交換設備が廃止された築堤上の駅 長崎本線 東諌早駅(長崎県諫早市)
令和4(2022)年9月23日の西九州新幹線開業により特急「かもめ」が走らなくなり、ローカル線に転落した長崎本線の江北(旧:肥前山口)~長崎間。単線区間では列車行き違いや特急退避のため全ての駅に交換設備が設けられていたが、特急の廃止によりその設備も過剰なものとなった。その結果として交換設備が廃止されて棒線駅となってしまったのが諫早駅の隣の東諌早駅だ。
東諌早駅は昭和9(1934)年3月24日、有明西線諫早~湯江間の開業時に開設された。元はカーブした片面ホームの駅であったが、昭和47(1972)年2月10日の無人化後に木造駅舎が撤去され、平成2(1990)年3月1日にホームを諫早寄りに移設して2面2線の交換駅化された。住宅街のどん詰まりとでも言うべき立地で、駅前に商店などはない。
ホームは築堤上に位置し、駅前からは階段を上がってアクセスする。駅に面しているのは車の通れない狭い道で、駅前の車道とはフェンスで隔てられている。
階段を上がるとホーム入口で、1番ホームへ上がる短い階段の手前に構内踏切の跡がある。構内踏切の先にある2番ホームは令和4(2022)年9月22日まで使われていた。
構内踏切は線路に支障する部分の踏み板だけが外されていて、撤去に手間を要するコンクリートの構造物はそのままだ。2番ホーム上の駅名標などもそのまま存置されている。
現在使われているのは1番ホームのみだが、2番ホーム上の設備もあまり撤去されていないので、ぱっと見は2番ホームも現役設備のように見える。だが、線路の輝きを見比べてみるとその差は一目瞭然だ。
交換駅としての現役当時、東諌早駅は1番線を直線とした一線スルー方式で、特急列車は1番線を通過していた。普通列車も原則として1番線に停車しており、2番線に停車するのは行き違いや通過待ちを行う時だけだった。
東諌早駅のかつての交換設備は今のところ現役当時の姿を留めているが、いずれは撤去されてしまうと思われるので、その姿を見たいなら早めに行っておいた方がいいだろう。