BBCが再び報じた旧ジャニーズ性加害問題──新たに判明したスタッフ2名の性加害 #専門家のまとめ
3月30日昼、イギリスの公共放送・BBCが、旧ジャニーズ事務所の性加害問題を再び報じた。この問題は昨年3月に放送されたBBCのドキュメンタリー『J-POPの捕食者──秘められたスキャンダル』をきっかけに大きくなったが、そのときと同じくモビーン・アザー記者による報道だ。
『捕食者の影──ジャニーズ解体のその後』と題された30分弱の内容は、被害者や被害者の遺族、そしてSMILE-UP.社(旧ジャニーズ事務所)の東山紀之社長への取材を中心に構成されている。今回大きく注目されているのは、旧ジャニーズ事務所のスタッフ2名による性加害だ。番組ではその存在は具体的に指摘されていないが、実は昨年すでに報じられていた人物だと考えられる。
ココがポイント
旧ジャニーズ事務所の男性スタッフ2名が、タレントに対して性加害。東山紀之社長も認めるが、警察に届ける権限はないと表明
・ジャニーズ解体のその後……ほかにスタッフ2人がタレントに性的加害(『BBCニュース』/2024年3月28日)
2000年頃までジャニーズJr.を担当していた元マネージャーが、6人くらいに対して性加害をしていたと告白
・「6人くらいと…」ジャニーズ事務所・男性マネージャーもジュニアに性加害していた<本人告白>(『文春オンライン』/2023年6月7日)
昨年9月、東山紀之社長の元マネージャーがセクハラで退職していたことが判明。退職日は、昨年の一回目のジャニーズ会見の8日後
・「“ヨッ”と股間をタッチして…」“ジャニーズに新たな性加害問題” 東山紀之社長の元マネジャーが“セクハラ”で退職していた「被害者は男性タレント」(『文春オンライン』/2023年9月27日)
性加害をしていた旧ジャニーズ事務所の男性スタッフ2名のうち、ひとりは東山紀之社長の元マネージャーであることが判明
・旧ジャニーズ男性スタッフ2人も、所属タレントに性加害…うち1人は東山紀之氏の元マネジャー(読売新聞オンライン/2024年3月28日)
エキスパートの補足・見解
筆者の取材では、この加害者は上で紹介した『文春オンライン』が取り上げたふたりで間違いない。筆者は実名も把握している。
この数日間、漏れ聞こえてきたのは他メディアの悔恨だ。昨年の段階で『文春』が報じていたのに、なぜこのスタッフふたりの追及を怠ったのか。それは筆者も含めて日本のメディアの大きな失策だ。BBCはその穴を埋める役割を果たした。
4月からは旧ジャニーズ事務所の後継会社となるSTARTO社も本格的に稼働予定だ。しかしこのスタッフの加害問題や、SMILE-UP.社に残されたままのファンクラブ事業や知的財産など、解決されていない問題も多い。今後も日本の報道陣は強く注視することが求められる。
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