レアルはジダンを解任するのか?「127億円」減のクラブの懐事情と挙がるポチェッティーノの名。
レアル・マドリーで、ジネディーヌ・ジダン監督の続投が危ぶまれている。
マドリーはチャンピオンズリーグ・グループステージ第5節でシャフタール・ドネツクと対戦。敵地で0-2と敗れた。他会場の試合でインテルがボルシア・メンヒェングラッドバッハに勝利したため、グループBは4チームすべてに決勝トーナメント進出の可能性が残る状況となっている。
マドリーは過去、CLで常に決勝トーナメント進出を果たしてきた。バルセロナ(2001-02シーズン)、バイエルン・ミュンヘン(2002-03シーズン)、ミラン(2000-2001シーズン)といったクラブでさえグループステージ敗退の経験がある。だが、マドリーは一度もない。今季、グループステージ敗退となれば、それは史上初の出来事になる。
■補強ゼロ
この夏、マドリーは補強を行わなかった。マルティン・ウーデゴール、アルバロ・オドリオソラ、アンドリュー・ルニンがレンタルバックで復帰したものの、新型コロナウィルスによる財政悪化は避けられなかった。
2019-20シーズン、マドリーの予算の13%がパンデミックの影響で削られた。およそ1億600万ユーロ(約127億円)の収入が減った。また、マドリーは本拠地サンティアゴ・ベルナベウの改修工事で「貯金」を必要としていたため、選手の獲得に動かなかったのだ。
ジダン監督にとって計算外だったのは主力選手の相次ぐ負傷だろう。ダニ・カルバハル、フェデリコ・バルベルデ、セルヒオ・ラモスが負傷で離脱を強いられた。ラモス不在の試合では、直近のCL9試合で1勝8敗と大きく負け越している。
■後任候補の名前
「辞任は考えていない」
これはシャフタール戦で敗れた後のジダン監督の言葉だ。一方、スペイン『マルカ』が行ったアンケートでは7万9000票が集まり、「グループ敗退なら続投は不可能」に65%が投票している(日本時間3日午前時点)。
後任候補にはマウリシオ・ポチェッティーノ監督、ラウール・ゴンサレス監督の名前が挙がっている。ポチェッティーノ監督は現在フリーの身だ。ラウール監督はBチーム相当のカスティージャで指揮を執っている。奇しくも、2015-16シーズン、ジダン監督自身がラファエル・ベニテス当時監督の後任としてカスティージャからトップチームの指揮官に昇任した経緯がある。
■放出オペレーション
2020-21シーズン開幕前、マドリーは多くの選手を放出した。
フロレンティーノ・ペレス会長はアクラフ・ハキミ(移籍金4000万ユーロ/約48億円/インテル)、セルヒオ・レギロン、(移籍金3000万ユーロ/約36億円/トッテナム)、オスカル・ロドリゲス(移籍金1350万ユーロ/約16億円/セビージャ)らの売却を決断。ガレス・ベイル(トッテナム)、ボルハ・マジョラル(ローマ)といったレンタル組を含めれば、合計15選手が新天地に向かっている。
一方で、この冬の補強は難しい。先述したように、クラブの財政事情は厳しい。今季の予算は6億1700万ユーロ(約740億円)だとされ、「通常状態」の概算に顧みて3億ユーロ(約360億円)減になるといわれている。
ジダン監督はマドリーで前人未到のCL3連覇を成し遂げ、指揮官としての評価を高めた。だが、そのCLの結果が彼のポストを危うくしている。CLに始まり、CLに終わる。そのような結末も否定はできない。