【Yahoo!ニュース 個人】3月の月間MVAとMVCが決定
■Yahoo!ニュース 個人、3月の「月間MVA(Most Valuable Article)」と「月間MVC(Most Valuable Comment)」が決定しました
社会の課題を伝えている・議論を喚起している・読者の心に響く……などの観点で選出している「月間MVA」。記事のアクセス数ではなく、目指す世界観「発見と言論が社会の課題を解決する」「文化の発展に寄与する」を体現している記事を、編集部を中心とした運営スタッフがアナログで選出しています。あわせて、すぐれたオーサーコメント「月間MVC」も選出しました。厳選5本の記事と1本のオーサーコメントを、筆者の受賞コメントとあわせてご紹介します。
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3月のMVA
■河井克行元法相は、なぜ突然買収容疑を全面的に認めたのか、選挙日程を逆算した裏事情とは(大濱崎卓真)
筆者による受賞コメント:「月間MVA」に初選出をいただきましたこと、誠にありがとうございます。河井克行元法相は、刑事被告人となってもなお、突然の弁護人解任や被告人質問での態度一変など、情状酌量目的では説明のつかない不可解な行為が見受けられていました。これら一つ一つの事象を「衆院解散時期を見越した大局的選挙戦略」という切り口で解説することで、一本の線に繋がったことと思います。清く正しい選挙への理解と浸透のために、これからもYahoo!ニュースを通じた情報発信をしていきたいと思います。(大濱崎卓真)
選出理由:被告人質問で買収について突然認めた河井克行被告。なぜ逮捕当初から訴え続けた無罪主張を一転させたのか、情状酌量の面だけではない背景を解説してくれました。担当の弁護士を解任し再び同じ弁護士を専任するなどこれまでの河井被告の行動について、「選挙」というフィルターをかけるという今までにない切り口で専門性を活かしながら解き明かしています。多くのユーザーが「なるほど」とうなずける内容になっています。
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■東日本大震災から10年 トイレ問題はデリケートで声に出しにくいため、対策が遅れてしまう(加藤篤)
筆者による受賞コメント:自然災害が起きるたびにトイレ問題は繰り返し起きています。話題にしづらいこともあり、多くの人はそれを知りません。被災地で起きたことを伝え、備えに繋げてもらうために、写真やデータを用いて記事を書きました。酷いトイレの写真を載せるか悩んだのですが、深刻さを理解頂きたく掲載しました。MVAへの選出に感謝するとともに、トイレ問題に光があたるように引き続き情報発信していきます。(加藤篤)
選出理由:普段、当たり前のように使える水洗トイレが使えない――そんな想定外の事態が災害時には起き、今どのような現状で課題があるのかを東日本大震災から10年の節目に紹介した記事。災害時に何が起きうるのか当時のトイレの様子を伝えながら、この事態を避けるためにいますぐ取り組むべきことをわかりやすく提案しています。多くは語られてこなかったものの、実は生命に直結しかねない「被災者のトイレ問題」について真正面から取り上げてくれました。
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■パフォーマンスアップは爪にあり!阪神・井川や岩田ほか野球選手の爪を護って20年。噂の「爪管理士」とは(土井麻由実)
筆者による受賞コメント:野球選手のパフォーマンスにとって、非常に重要な役割を果たしている「爪」。その爪に着目し、研究を重ね、護り続けている「爪管理士」三和田恵氏の活動は、野球界を下支えしています。しかしまだまだ認識度は低く、間違った知識での処置が横行しているのが現状です。記事を読んで「救われた」という声もいただいており、今後も学童からプロまで広く啓蒙するために追取材を続けるつもりです。(土井麻由実)
選出理由:アスリート、特にプロ・アマを問わず、広く野球選手の爪トラブルに対応する仕事・爪管理士。職業史の記録としての価値に加え、注目が集まらない頃から、プレーのパフォーマンス向上と爪の関連性に着目し、正しい知識と技術を伝えるために奮闘する一個人のライフヒストリーとしても興味深い記事です。
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■3.11 山間部の集落を襲ったもう1つの津波 #あれから私は(中澤幸介)
筆者による受賞コメント:月間MVAに選出していただき誠にありがとうございます。東日本大震災10周年の企画「#あれから私は」「#これから私は」を組んでいただいたおかげで、タイミングよく記事をまとめることができました。東日本大震災で顕在化した課題の数々が、今なお改善されずに放置され続けています。行政は3年もすれば担当が変わり、人々の記憶も薄らいでいく。そうした中でまた新たな災害が発生し、同じような課題が生じています。根本となる課題がどこにあるのか、今後も引き続きさまざまな問題を取り上げていく所存です。(中澤幸介)
選出理由:地震の揺れで決壊したダム水に飲み込まれ8人が死亡・行方不明となった福島県内の被害。同様の被害は全国各地で発生していることを紹介しながら、災害時のため池の危険性と「ため池ハザードマップ」など行政の防災対策を解説。山間部にはさらに鉱山や貯水槽などのリスクがあることを挙げ、それぞれ住む地域のリスクを見直すよう呼びかけました。地震への備えについて認識を深めさせてくれる1本です。
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■日韓は「不毛の争い」にピリオドを! 「反日」と「反韓」ムードに引きずられた10年 「#これから私は」(辺真一)
筆者による受賞コメント:日韓は「コロナ」が起きるまでは1千万人が往来するほど最も近い隣国なのに現状は最悪の関係にあります。日韓関係に携わってきた者としてこの「不幸な状況」を何とかしたいとの一念から執筆しました。どちらにも与しないよう心掛け、一方への批判も「お互い様」の視点から取り上げました。同感していただいた読者も、「喧嘩両成敗」に異議ありの読者もいて、一石を投じた甲斐がありました。(辺真一)
選出理由:東日本大震災から10年、というタイミングで当時の日韓間の復興支援と領土問題の展開を紐解きながら、この10年日韓関係が改善に向かわなかったことを指摘する記事。他方で、これからの10年は「新型コロナウイルス」のような禍に、隣国として協力し打ち勝ってほしいという思いが込められています。長年、日韓の課題解決に向けて発信を続けてきた筆者の専門性が光る内容です。
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3月のMVC
■『福岡男児餓死 ママ友と母親を起訴 保護責任者遺棄致死罪(毎日新聞)』の記事へのオーサーコメント(園田寿)
筆者による受賞コメント:MVCに選出していただき、ありがとうございます。共犯と身分が問題になった事件で、判例と学説が錯綜した難しい論点があります。公式の判例集などにはこのような実例は載っておらず、おそらく初めて裁判になるケースだと思います。専門家にとっても注目の事件です。オーサーコメントには400字という制限がありますが、余計な語句を削ぎ落として、専門家から見た問題の核心をズバリどう伝えるかの良い訓練になっています。(園田寿)
選出理由:福岡県で5歳男児が餓死した事件で、母親だけでなく、「ママ友」も保護責任者遺棄致死罪で起訴されたことを報じた記事へのコメントです。ママ友がなぜ保護責任者となったのか、刑法65条の「共犯」をあげて分かりやすく解説しています。今後の裁判員裁判のポイントにも触れており、読者の理解がより深まる内容になっています。