神戸には、美味しいパン屋が沢山あります。道を歩いていると、色んなパン屋に出会うことができる街。

お店の特徴は様々ですが、お客さんは何を基準にパン屋を選んでいるのでしょうか。味がいいのはもちろんですが、果たしてそれだけ？

外から見て、美味しそうって思えることも大事ですよね、いわゆるビジュアルです。外から見えるようにガラス張りのパン屋がほとんど。お洒落さや雰囲気などもまた、選ぶ理由のひとつ。

元町駅近にあるイスズベーカリー元町店の前を歩く時、私はいつも足元にある看板を見てしまいます。手書きのパンの絵の看板は優しい雰囲気を持って「パンいりませんか？」と声をかけてくるので、ついつい誘われて店内へ。

そして中へ入ると、ずらりと並ぶパンの上や奥側の壁に、可愛らしい絵の数々が飾ってあるのが目に入りました。いつも見かけるイスズベーカリーの絵ですが、今は沢山の絵がまるで展覧会のように飾られています。

この絵を担当しているのはスタッフの折井真亜さんという男性。

「海外で、写真がさほど普及していない頃の舞台や商業広告のポスターは絵で描かれていたんです。そんな広告が、今でも時代を超えて作品として残っているものがあって。そういうものに昔からずっと憧れていたんです」

パン屋のイスズベーカリーに入社し、そこでこんな風にパンのそばに自分の絵があることがとても嬉しくて、と語る折井さん。

ギャラリーで見るような絵もいいけど、もっと生活に密着している絵を描きたい。パン屋で、子供が無意識に見ているこの絵を、大人になった時に懐かしいなと思って見る…そんな絵に憧れを抱いていると言います。

店の奥にも面白いものがあるというので見に行くと、可愛らしい灯台のオブジェが。デザインしたんですか？と伺うと、全部自分で作ったんですというからビックリです。

折井さんの絵はこの店のポストカードにもなっているのですが、この日から店頭に置かれた、別の新しいものがあります。それは何とカプセルトイです。

ご縁が繋がり、カプセルトイを企画している会社「RAMO」からの声かけで実現したというのですが、中には折井さんの絵の缶バッチが入っています。これは作品を手元に置けるチャンスですよ。

そのお隣の看板には、今月の新商品「たっぷりお芋ドーナツ」が紹介されていました。ようやく待望の秋が来ましたね。

おすすめは、有名カレー店「ラージクマール」とのコラボパン「コク旨トマト キーマカレー」が発売中です。

実はこの「ラージクマール」さん、いつかはイスズベーカリーとカレーパンでコラボしたいというのが目標のひとつだったのだそうですよ。

そういう小さな物語を聞くだけでも嬉しいですよね。そして、色んな夢を持っている人たちがそれを叶えていける場所って、ホントに素敵です。

「イスズベーカリーは、パン屋だけども面白いことをできるプラットフォームだと感じていて。街に溶け込んで色々と発信できる場所なんですよね。歴史ある店だからこそできるものでもあると思うんです」

「今回もとりあえず展示をやってみようと、今後の何かに繋がればとさせてもらいました。ここは、社長がやりたいことをどんどん後押しして下さるので本当にいい環境なんです」と折井さん。

「今の時代、お店に一人、絵描きをつけるような感じではないですよね。だけど、それをしたら色んなお店が楽しくなっていくような気がしていて」

総務という位置にいる折井さんですが、勝手に本社POP部と名乗らせてもらっています、と楽しそうです。

今回の絵の展示は、元町店にて9月28日までだそうですよ。可愛らしいキャラクターが勢揃い、ぜひパンと一緒に写真を撮ってみて下さいね。

そして最後に。実は、おもてにある店名看板の色が徐々に変化しているのですが、気付いていましたか？ちょっと立ち止まって眺めてみて欲しいんです。何色あるかチェックするのも楽しいかもですよ。

美味しいだけでなく、楽しめる仕掛けがあちこちにあるパン屋「イスズベーカリー」。元町店に、人気の秘密をぜひ覗きに行ってみては。

イスズベーカリー元町店

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