米国民の大麻支持率、最高に
大麻(マリファナ)合法化の進む米国で、大麻合法化を支持する国民の割合が過去最高に達していることが、複数の世論調査で明らかになった。来月8日には、大統領選挙と同時に、5つの州で大麻合法化の是非を問う住民投票が実施される予定で、合法化の流れが一気に加速する可能性もある。
60%が合法化に賛成
調査機関のギャロップが19日に発表した最新の世論調査によると、米国の成人の60%が「大麻は合法化すべき」と回答。2013年と15年の調査で記録した58%を抜き、過去最高となった。
69年の第1回調査では、大麻合法化を支持した人はわずか12%だった。その後しばらく、支持率は20%台でほぼ横ばいだったが、2000年あたりから上昇し始め、2011年には初めて50%に達した。
世代別にみると、いわゆるミレニアル世代と呼ばれる18‐34歳が最も支持率が高く、77%。次いで35‐54歳の61%。55歳以上は45%と5割を割り込んでいるが、それでも03年、05年の29%と比べると16ポイントも増えており、大麻合法化への支持は年代を問わず増えている。
支持政党との関連を見ると、民主党支持者の合法化支持率は67%で、共和党支持者の42%を大きく上回っている。ただし、共和党支持者の間の合法化支持率も、03年、05年の20%から倍増しており、米社会が政治的な思想・信条を超えて大麻の容認に傾いている実態が明らかになった。
すでに4州が解禁
別の調査機関ピュー・リサーチ・センターが12日に公表した調査結果でも、大麻合法化を支持する成人の割合は、06年の32%から25ポイント増えて57%となり、同社の調査で過去最高となったことがわかった。逆に、合法化に反対する割合は60%から37%に急低下している。世代別では、ギャロップの調査結果と同様、ミレニアル世代の支持率が71%と最も高くなっている。
米国では現在、全州のちょうど半分にあたる25州が、医療目的での大麻の使用を認めている。これに対し、タバコのように嗜好目的での大麻の使用は、コロラド州が14年に初めて合法化して以来、これまでワシントン、アラスカ、オレゴンの各州と、首都ワシントンDCが解禁した。
来月8日には、カリフォルニア、マサチューセッツ、メーン、アリゾナ、ネバダの5州が、嗜好目的での大麻の使用を認めるべきかどうかの住民投票を実施する。
合法化の流れを受け、実際に大麻を常用する人の数もうなぎ上りに増えている。
主要紙も正当性を主張
大麻合法化を支持するニューヨーク・タイムズ紙は、19日の社説で、「大麻を禁止する法律により、過去何十年の間に、何百万人という市民が逮捕され、何万人もの市民が刑に服した。だが、大麻で逮捕され投獄された人たちの圧倒的大多数は、一度も凶悪犯罪に手を染めたことのない人たちだ。大麻に関する政府の政策は、とりわけ国内のマイノリティー社会に壊滅的な影響を及ぼしている」と述べ、住民投票を前に、改めて大麻合法化の正当性を訴えた。
マイノリティー社会への壊滅的な影響とは、住民が大麻の不法所持の罪で次々と逮捕され、その結果、職を失うなどしてますます経済的に苦しくなり、地域が崩壊する現実を指している。大麻合法化支持者の多くは、大麻は多くの白人も吸っているにもかかわらず、不法所持で逮捕されるのは圧倒的に黒人であり、したがって大麻を禁ずる法律は人種差別的だと主張している。
ニューヨーク・タイムズ紙はまた、8日の住民投票で大麻合法化の流れが加速すれば、連邦政府に現行の大麻政策を変更するよう圧力がかかるだろうと指摘する。連邦法は大麻の使用を認めていないが、オバマ政権は州の合法化の動きを黙認してきた。このままでは連邦法と各州法の間の齟齬(そご)が広がるため、連邦政府は早晩、何らかの対応を迫られるというわけだ。
カギ握るカリフォルニア
ギャロップは、8日の住民投票に関し、カリフォルニア州は他州への影響力が強いことから、同州の住民投票で大麻の合法化が決まれば、他の多くの州も合法化に動き出すのではないかと予想する。そのカリフォルニア州は、最新の世論調査によると、投票に行くと答えた有権者の6割以上が合法化に賛成しており、大麻解禁の可能性が高まっている。