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バルサとレアルのスペイン「2強時代」は終焉か?現在のレアル・ソシエダを見逃すな。

森田泰史スポーツライター
ソシエダに加入したD・シルバ(写真:ムツ・カワモリ/アフロ)

久しぶりに、リーガエスパニョーラが面白い展開になっている。

リーガエスパニョーラ第11節終了時点で、首位を走るのはレアル・ソシエダだ。ソシエダ(11試合消化/勝ち点24)、アトレティコ・マドリー(9試合消化/勝ち点23)、ビジャレアル(11試合消化/勝ち点20)、レアル・マドリー(10試合消化/勝ち点17)が上位を争っている状況だ。

■創造性の担保

ソシエダは今夏、ダビド・シルバを獲得した。D・シルバは昨季限りでマンチェスター・シティとの契約が満了してフリーになっていた。ラツィオから強い関心を示されていたD・シルバだが、最終的にはソシエダ移籍を決断している。

ソシエダの布陣/筆者作成
ソシエダの布陣/筆者作成

2019-20シーズン、ソシエダの中心にいたのはマルティン・ウーデゴールだった。【4-3-3】の右インサイドハーフに入り、彼がソシエダの攻撃を操っていた。カンテラ(下部組織)出身選手を重宝するイマノル・アルグアシル監督にとってウーデゴールは貴重な存在だった。規律を重視するバスクで、敢闘精神を持ったファイターは生まれてくる。だがウーデゴールのように創造性を担保してくれる選手は稀有なのだ。

そのウーデゴールの代わりに、D・シルバが加入した。そして、D・シルバはウーデゴールに優るとも劣らない活躍を見せている。今季、リーガで9試合1得点2アシスト。ゴール関与率は13%と数字の上では決して秀でているわけではない。

だがD・シルバが操るソシエダの攻撃はバリエーションに富んでいる。フリーランが巧みなクリスティアン・ポルトゥとミケル・オジャルサバルを両翼に携え、【4-3-3】から可変式に【4-2-3-1】になり、トップ下の位置にD・シルバが現れる。かつて、マンチェスター・シティを率いるジョゼップ・グアルディオラ監督は「ライン間のプレーにおいてシルバ以上の選手はいない」と語っていた。そのプレーを、D・シルバはソシエダで(如何なく)披露している。

各クラブのカンテラーノの人数/筆者作成
各クラブのカンテラーノの人数/筆者作成

■カンテラーノ

先に触れたように、イマノル監督はカンテラーノを重宝している。

今季序盤戦においてソシエダはリーガで最多のカンテラーノ数を誇った。16名のカンテラーノが、トップチームに絡んできている。アスレティック(15名)、バルセロナ(8名)、セルタ(8名)、ビジャレアル(8名)に優る数字だ。リーガ第8節セルタ戦では、実に11名のカンテラーノがピッチに立った。

それはクラブの方針とも合致している。2009年の1部復帰後、ソシエダで32人のカンテラーノがトップデビューしている。また、興味深いのはレンタルバックの活用だ。この夏、グリディ、バウティスタ、サニャン、アレックス・ソラたちがレンタルバックで復帰。グリディ、バウティスタ、サニャンはすでに出場機会を得ている。新型コロナウィルスによる経済的打撃への対策の一環となった。

オジャルサバル、アンデル・ゲバラ、アイエン・ムニョス、アンデル・バレネチェア、マルティン・スビメンディ、マルティン・メルケランス、ロベルト・ナバーロ、ヨン・バウティスタ、ロバン・ル・ノルマン、アリツ・エルストンド、イゴール・スベルディア、ホセバ・サルドゥア、アシエル・イジャラメンディ、アレックス・ソラ、ヨン・グリディ、アンドニ・ゴロサベル...。彼らがソシエダの未来であり希望なのである。

2002-03シーズン、ソシエダはリーガ制覇にあと一歩まで迫った。優勝したレアル・マドリー(勝ち点78)と2位ソシエダ(勝ち点76)の差は僅かだった。

今季、2013-14シーズン(優勝者アトレティコ・マドリー)以来の2強以外のチャンピオンの誕生に期待する人は少なくないかも知れない。

スポーツライター

執筆業、通訳、解説。東京生まれ。スペイン在住歴10年。2007年に21歳で単身で渡西して、バルセロナを拠点に現地のフットボールを堪能。2011年から執筆業を開始すると同時に活動場所をスペイン北部に移す。2018年に完全帰国。日本有数のラ・リーガ分析と解説に定評。過去・現在の投稿媒体/出演メディアは『DAZN』『U-NEXT』『WOWOW』『J SPORTS』『エルゴラッソ』『Goal.com』『ワールドサッカーキング』『サッカー批評』『フットボリスタ』『J-WAVE』『Foot! MARTES』等。2020年ラ・リーガのセミナー司会。

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