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亡母の遺言書に全財産は私に相続させるとありました。注意点はありますか。

お母様が亡くなり、葬儀も終わった頃、長女が亡き母の自宅で遺言書を発見しました。お父様はすでに他界、兄弟は他に弟がいます。

このようなケースでは遺言書をどのように扱えば良いでしょうか。

遺言書は勝手に開けてはいけない

まず、自宅で封筒に入った遺言書を見つけた場合、勝手に開封してはいけません。

被相続人が自分で書いた遺言書(自筆証書遺言と言います)に基づいて相続手続きを行う場合、家庭裁判所での検認手続きが必要となります。

検認手続きとは、相続人立会いのもと、裁判官が遺言書を開封する手続きで、検認が終わると検認済みの証明書を交付してもらうことができます。

全財産を自分に相続させると書いてあった遺言書で気を付けること

遺言書を開封すると、全財産を自分に相続させると書いてありました。しかし喜んではいけません。必ずしも遺言書の通り自分が相続できるとは限らないからです。

主に注意すべき点は、以下のポイントです。

  1. 他の相続人から遺留分を請求される可能性がある。
  2. 遺言書の有効性を疑われる可能性がある。
  3. 不動産に対し、他の相続人の債権者が債権者代位で法定相続分の相続登記をする可能性がある。

もし遺留分を請求されたら

他の兄弟から遺留分を請求された場合でも、遺言書通りに預貯金や不動産を相続することは可能です。その代わり、金銭の支払いで解決を図ります。

相続人の遺留分は以下の通りです。

  • 父母、祖父母など直系尊属のみが相続人…法定相続分の3分の1
  • 上記以外の場合…法定相続分の2分の1

なお、兄弟姉妹が相続人になる場合、遺留分はありません。

また、相続が開始し、遺留分があることを知ったときから1年を経過、もしくは相続開始の時から10年を経過したときに、遺留分侵害額請求権は時効により消滅します。

遺言書があっても相続人間で争う可能性がある

遺言書があったからといって、円満に相続手続きができるとは限りません。

特に他の相続人の遺留分を侵害する遺言書については要注意です。

ただし、相続人の全員の同意があれば、遺言書の内容とは違う遺産分割をすることが可能です。

遺産の争いを避けるためには、遺産分割協議をすることも解決方法の一つになることを覚えておきましょう。

司法書士とは不動産などの大切な権利を守るための専門家です。司法書士の視点から不動産、相続、終活を中心にわかりやすく役に立つ記事をお届けします。AFP2級ファイナンシャルプランナーでもあり、行政書士、宅建士の有資格者です。

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