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発見!動物園ですると没入感が凄いかも?秋にピッタリな動物園の楽しみ方があったよ【神戸市】

Hinata J.Yoshioka旅するフォト&ライター(神戸市)

先日、王子動物園に行ってきました。私が最後に行ったのはたぶん小学校の低学年の頃でしょうか。時が過ぎ、真新しい気持ちで動物たちとの再会の時を迎えました。

私がこの日、王子動物園へ行ったのには訳があります。動物哲学物語「確かなリスの不確かさ」という本の作者、ドリアン助川さんの講演があったからです。

ドリアンって、あの果物?って思いますよね。実はこのドリさん、凄い方なんです。気になると思いますが後ほどご紹介しますね。

この「確かなリスの不確かさ」という本は少し変わった視点で描かれていて、動物の生き方と様々な哲学をかけ合わせて出来た、ちょっと珍しい感じの物語です。

哲学というと分かりづらい難しいものと思ってしまいがちですが、この本ではとてもわかりやすく、動物たちの豊かな生き方を通した物語としてスッと入ってくるようになっていました。

そして動物ごとに短い短編集になっているのでとても読みやすく、子供たちでも理解することができる内容です。

子供たちに大人気の「フンボルトペンギン」の水槽
子供たちに大人気の「フンボルトペンギン」の水槽

動物園で本の講演会って面白い取り組みですよね。他にも、動物を通してSDGsを学べるワークショップがあったりと、動物と何かをかけ合わせて楽しめる仕掛けが用意されていたこの日の王子動物園。

リアルを通して学べる場があるのは素晴らしいことです。講演会では子供たちも沢山参加していて、物語を語りながら実際の動物の生態なども紹介していくドリさんの話に熱心に耳を傾けていました。

本の中で展開されているのは、野生動物たちのとても多様な生活環境や、限られた能力を強いられた中で生きることの大変さ、それでも受け入れて生きている彼らの物語。

生涯孤独と思えたカピバラおじさんの、思いもよらない結末とは?
生涯孤独と思えたカピバラおじさんの、思いもよらない結末とは?

動物の側に立って描かれた物語は、彼らの心の内を想像し表に引き出して世界を捉えています。

例えば、コウテイペンギン。ペンギンはよちよち歩きの愛されるキャラクターとして全国の動物園に存在していますが、実際はどれほど凄まじい環境で生き、物凄い精神力で自らの命を削りながら子供を産んでいるのか…物語を読んだ時、そのギャップに驚き言葉が出ないほどでした。

動物園では、動物たちの姿を見ることはできますが、実際の環境での生活は想像するしかありません。どんな環境であれ動物たちはただ淡々と生きているのですが、そこに哲学という視点が入ることで彼らの奥深い生き方が見えやすくなり、同時に人としても生き方を学べる多くのことが現れてきます。

「フンボルトペンギン」の水槽前で一瞬ピタリと目が合った
「フンボルトペンギン」の水槽前で一瞬ピタリと目が合った

さて、この本を書いたドリさんことドリアン助川さん。彼の書いた「あん」という本があります。

ハンセン病という難病を取り上げた内容で、隔離され限られた世界の中で生きながらも人生と正面から向き合い、生きるとは何かを描いた物語。

この動物たちの物語とも共通するテーマでもある「人生の意味」その問いの中にある揺らぎから、命の輝きを見出していきます。

「あん」は映画化され、樹木希林さんの名演が見られる話題作に。そして今では世界の24もの言語に訳され、フランス、ドイツ、イタリア、英国などで出版されている凄い本なのです。

そんな数々の名作を生み出してきたドリさんの新刊「確かなリスの不確かさ」は、昔から大好きだという動物たちを取り上げた物語。

この本を読んでから行った動物園、私はそこで出会った動物たちと目が合うごとに、広がり深まる新たな世界を感じました。

暑さも和らいで、動物園で一日中のんびりと過ごせるような秋の到来。読書も楽しくなる季節ともあり、この本を持って動物園に行って読みふけってみるのもいいかもと、ふと思いました。

「動物園で読書」って新しくないですか?これは発見かも。どうでしょうか、それはとても豊かな時間の過ごし方なのかも知れませんよ。

きっと今まで見ていただけの動物たちとも新鮮な出会いができるでしょうし、動物たちを見て話しかけているうちに彼らから勇気やヒントをもらえるのではという気もします。

大切なポイントは、現状の姿の奥にある彼らの「本来の野生」を感じ取ること。

動物園でこの本を読むと没入感が凄そうですね、考えただけでワクワクします。もちろんお気に入りの動物の本があればそれを持っていくのもありです。

動物園で楽しむ読書。様々な動物たちが生きている気配をそばで感じながら、彼らの物語にそっと足を踏み入れてみるのはいかがでしょうか。

「確かなリスの不確かさ」ドリアン助川

王子動物園HP (外部リンク)

場所:兵庫県神戸市灘区王子町3丁目1

営業時間: 9:00〜17:00

定休日:水曜

電話番号: 078-861-5624

『どうぶつえんでまなぶSDGsいのちを紡ぐ物語』主催:毎日新聞社

10月19日・20日 京都市動物園

※ドリアン助川講演会 20日午後2時〜

11月9日・10日 天王寺動物園

※ドリアン助川講演会 10日(時間未定)

問合せ先:maeda-hiros@mainichi.co.jp

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旅するフォト&ライター(神戸市)

旅なしに人生は語れない、ノマド系フォトライター。国内から世界各国まであちこち歩きまわって取材する、体当たりレポートを得意とする。趣味は美味しいもの食べ歩き、料理、音楽、ダンス、ものづくり、イベント企画などなど、気になる物には何でも手を出してしまう。南国気質で、とにかくマイペースな自由人。

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