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なぜレアルとシティは引き分けたのか?猛プレス、マンツー守備、2人カウンター…アンチェロッティの誤算。

森田泰史スポーツライター
欧州屈指の好カードはドロー(写真:ムツ・カワモリ/アフロ)

試合開始直後から劇的だった。いや、試合開始の前からだったかも知れない。

チャンピオンズリーグ準々決勝ファーストレグ、レアル・マドリー対マンチェスター・シティの一戦は、3−3の引き分けに終わった。マドリーの本拠地サンティアゴ・ベルナベウでのドロー。決着はシティの本拠地エティハドにおけるセカンドレグに持ち越された。

競り合うグヴァルディオルとカルバハル
競り合うグヴァルディオルとカルバハル写真:ムツ・カワモリ/アフロ

シティは試合の直前に、ケヴィン・デ・ブライネがコンディション不良でスタメンから外れた。一方のマドリーはオウレリアン・チュアメニをセンターバックに抜擢したが、彼が開始38秒でファールを犯してイエローを喰らい、そのFKでGKアンドリュー・ルニンが対応を誤り、ベルナルド・シルバに先制点を許した。

そう、わずか1分足らずで、ゲームは大きく動いていた。

■マンツーマンの守備

マドリーはシティの偽センターバックに対して、マンツーマンで守備をぶつけた。

シティの【3−4−2−1】に、【4−3−3】を打ち当て、自由を奪おうとした。

重要な役割を担ったのがフェデリコ・バルベルデだ。右MFに位置しながら、相手の左CB(グヴァルディオル)まで果敢にプレスに出ていく。引いて守備をする際には帰陣して、右SBのダニ・カルバハルをヘルプ。相当な運動量だったが、それでも終盤に起死回生の同点弾を挙げており、脱帽もののパフォーマンスを見せた。

■2人カウンター

早々に1点のリードを許したマドリーだったが、プランは変えなかった。攻撃の中心はヴィニシウス・ジュニオールとロドリゴ・ゴエスで、彼らの「2人カウンター」である。

カルロ・アンチェロッティ監督の起用で、周囲を驚かせたのは、ヴィニシウスとロドリゴの配置だ。

カイル・ウォーカーの欠場で、シティの右サイドはウィークポイントになっていた。いつもであれば、そこにはヴィニシウスが置かれる。だがシティ戦では、ロドリゴが左に回った。

ロドリゴ(1得点)、ヴィニシウス(2アシスト)と結果を見れば、アンチェロッティ監督の判断は悪くなかったと言えるだろう。マドリーの2点目のシーンでは、まさに左サイドから抜け出したロドリゴがゴールを沈めている。

3−1にしたかったーー。しかし、これがマドリーの本音だろう。できれば、前半のうちに3点目をゲットしておきたかった。前半12分、15分に得点を奪い、逆転して、シティ側は明らかに浮き足立っていたのだ。

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■ハーランド対策

アンチェロッティのプランは完璧ではなかった。

だが一定の効果を挙げてはいた。

そのひとつが、「ハーランド対策」だ。アーリング・ハーランドに対してアントニオ・リュデイガーをマンツーマンで付けるというのは、昨シーズンと同じ手法だった。これを繰り返して、見事、ハーランドを零封している。

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スポーツライター

執筆業、通訳、解説。東京生まれ。スペイン在住歴10年。2007年に21歳で単身で渡西して、バルセロナを拠点に現地のフットボールを堪能。2011年から執筆業を開始すると同時に活動場所をスペイン北部に移す。2018年に完全帰国。日本有数のラ・リーガ分析と解説に定評。過去・現在の投稿媒体/出演メディアは『DAZN』『U-NEXT』『WOWOW』『J SPORTS』『エルゴラッソ』『Goal.com』『ワールドサッカーキング』『サッカー批評』『フットボリスタ』『J-WAVE』『Foot! MARTES』等。2020年ラ・リーガのセミナー司会。

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