札幌ー室蘭に週末限定”乱闘”刺客!道南バス「高速蘭東ライナー号」
札幌ー室蘭の都市間輸送では高速バス(北海道中央バス・道南バス)とJR北海道が激しい競争を繰り広げています。JRは2024年3月のダイヤ改正で、札幌ー東室蘭を走る特急「北斗」「すずらん」を全席指定席にし、割引きっぷを変更しました。一方高速バスはJRのダイヤ改正直前直後で大きな変更はありません。
主要メディアや鉄道ファンの間では特にJRの特急すずらんの乗車人数に注目が集まっていますが、対抗する高速バスの詳細に触れている人は少な目。日時・方向によって高速バスの利用状況は異なりますが、札幌ー室蘭では曜日や時期限定で、道南バスが1往復増便しています。
バスの名前は「高速蘭東ライナー号」。曜日が変わっても繁忙期を除き増便しないJRに対する"刺客"です。週末の朝、JR東室蘭駅前から札幌までの"乱闘"がどうなのか実際に乗ってみました。
週末・多客期限定!高速むろらん号&高速白鳥号に加えJRとの激戦に投入
「高速蘭東ライナー号(外部リンク)」は道南バスが土日祝、繫忙期の一部で東室蘭駅東口ー札幌駅前に運行される高速バスです。1日1往復で、室蘭発は朝、札幌発は夕方の運行。
2006年12月20日「高速室蘭サッカー号」として新設され、2023年10月1日に名称が現在の名前になりました。
また道南バスは札幌ー室蘭に高速白鳥号を1日7往復、北海道中央バスは高速むろらん号を同じく7往復・合計14往復を共同運行中。こちらは毎日運行で、室蘭観光協会前(旧室蘭駅)が始発・終着(札幌発最終便のみ例外)で、JR東室蘭駅東口、登別駅前などを経由します。
一方JRは札幌ー東室蘭で特急北斗が1日11往復、特急すずらんが1日6往復と特急を合計17往復運転。所要時間も高速バスが札幌駅前ー東室蘭駅前で2時間27分~28分(高速白鳥号・むろらん号)に対し札幌ー東室蘭に限れば全ての特急が1時間台。速さ、本数に限ればJRの方が優位ですが、バス停のきめ細かさ・そして運賃の安さ(正規運賃で比較の場合)ではバスの方が強い状況です。
*JR快速・普通列車の場合は今回省略。
どこが違う?高速蘭東ライナー号と高速白鳥号・むろらん号
では高速蘭東ライナー号と高速白鳥号・高速むろらん号とは運行会社が共同か道南バス単独である以外にどこが違うのでしょうか?
1.室蘭側の始発・終着がJR東室蘭駅東口
繰り返しますが、室蘭側の始発・終着が高速蘭東ライナー号は東室蘭駅東口ですが、高速白鳥号・むろらん号は室蘭観光協会(外部リンク・札幌発最終便以外)です。
2.室蘭・登別市内のルート
高速蘭東ライナー号の特徴は室蘭・登別市内における大半のルートが山側(北側)であること。ざっくり言えば室蘭工業大学近くのエリアを走行します。一方高速白鳥号・むろらん号は大半が国道36号やすぐ近くが中心であり、室蘭市・登別市の幅広いエリアにバス停が設置されています。
3.札幌市内の停留所も一部違う
A.室蘭発札幌行については、運行会社が北海道中央バスか道南バスかで終点・札幌駅前の降車停留所が異なります。北海道中央バスは道庁赤レンガ・日本生命札幌ビルに近い場所(北2西3)、道南バスは旧札幌駅前バスターミナルに近い30番のりば(北5西1)です。蘭東ライナー号は道南バス運行なので30番のりば。
B.札幌発室蘭行は高速蘭東ライナー号、高速白鳥号・むろらん号共に札幌駅前7番のりばが始発であること。札幌から高速バスで室蘭へ行くなら日本生命札幌ビル前7番と覚えた方が最初は良いと思います。
しかし札幌発の蘭東ライナー号と高速白鳥号・むろらん号で大きく違うのは、蘭東ライナー号が中央バス札幌ターミナルに乗入れないこと!その代わり札幌駅前では、北5西1の30番のりばにも停車します。
JR東室蘭駅東口始発から乗車!
週末朝のJR東室蘭駅東口からスタートします。東室蘭駅発の乗車にした理由は、札幌発より"乱闘"といえる状況だから。
札幌・新千歳空港行きの高速バスが発車するのは駅舎から最も遠い3番バス停。
発車20分前に到着すると既にバス停に列が。もしかして高速蘭東ライナー号に乗るの?と思いきや7時30分前に中央バスが到着。
7時34分JR東室蘭駅前発札幌行き・高速むろらん号でした。
訪問当日はJR東室蘭駅前から17名乗車という盛況。高速蘭東ライナー号東室蘭駅前発は高速むろらん号発車直後に"乱入"しているのである意味"乱闘"といえます。
一方高速蘭東ライナーの札幌発は16:40(外部リンク)。高速白鳥号・むろらん号の札幌駅前7番のりば16:00発と17:15発のほぼ中間(外部リンク)。
高速むろらん号がJR東室蘭駅前を発車するとすぐに道南バスが登場!こちらが7:40発高速蘭東ライナー号です。
JR東室蘭駅東口から乗車したのは筆者を入れて2人。さっき高速むろらん号にたくさん乗ったのに大丈夫か?と不安になりました。
車内は後方にトイレに電源コンセント、無料Wi-Fiがあります。JR特急は電源コンセントとWi-Fiが不十分なので、充電やネット環境で高速バスを選ぶ乗客がいてもおかしくありません。
バスは2人の乗客を乗せ、道南バス本社がある東町ターミナルへ向け定刻に発車しました。
室蘭市東部(蘭東)・登別市西部バス停に停車
高速蘭東ライナー号は室蘭市内・登別市内では乗車のみの扱いです。
道南バスだけでなく、中央バスの高速むろらん号も発着する東町ターミナルに到着。
ちょうどJR東室蘭駅東口を先に発車した高速むろらん号が出るところでした。
東町ターミナルを出てからは高速蘭東ライナー号しか都市間バスが停車しないバス停へ。乗車停留所で次々と乗車し、座席がどんどん埋まっていきました。
道央自動車道・登別室蘭インターを通過するときは39人に。筆者の隣に高速蘭東ライナー号の常連客が室蘭市内停留所から乗られ、少し話をしたのですが、当日は通常より多かったとのこと。
札幌駅前での降車は高速むろらん号と別!30番のりば
高速道路上のバス停での乗降はなく、バスは札幌南インターを降りて札幌市内へ。最初の大谷地バスターミナルで13人も下車。乗下車が多かったため、所定より10分遅れました。
筆者は高速蘭東ライナー号の後、次の都市間バス乗車に間に合わなくなるため、終点の札幌駅前30番のりばでなく、1つ手前の北2西3で降車。
札幌駅前30番のりばでの状況は過去記事で紹介していますので是非参照願います。
乗車当日に限れば、道南バスが仕掛けた"乱闘"は成功といえるでしょう。高速バス・JRの競争で利用者にとってよりよいサービスにつながることを願います。
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