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栃木県・佐野で歴代3位の41.0度を観測 6地点で40度の大台という今年一番の暑さは30日も続く

饒村曜気象予報士
熱中症で倒れそうな中年男性(提供:イメージマート)

栃木県佐野で41.0度

 令和6年(2024年)7月29日は、東日本の日本海側から北日本は、低気圧と前線の影響でくもりや雨となり、大雨となっている所がありました。

 一方、西日本~東日本の太平洋側では、西日本を中心とした優勢な高気圧に覆われ、低気圧や前線に向かって北上している暖気と強い日射によって気温が記録的に高くなりました(図1)。

図1 栃木県・佐野で41.0度を観測したときの地上天気図と衛星画像(7月29日12時)
図1 栃木県・佐野で41.0度を観測したときの地上天気図と衛星画像(7月29日12時)

 東日本太平洋側では、東シナ海から日本海西部を通って大きく回り込むように暖気が流入したため、山越え気流の影響(一種のフェーン現象)で、気温が記録的に高くなりました。

 東京都心で37.7度を観測するなど、全国133地点で今年最高を観測し、栃木県・佐野など6地点で40度以上という記録的な高温を観測しました(表)。

表 最高気温の観測地点ランキング(同じ値の時は新しく観測した地点を上位にした)
表 最高気温の観測地点ランキング(同じ値の時は新しく観測した地点を上位にした)

 長い気象庁の観測の中で、今年7月7日の静岡を含め、全国35地点、のべ70回しか観測していない最高気温40度超えを、新規の2地点を含む6地点で観測したのです。

【令和6年(2024年)7月29日の40度超えの観測地点】
41.0度  栃木県・佐野 
40.2度  群馬県・館林、静岡県・天竜
40.1度  群馬県・伊勢崎 
40.0度  埼玉県・熊谷、茨城県・古河

 このうち、栃木県・佐野の41.0度は、観測史上3位、栃木県初の40度超えです。

 また、茨城県・古賀の40.0度は、茨城県初の40度超えです。

 都道府県別の最高気温40度以上を観測したのべの地点数(7月29日までの37地点のべ76回)をみると、一番多いのは岐阜県の15地点です(図2)。

図2 都道府県別の最高気温40度以上を観測した地点数(のべ)
図2 都道府県別の最高気温40度以上を観測した地点数(のべ)

 次いで、群馬県の13地点、新潟県の9地点となっており、ほとんどが東日本で観測されており、沖縄や九州で40度超えはありません。

猛暑日と真夏日・夏日

 7月29日に全国で一番気温が高かったのは、栃木県・佐野の41.0度ですが、最高気温が35度以上の猛暑日を観測したのが255地点(気温を観測している全国914地点の約28パーセント)もありました(図3)。

図3 全国の猛暑日、真夏日、夏日の観測地点数の推移(7月30日以降は予想)
図3 全国の猛暑日、真夏日、夏日の観測地点数の推移(7月30日以降は予想)

 また、最高気温が30度以上の真夏日は635地点(約69パーセント)、最高気温が25度以上の夏日は770地点(約84パーセント)でした。

 猛暑日、真夏日、夏日とも、今年最多ではありませんが、今年最多に迫る高い数値です。

 そして、局地的には、極端に高い気温となったのです。

 7月30日以降も、似たような気圧配置が続き、東日本太平洋側を中心に気温が高くなる見込みです(図4)。

図4 日最高気温の予想(7月30日の予想)
図4 日最高気温の予想(7月30日の予想)

 コンピュータの計算の中には、7月30日以降も40度以上の観測地点があるという予報になっていますので、今夏は、41.1度という日本記録を更新するかもしれません。

熱中症警戒アラート

 気象庁と環境省が共同で、全国59地域(都府県毎、北海道と鹿児島県・沖縄県は細分)を対象に、前日夕方と当日朝の1日2回、「熱中症警戒アラート」を発表しています。

 7月30日の前日予報では、全国30地域(約51パーセント)に対して「熱中症警戒アラート」が発表されています(図5)。

図5 熱中症警戒アラートの発表状況(7月30日の前日発表)
図5 熱中症警戒アラートの発表状況(7月30日の前日発表)

 今年は、記録的な高温となった昨年を、一週間程度上回るペースで熱中症警戒アラートが発表されています(図6)。

図6 熱中症警戒アラートの発表回数(2022年・2023年と2024年の比較)
図6 熱中症警戒アラートの発表回数(2022年・2023年と2024年の比較)

 今年から熱中症特別警戒アラートの運用が始まり、発表時には徹底的な熱中症対策をとることが必要となります。

 現在運用中の熱中症警戒アラート(対象地域内のどこかで暑さ指数33以上)と違い、熱中症特別警戒アラートは都道府県単位で、前日の14時に都道府県内全ての暑さ指数が35以上と予測される場合に発表されます。

 この発表基準は、これまでに経験したことがない暑さで、記録的な猛暑となった昨年も発表基準に達していません。地球温暖化等で予想される今後の暑さに対する備えです。

 7月29日からの暑さでは、熱中症特別警戒アラートは発表されませんが、発表に至らないとはいえ、熱中症になりやすい危険な暑さにはかわりがありません。

 熱中症特別警戒アラートで求められる徹底的な熱中症対策に準じた対策が必要です。

図1、図4の出典:ウェザーマップ提供。

図2の出典:気象庁ホームページとウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。

図3の出典:ウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。

図5の出典:環境省ホームページ。

図6の出典:環境省ホームページをもとに筆者作成。

表の出典:気象庁ホームページをもとに筆者作成。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2024年9月新刊『防災気象情報等で使われる100の用語』(近代消防社)という本を出版しました。

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