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あんこ好きにイチオシ!いわき市銘菓「じゃんがら」は約75年愛されるあんこと卵たっぷりのハイカラ和菓子

柳谷ナオ和菓子ソムリエ・ライター

五月の大型連休も過ぎ、やっと体が通学や通勤モードに戻ってきたという方も多いのではないでしょうか。都内のオフィス街も喧騒を取り戻し、せかせかと足早に目的地へ向かう人たちで溢れています。

しかし、来月後半になるとちらつき始めるのが夏休み。海外旅行を計画している方は早め早めの準備に取り掛かるのではないでしょうか。そのなかの人気観光地のひとつ、ハワイ。しかし、海外のハワイよりも楽しめるかもしれないのがスパリゾートハワイアンズ。

観光のお土産としてもぴったりなパッケージ
観光のお土産としてもぴったりなパッケージ

そのスパリゾートハワイアンズ目的に観光客で賑わう福島県いわき市には、市内に10店舗以上の店舗を構える地元の方にも大人気の和洋菓子屋さんがあるのです。その名も「みよし」さん。

夏休みにはおやつやご挨拶用の品物を購入する人たちで賑わうお店には、創業時より愛され、いわき市の伝統芸能をモチーフにした和菓子があるのです。今回はみよしさんの「じゃんがら」をご紹介。

じゃんがら
じゃんがら

じゃんがら念仏踊り、と申しまして、福島県いわき市では初盆を迎えたお宅を専門の団体が周り、太鼓などにあわせて雄々しく舞い踊りながら念仏を唱えるという踊りです。無形民俗文化財にも指定された郷土芸能は担い手不足とも囁かれることもありますが、小学生の子供たちにも伝えていこうという取り組みもなされているとか。

そのじゃんがら念仏踊りの太鼓をモチーフにした和菓子は、約5ミリ厚の生地であんこをはさんだもの。非常にずっしりとしています…。

ビスケットのような一面も
ビスケットのような一面も

明るいきつね色のまんまるは、なかなかの重量感です
明るいきつね色のまんまるは、なかなかの重量感です

水は一切使用せず、卵だけで小麦粉や全粉乳を練り上げたビスケット生地は、さくっとした軽やかさの中からすぐにしっとりとした部分が顔を出し、優しく温かな甘味やコクと相まってどこか懐かしい味わい。バターやマーガリンを使用していないので、後味もあっさり。その表面には職人さんが一枚一枚手作業ですり蜜を纏わせております。
機械化も検討したそうですが、繊細な模様は人の手でなくてはできなかったそう。仄かにひんやりとした甘味がアクセントとなり、しゃりっとした食感が華を添えています。

まんべんなく細やかに散らされたすり蜜はある種芸術品
まんべんなく細やかに散らされたすり蜜はある種芸術品

たっぷりと惜しげもなく挟んであるあんこは、北海道産大納言小豆を丁寧に炊き上げた粒餡。ある程度お日保ちのする和菓子でありながら、非常にあっさりとした甘味と小豆本来の粒立ちと食感を残した素朴さも魅力。

食べ応え抜群でもさらっと召し上がることができるので、休日の朝ごはんやブランチにもぴったりかと思います。

厚さは約2.3cmと食べ応えもばっちり
厚さは約2.3cmと食べ応えもばっちり

小豆そのものの味わいが非常に生きている甘さも控え目な粒餡
小豆そのものの味わいが非常に生きている甘さも控え目な粒餡

1949年の創業時から初代の方が考案し販売なさっていたじゃんがら。今でこそ多様化し、洋菓子の要素もあわせた和菓子が一般的になりつつありますが、約75年前から存在していたことに驚き。ハイカラな和菓子は高級だったことと思いますが、それでも今に至るまで愛されているというのは、じゃんがら念仏踊りの太鼓の如く、それだけ沢山の人のお腹と心に響いてきたということでしょうね。
きっと今年の夏も、沢山の方々が召し上がるのではないかなと思うのです。

最後までご覧いただきありがとうございました。

柳谷ナオ

<みよし・ラトブ店>
公式サイト(外部リンク)
福島県いわき市平谷川瀬1-11-3
0246-24-3443
9時~18時

和菓子ソムリエ・ライター

■年間400種を優に超える和菓子を頂く和菓子ソムリエ&ライター。美味しさだけではなく、職人さんやお店、その土地の魅力をいかに伝えるかに重きを置いて執筆中! ■製菓衛生士免許所持・製造・販売・百貨店勤務経験有 ■和菓子・お取り寄せ・お土産・アンテナショップ・都内物産展&催事・和菓子とお酒&珈琲&ノンアルコールとのペアリングなどの執筆や取材、監修を得意としています。

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