Yahoo!ニュース

DV夫とは離婚すべきか:「NPO法人 女性・人権支援センター ステップ」の活動と加害者臨床

碓井真史社会心理学者/博士(心理学)/新潟青陵大学大学院 教授/SC
写真はイメージ:みんな仲の良い夫婦を目指している(写真:アフロ)

■DVとは

世の中には、ひどい男がいます。家庭内で妻に暴力を振るい続ける夫もいます。

殴る蹴る、つねる、押し倒す、監禁する、首を絞める、食事をさせないなどの「身体的暴力」。

生活費を渡さない、ギャンブルで生活費まで使ってしまう、借金ざんまい、非常に細かい家計出費管理などの「経済的暴力」。

ばかにする、けなす、ひどい悪口、暴言、侮辱、監視、威嚇、恥ずかしい思いをさせるなどの「精神的暴力」

セックスの無理強い、望まないセックスの形、望まない妊娠の強要などの「性的暴力」。

こんな家庭内病力(DV:ドメスティック・バイオレンス)が、毎日起きている家庭があります。何十年と耐え続けている妻がいます。

夫婦間暴力は、それを見ることになる子供にとっては、子供に対する心理的虐待にもなります。

(DVは女性が加害者で男性が被害者も場合もあります)

しかも、自分が加害者だとは思っていない人たちも多くいます。自分の暴力は自分が悪いのではなく、俺をイラつかせる相手が悪いと思うわけです。暴力ではなくしつけだと思っている人もいます。

ネット上にある「DVチェックリスト」をやってみましょう。あなた自身や、パートナーが、DV加害者かどうかがわかります。

DVチェックリスト

■DV相手とは離婚か

そんなひどいことをする相手とは離婚すべきでしょうか。離婚しかないでしょうか。

被害者女性の中には、子供が生まれれば夫も変わると思い子供を産む人もいますが、夫は変わりません。問題が深刻化するだけです。

DV加害者の中には、DV後に一時的には優しくなる人もいます。涙を流して謝罪する人もいます。その優しさと涙にほだされることもありますが、またすぐに暴力を始めます。

こんな相手とは離婚しかないでしょうか。

たしかに離婚は、有効な手段の一つです。ずるずると婚姻関係を続けるだけでは、まずます心も体も傷つきます。

多くの書籍やサイトでは、暴力男は変わらない、反省しても謝っても変わらない、離婚すべきと勧めるものもあります。

しかし、漫然と関係を続けるのではなく、離婚すれば良いわけでもなく、「加害者校正プログラム」(加害者臨床)に取り組む人たちもいます。

「人は変われます。気づけば何度でもやり直せます。あなたが決めたその日から。。。」

​(NPO法人 ステップ理事長

■ステップの考え方と活動

この記事は有料です。
心理学であなたをアシスト!:人間関係がもっと良くなるすてきな方法のバックナンバーをお申し込みください。

心理学であなたをアシスト!:人間関係がもっと良くなるすてきな方法のバックナンバー 2022年5月

税込550(記事4本)

※すでに購入済みの方はログインしてください。

購入についての注意事項を必ずお読みいただき、同意の上ご購入ください。欧州経済領域(EEA)およびイギリスから購入や閲覧ができませんのでご注意ください。
社会心理学者/博士(心理学)/新潟青陵大学大学院 教授/SC

1959年東京墨田区下町生まれ。幼稚園中退。日本大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(心理学)。精神科救急受付等を経て、新潟青陵大学大学院臨床心理学研究科教授。新潟市スクールカウンセラー。好物はもんじゃ。専門は社会心理学。テレビ出演:「視点論点」「あさイチ」「めざまし8」「サンデーモーニング」「ミヤネ屋」「NEWS ZERO」「ホンマでっか!?TV」「チコちゃんに叱られる!」など。著書:『あなたが死んだら私は悲しい:心理学者からのいのちのメッセージ』『誰でもいいから殺したかった:追い詰められた青少年の心理』『ふつうの家庭から生まれる犯罪者』等。監修:『よくわかる人間関係の心理学』等。

碓井真史の最近の記事