アメリカ政治の混迷は新たな時代を模索するエネルギーの発露だ
フーテン老人世直し録(239)
文月某日
アメリカ民主党の全国大会でヒラリー・クリントンが大統領候補指名受諾演説を行った。ドナルド・トランプを大統領候補に選出した先週の共和党大会は党の幹部らが軒並み欠席したのに対し、こちらはオバマ大統領夫妻をはじめ予備選を戦ったバーニー・サンダース、さらには共和党支持者らも登壇してヒラリーを讃え、オール・アメリカが女性大統領誕生を待ち望むかのような演出だった。
しかしそれでもバーニー・サンダース支持者の中にはヒラリーを嫌いその政治路線に根強い反発を見せる国民がいる。共和党だけでなく民主党の亀裂も覆い隠すことのできない現実が現在のアメリカ政治にはある。
それは我々にアメリカ政治の混迷と映るが、しかしアメリカの民主主義が衰退に向かっている訳ではない。むしろアメリカ政治が躓きを犯しながらも新たな段階に向けて模索するエネルギーの発露をフーテンは感ずる。
第二次安倍政権誕生以来、戦後最低の投票率を更新しながら選挙に燃えることがなくなった現在の日本政治と比較すれば、むしろ羨ましい気さえする。この日米政治の落差がどこから導き出されてくるのか、日本政治に何が不足なのかを考えてみる。
アメリカ政治には共和党が政権を連続する時代と民主党が連続する時代とがある。「冷戦」を終わらせたのは共和党のレーガン政権からブッシュ(父)政権に続く時代だった。政権から遠ざけられた民主党は労働組合や黒人、女性など弱者の立場に立つリベラル路線だけでは選挙に勝てないと考える。
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