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レアルのCL敗退危機とジダン解任の可能性。思い起こされる「ジダーネスとパボーネス」の記憶。

森田泰史スポーツライター
インテルとレアル・マドリーの一戦から(写真:ムツ・カワモリ/アフロ)

果たしてレアル・マドリーは復調できるのか。それが問題だ。

マドリーはリーガエスパニョーラ第12節でセビージャに1-0と勝利した。公式戦4試合未勝利が続いていた中で白星を取り戻している。

だがマドリーが厳しい状況に立たされているのは変わらない。チャンピオンズリーグではグループステージ最終節でベスト16進出を懸けてボルシア・メンヒェングラッドバッハと対戦する。グループ最終節の段階でこれほどまでに追い込まれているのは2004年以来だ。

銀河系軍団と呼ばれたレアル・マドリー
銀河系軍団と呼ばれたレアル・マドリー写真:ロイター/アフロ

■銀河系軍団でさえ

2004-05シーズン、マドリーはグループ最終節でローマと対戦した。

イケル・カシージャス、ミチェル・サルガド、イバン・エルゲラ、ワルテル・サムエル、ロベルト・カルロス、デイビッド・ベッカム、グティ、ルイス・フィーゴ、ラウール・ゴンサレス、ジネディーヌ・ジダン、ロナウド。これがローマ戦のマドリーのスタメンだ。錚々たるメンバーである。

マドリーは「銀河系軍団」を携えていた。フロレンティーノ・ペレス会長の第一次政権において、毎年のようにスタープレーヤーを獲得した。なお、ローマ戦ではバロンドール受賞者のマイケル・オーウェンがベンチに座っていた。

「ジダーネス・イ・パボーネス」

ペレス会長の方針は、そのように呼ばれていた。ジダン(スター選手の象徴)とフランシスコ・パボン(カンテラーノの象徴)を重宝しながらのチームビルディングでタイトル獲得を目指していた。

その試合でマドリーはローマに3-0で勝利。決勝トーナメント進出を決めた。

いまは監督として指揮を執るジダン
いまは監督として指揮を執るジダン写真:ムツ・カワモリ/アフロ

■3トップの競争

あのローマ戦、2ゴールの活躍を見せたのがロナウドだ。

そして、現在、マドリーで彼の系譜を継ごうとする選手がいる。ヴィニシウス・ジュニオールとロドリゴ・ゴエスである。

先のセビージャ戦では、ロドリゴが右ウィングで、ヴィニシウスが左ウィングで先発出場した。彼らがリーガにおいてスタメンで同時起用されるのは第2節レアル・ソシエダ戦(0-0)以来だった。

今季のマドリーは3トップが定まらずにいる。センターフォワードのカリム・ベンゼマ(リーガ9試合出場/793分)は当確だ。度重なる負傷に苦しめられるエデン・アザール(3試合/出場時間153分)、マルコ・アセンシオ(9試合/出場時間445分)、ヴィニシウス(10試合出場/出場時間606分)、ロドリゴ(7試合/283分)が残る2つのポジションを争っている。

筆者作成
筆者作成

■マドリーの守備力

「勝利が重要だった。それに、僕たちは無失点で試合を終えられた」とはセビージャ戦後のヴィニシウスの言葉だ。

レアル・マドリー守備陣
レアル・マドリー守備陣写真:ロイター/アフロ

マドリーが今季のリーガで最後にクリーンシートを達成したのは10月4日のレバンテ戦(○2-0)だった。以降はカディス戦(×0-1)、バルセロナ戦(○3-1)、ウエスカ戦(○4-1)、バレンシア戦(×1-4)、ビジャレアル戦(△1-1)、アラベス戦(×1-2)と失点を喫していた。

CLでは、シャフタール・ドネツク戦(×2-3)、ボルシアMG戦(△2-2)、インテル戦(○3-2)、インテル戦(○2-0)、シャフタール戦(×0-2)と無失点に抑えたのは1試合のみだ。

マドリーがCLでグループ敗退に終わったことは過去に一度もない。28回、グループステージで戦いゼロである。スペインのメディアではジダン監督の解任の可能性が取り沙汰され始めている。次戦が今季最も勝利が求められる試合になるのは間違いない。

スポーツライター

執筆業、通訳、解説。東京生まれ。スペイン在住歴10年。2007年に21歳で単身で渡西して、バルセロナを拠点に現地のフットボールを堪能。2011年から執筆業を開始すると同時に活動場所をスペイン北部に移す。2018年に完全帰国。日本有数のラ・リーガ分析と解説に定評。過去・現在の投稿媒体/出演メディアは『DAZN』『U-NEXT』『WOWOW』『J SPORTS』『エルゴラッソ』『Goal.com』『ワールドサッカーキング』『サッカー批評』『フットボリスタ』『J-WAVE』『Foot! MARTES』等。2020年ラ・リーガのセミナー司会。

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