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バドミントン女子の表彰式で中国選手がとった行動にSNSは「感動」「中国人にこんなことができるとは…」

中島恵ジャーナリスト
銀メダリストの何氷嬌選手。右手にスペイン国旗が描かれた小さなピンバッジを持つ(写真:ロイター/アフロ)

8月5日に行われたパリ五輪・バドミントン女子シングルスの決勝戦は、アン・セヨン選手(韓国)が何氷嬌選手(中国)に勝ち、金メダルを獲得したが、2位(銀メダル)となった何選手が表彰式でとった行動が「なんてすばらしいんだ」と感動を呼んでいる。

対戦相手が途中棄権した

何氷嬌選手は表彰台に上る際、右手にスペインの国旗が描かれた、小さなピンバッジを持って現れた。その理由は準決勝で戦ったカロリナ・マリン選手(スペイン)を思いやったから。マリン選手は優勝候補の一角だったが、何選手と対戦中、右膝を痛めて試合続行が困難となってしまった。

コートに倒れた際、何選手は心配そうに見守っていたが、結局、マリン選手は途中棄権。涙を流しながらコートを去ることになった。

これにより何選手は不戦勝となり、決勝に進出した。結果は準優勝で、3位はインドネシアの選手に確定した。表彰式の際、手にスペインのバッジを持って現れたことについて、何選手はメディアに「マリン選手がケガしたことが悲しかったから。マリン選手には1日も早く良くなってほしいと思いました」と回答。

ピンバッジはスペインオリンピック委員会の小さいものだが、そこには、無念のマリン選手に対する何選手の「思いやり」が込められていた。

中国のSNSも絶賛

これに対し、世界中のSNSが感動し「これぞ、オリンピック精神」「真の友情」と褒めたたえているが、中国のSNSでも同様の反応だった。ウェイボー(微博)のコメント欄を見ると「中国人にこんなに気の利いたことができるとは……」「相手選手に対するリスペクトがすばらしい」「なんて善良でいい子なんだ」「心が洗われる思いだ」と絶賛の嵐だった。

手に持っていたのが「小さな国旗」だったことも、彼女のさりげなさ、奥ゆかしさを感じさせたようだ。

今大会では、「イケメン」と話題の体操男子の張博恒選手が、個人戦の決勝で、日本の岡慎之助選手の優勝が決まった際、すぐに笑顔で岡選手に拍手を送ったことが「行動もイケメン」と称賛された。

また、卓球女子シングルス準決勝で、早田ひな選手と対戦した孫穎莎選手が、試合終了後、早田選手の左腕の負傷を気遣うなど、対戦相手への敬意(リスペクト)ある態度が評判になっている。

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中国メディア「英国足球那点事」より(筆者によるスクリーンショット)
中国メディア「英国足球那点事」より(筆者によるスクリーンショット)

ジャーナリスト

なかじま・けい ジャーナリスト。著書は最新刊から順に「日本のなかの中国」「中国人が日本を買う理由」「いま中国人は中国をこう見る」(日経プレミア)、「中国人のお金の使い道」(PHP)、「中国人は見ている。」「日本の『中国人』社会」「なぜ中国人は財布を持たないのか」「中国人の誤解 日本人の誤解」「中国人エリートは日本人をこう見る」(以上、日経プレミア)、「なぜ中国人は日本のトイレの虜になるのか?」「中国人エリートは日本をめざす」(以上、中央公論新社)、「『爆買い』後、彼らはどこに向かうのか」「中国人富裕層はなぜ『日本の老舗』が好きなのか」(以上、プレジデント社)など多数。主に中国を取材。

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