的です。The Okura Tokyoの料飲部に在籍するスタッフは、30を超える料飲関係の資格を保有するなど、非常に勉強熱心で、プロフェッショナルとしての意識が高いです。
欧風料理の普及にも貢献
オークラは日本における洋食の発展に尽力してきました。
1966年の11月8日から23日までは「フレンチ・フードフェスティバル」を実施。溜池にあるフランス貿易センターで11月8日から17日まで開かれたフランス食品展を記念して、フランス農作物促進協会の協力によって企画されました。本格的なフランスの食を楽しめるということで、17日までの予定が、23日まで延長されたほどです。
1968年の5月22日から6月1日にかけても「フレンチ・フードフェスティバル」を実施しますが、対象はフランスだけにとどまりません。
1969年2月24日から3月1日、および、1970年2月8日から17日は「オランダ・フードフェスティバル」、1974年9月11日から23日は「オーストリア・フードフェスティバル」、1976年12月1日から10日までは「イタリア・フードフェスティバル」と、日本における欧風料理の普及に貢献してきました。
世界をもてなす
どうして、オークラは積極的に食文化を広める活動を行っているのでしょうか。
それは、創業理念が「世界をもてなすホテルオークラ」だったからです。
この理念を実現するために、日本のみならず世界全ての人々に満足してもらえるようにと、最高の施設、最高の料理、最高のサービスの提供に努めています。
そして、最高のものの根底には日本の芸術や文化があると考えているので、食文化を非常に大切にしているのです。
日本の食文化を担う貴重な人材を育成
前述の「食のレッスン」のアンケートでは、実に9割以上が「大変満足」と回答しており、「キッチンを見学できて勉強になった」「次も参加したい」と好意的なコメントばかりが寄せられました。
携わったスタッフは、自身の知識や技能が接客とは違った形で活かすことができて、非常にやりがいがあったということです。
オークラで素晴らしい食文化を知った子供たちが大きくなり、日本の食文化を担う貴重な人材に成長することを期待しています。