「国のやり方は酷い」北朝鮮の公務員たちが"小さな反乱"
北朝鮮からの国際郵便は、出国者の手によって中国に持ち出され、そこから送られることが一般的だ。北朝鮮国内から出すと検閲を受け、そもそも届けられないことも多いからだ。
海外に手紙を出しても受け取っても、保衛部(秘密警察)の監視対象となり、面倒くさいことこの上ないのだ。
現在、中国では10万人、ロシアでは2万人の北朝鮮出身者が働いているが、北朝鮮に残してきた家族とのやり取りは、このような人づての手紙で行われてきたが、当局が規制に乗り出した。平壌のデイリーNK内部情報筋が伝えた。
朝鮮労働党中央委員会(中央党)は今月中旬、朝鮮労働党順安(スナン)空港委員会に対して、出国時に取り締まるべき荷物についての追加事項を伝達した。
一時帰国した海外在住の労働者が、同僚宛の家族からの手紙を受け取って出国することが少なくなかったが、中央党はこのような手紙を通じて、国内の様々な秘密情報が海外に流出していると見たのだ。
秘密情報とは言っても、市場の物価など他愛のないものがほとんどだ。しかし、非公式ルートでの情報流出や海外からの情報流入を極度に嫌う北朝鮮としては、決して許せないのだろう。
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また、海外派遣労働者の厳しい労働環境や搾取について、このような手紙を通じて国内に伝われば、世論の悪化、労働者の脱北などに繋がりかねないと見ているようだ。
空港の党委員会は、指示に従い取り締まりを行っているが、税関職員らから「やり過ぎ」だとの声が上がっている。手紙は、海外で働く人々にとっては唯一の家族とのつながりなのに、「こんなものまで取り締まるのか」「党の方針はひどい」との声が上がっている。
中には、出国時の荷物検査で手紙を見つけても見て見ぬふりをしたり、量に応じて、10ドル(約1450円)ほどのワイロを受け取って黙認する場合もあるとのことだ。
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「『庶民同士でうまくやっていこう』と党の方針を無視している」(情報筋)
かくして、当局の取り締まりは骨抜きにされるのだ。