蓼酢(たでず)は水辺に生える雑草ヤナギタデで作る伝統的な調味料 ヤナギタデの特徴と作り方を詳しく紹介
蓼酢(たでず)と言うものを知っている方はかなりの食通だと思います。
焼き魚、特に鮎の塩焼きには蓼酢と言われるくらい川魚の塩焼きに合う調味料です。
この蓼酢は初夏の河原や沢筋、水田の畦道などに自生するヤナギタデと言う植物の葉で作ります。
ヤナギタデとは
ヤナギタデは水辺などに生えるタデ科の一年草で、いわゆる雑草です。
葉の形がヤナギに似ていることからこの名前が付きました。
葉には独特の強い辛味があります。
生の葉をかじると少し遅れて数秒後に口の中に辛味が広がります。
この辛味を文章で伝えるのは難しいのですが、あえて書けば「辛味大根と唐辛子の辛さを足して2で割った」感じとでも言ったところでしょうか。
辛さは強いですが唐辛子のようにいつまでも口の中に残る辛さではありません。
葉を口から出せば辛さは直ぐになくなります。
秋になると茎の先端に淡いピンク色の小さな花が集まった穂を付けます。
ヤナギタデの花穂はかなり地味で、同じタデ科の雑草イヌタデのように目立ちません。
タデ科の植物で葉に辛味があるのはヤナギタデだけです。
葉の形などが似ているイヌタデには辛味がなく蓼酢作りには使えません。
ヤナギタデの葉を採って蓼酢を作る
蓼酢を作るためにはヤナギタデの葉を採取します。
葉が付いた茎を折り取って採取するのが簡単な採取方法です。
持ち帰ったヤナギタデの茎から葉を切り取ります。
蓼酢作りに使うのはヤナギタデの葉だけです。
蓼酢作りでは以下の物を用意します。
- ヤナギタデの葉(30〜50枚)
- 酢(少々)
- 調理はさみ
- すり鉢とすりこ木(少量の材料が粉砕できるミルサー等の電動調理器でも可)
- 茶こし網
- コップなどの容器
ヤナギタデの葉を調理ハサミで細かく切りながらすり鉢の中に入れます。
ミルサーやフードプロセッサーなどの電動調理器を使う場合でも同じく事前に細かく切っておきます。
葉を細かく切っておくとすり潰しやすくなります。
少量の酢を加えてからすり潰します。
最初から酢をたくさん加え過ぎないように注意します。
酢が多すぎると出来上がった蓼酢が薄くなってしまいます。
かと言って、ヤナギタデの葉は水分が少ないので酢を全く加えないと上手くすり潰すことができません。
すり潰しながら少しづつ酢を増量して濃い緑色のドロッとした状態に仕上げていきます。
酢の量を調整しつつ下の写真程度になるまですり潰します。
これを茶こし網でろ過して葉の滓を取り除き緑色の液体だけにします。
茶こし網はなるべく目の細かい物を使います。
布巾などに包んで搾っても良いと思います。
出て来た緑色の液体が蓼酢(たでず)です。
蓼酢は日持ちしません。
作って数時間で風味や色が失せてしまいます。
葉をすり潰す時に少量のご飯粒を入れてからすり潰すと成分が沈殿せずに緑色の状態が長く保てると言われていますが、それでも数時間が限度です。
蓼酢を作るヤナギタデは別名アユタデと呼ばれるくらいで、鮎の塩焼きにはとても良く合います。
鮎以外でも様々な焼き魚にとても相性が良いものです。
魚の他にも塩で軽く味付けして焼いただけの肉などにも意外なほど良く合います。
ヤナギタデの葉や蓼酢は市販されることはまず無いので自分で採取して作るしか無いレアな調味料です。
初夏から夏の終わり頃までなら蓼酢が作れる葉を付けたヤナギタデを見つけることが出来ます。
ヤナギタデを見つけたら季節感あふれる蓼酢を作ってみるのも楽しいものです。
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