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台風3号はいつ発生するのか?7月の台風発生傾向は?

杉江勇次気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属
雲の様子(ウェザーマップ)

台風1号と台風2号は、相次いで遅れて発生

台風1号と2号の進路図(ウェザーマップ)
台風1号と2号の進路図(ウェザーマップ)

ことしはエルニーニョ現象が発生していたこともあり、平均すれば3月に発生する台風1号の発生が5月下旬までずれ込みました。上図のように台風1号は、5月26日9時にフィリピン付近で発生し、統計のある1951年からの74年間では、7番目に遅い台風1号の発生となりました。(関連記事

ところが台風1号が日本の南へ北上し、5月31日3時に温帯低気圧に変わって消滅して間もなく、今度は南シナ海で5月31日15時に台風2号が発生しました。相次いで発生したために、台風2号の発生は、74年間で、20番目に遅い発生となりました。

この台風2号は発生して間もなく中国南部に上陸し、6月1日15時に熱帯低気圧に変わって消滅し、そこから6月は台風の発生が1個もありませんでした。遅く発生した台風1号から相次いで台風2号は発生したものの、再び台風の発生は影を潜めている状態で、そのまま7月に入りました。

台風3号は再び記録的に遅い発生か?

台風3号の遅い発生記録(筆者作成)
台風3号の遅い発生記録(筆者作成)

先述した通り、台風1号は7番目に遅く発生したものの、台風2号は20番目に遅い発生まで戻ったことになりますが、そこから新たな台風が1か月以上も発生していないため、再び台風3号の発生は遅くなってきています。

上図に示したのは、台風3号の遅い方からの発生記録です。きょうは7月2日(火)ですから、赤いラインを引いた通り、すでに13番以内の遅い発生は確定してきています。このまま7月上旬まで新たな台風の発生がなければ、10位以内が確定し、7月中旬まで新たな台風の発生がなければ、5位以内が確定する状況となっています。

またタイトル画像にある通り、現在、フィリピンの東やフィリピン付近、南シナ海には、いくつか目立つ雲の塊がありますが、いずれも熱帯低気圧に変わるような予想とはなっていません。では目先7月中旬頃にかけての台風の発生のしやすさは、どのような予想となっているでしょうか。

少なくとも7月中旬頃までは台風の発生数は少ない?

速度ポテンシャル予想(ウェザーマップ)
速度ポテンシャル予想(ウェザーマップ)

上図は速度ポテンシャルの予想で、平年と比べて、上空の空気の収束や発散が強いか弱いかをみたものです。オレンジ色の部分は平年より空気が収束しやすい場所、青色の部分は平年より空気が発散しやすい場所といえます。

赤い丸で囲んだ日本の南の主に台風が発生する領域では、上段の上空12000メートル付近でオレンジ色のため、空気の収束が平年より強く、逆に下段の上空1500メートル付近は青色で、空気の発散が平年より強く予想されています。つまり、簡単にいえば、赤い丸の中では、上空高い所で空気が集まって下降し、上空低い所で発散する傾向が平年より強く、対流は平年よりも不活発な傾向が予想されていることになります。

あくまでも平年との比較を計算したものなので、台風が発生しないとまではとても言い切れませんが、少なくとも平年に比べると、7月中旬頃にかけては、台風の発生が抑えられる可能性が高い予想といえます。

参考までに、現在の台風発生数は2個ですが、平年だと6月までの発生数は4.2個で、ことしの発生数は、今のところ平年の半分程度です。また7月の平年の台風発生数は3.7個となっています。

*台風の発生は速報値をもとにしています。

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

人の生活と気象情報というのは切っても切れない関係にあると思います。特に近年は突発的な大雨が増えるなど、気象情報の重要性が更に増してきているのではないでしょうか? 私は1995年に気象予報士を取得しましたが、その後培った経験や知識を交えながら、よりためになる気象情報を発信していきたいと思います。災害につながるような荒天情報はもちろん、桜や紅葉など、レジャーに関わる情報もお伝えしたいと思っています。

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