当事者が証言し始めた「ジャニーズの圧力」──「退所後の圧力リスク」が性加害の遠因に #専門家のまとめ
ジャニーズ事務所が故・ジャニー喜多川氏の性加害を認めて3週間が経過した。スポンサー離れが続き、昨日はNHKが新規の契約を見合わせることを発表するなど、事態は収まる気配を見せない。現状は、10月2日に発表される新体制を業界全体が待っている状況にある。
こうしたなかで、具体的な証言が目立ち始めたのが、ジャニーズ事務所の「圧力」だ。
これまでもジャニーズ事務所は、退所者や競合グループ、さらには所属タレントとの熱愛報道のあった女性タレントなどに「圧力」をかけてきたと噂されてきた。その一端が明確に世に知られることとなったのは、2019年7月のことだ。新しい地図の3人(元SMAP)に対し、ジャニーズ事務所が民放テレビ局に圧力につながる行為をしたとして、公正取引委員会が注意したのだった。
だが先月末から、それ以外の「圧力」を当事者が証言し始めた。それら4本の記事や動画などを以下にまとめた。
▼ジャニーズとトラブルがあった女優を番組で起用しようとしたら、ジャニーズが「タレントを引き揚げる」と圧力(演出家・倉本聰)
▼ジャニーズ退所直後の本木雅弘を起用した1989年の映画『226』。メリー喜多川氏から圧力、以後「出禁的待遇」(映画P・奥山和由)
▼主婦と生活社の「ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」に「やめろ」と圧力。会見記事が書けない状況に(元同社編集者/石川敏男)
▼1997年、週刊誌『AERA』の記事にメリー氏が激怒。以後15年間、他社の俳優が主演する映画の会見も出禁(元編集長・浜田敬子)
※41分10秒あたりから
これらは、すべて圧力をかけられた当事者の証言だ。しかも、これらはこの1か月の間だけで出てきた。となると、当然氷山の一角だと推定される。古くは1989年なので、随分前からジャニーズによる「圧力」は常態化していたと考えられる。
留意する必要があるのは、これらの「圧力」と、ジャニー喜多川氏の性加害は無関係でないことだ。被害を受けたジャニーズJr.たちは、退所すれば「圧力」をかけられるリスクがあるからこそ、ジャニーズを離れられなかった側面もある。留まるも地獄、離れるも地獄だ。
加えて、テレビ局などが忖度をして「圧力」が機能する構造を温存すれば、今後も他の芸能プロダクションで同じような加害行為が起きるリスクは残る。
必要なのは、「圧力」とそれにともなう「忖度」が生まれる構造そのものを断つことである。