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「ビクビク」しない「クヨクヨ」しない鋼の『マインドタフネス』2つの思考戦略

横山信弘経営コラムニスト
(写真:アフロ)

■ なぜタフなマインドが必要なのか?

私は企業の現場に入って目標を絶対達成させるコンサルタントだ。どんなに想定外のことがあっても目標を達成させなければならないと思っているので、常に感情のコントロールを大切にしている。

30年ほど前のことだ。私が19歳のとき、北海道の知床にある、小さなお土産屋でアルバイトをしていた。お土産屋の主力商品は「木彫りの熊」で、この置物が売れるたびに、店長がお客様の名前や日付を木彫りの裏に掘っていた。

私はいつも、その手際のよさに見とれ、あるとき、

「失敗したらどうするんですか」

と思わず聞いたことがある。「木彫りの熊」は、ひとつとして同じものはない。お客様は、鮭をくわえた熊をいくつも手に取って、いちばん気に入ったものを購入される。だから、

「間違えたので、別の商品で」

とは言えない。

そのときの店長は27歳。当時19歳の私にとっては、かなりの年上だが、いま考えると、27歳ならまだまだ若者だ。そんな若い店長が、私の無邪気な質問に対し、ぶっきらぼうにこう答えたのである。

「失敗はしない」

と。

私は、質問の仕方を間違えたのかと思い、

「いや、だから、名前とか日付を間違えて彫ったらどうするんですか、と聞いたんです」

もう一度尋ねたが、やはり店長の答えは同じだった。

「失敗はしない」

「だから、失敗したらどうするんですかって……」

「失敗しないんだよ」

表情を変えずに言う店長の横顔に、私は圧倒された。「もしも失敗したら」と一瞬でも思考ノイズが脳を横切ったら失敗してしまう、だから、失敗したときはどうすればいいのか、とは考えないということだ。

この店長は鋼のマインドを持っていた。そして実際に、私が知っているかぎりの期間、店長は名入れに失敗したことがなかった。絶対達成する場合も同じだ。目標が未達成することなど考えたことがない。そのようなタフなマインドが私たちには必要なのだ。

■「ビクビク」と「クヨクヨ」

私どもが考える絶対達成は、ビジネス上における目標の達成である。だから(決算期など)その期間において何度でも挑戦ができ、時間が許す限り失敗が許される。

1回限りの挑戦なら、今回の記事タイトルにある「ビクビク」や「クヨクヨ」はあるだろう。しかし何度でも挑戦できるのなら、そんな感情はコントロールしていきたい。何事にもビクビクしていたら失敗するが増えるし、クヨクヨしていたら次の挑戦ができない。

このように、絶対達成するには「ビクビク」「クヨクヨ」しないための思考戦略が重要だ。そうすれば知らぬ間に強靭でタフなマインド――『マインドタフネス』を持つことになる。

今回は、そう簡単にブレたり、折れたりしないマインドタフネスを手に入れるための2つの思考戦略について解説する。3年前に書き下ろした内容を完全リニューアルし、5,000字を超える大作記事として仕上げた。最後までぜひ、読んで実践してほしい。

■ ビクビクするとは?

それでは、まず「ビクビクする」とは、どういうことなのか。事例などを用いて、簡単に解説しよう。

これから起こる将来の具体的な出来事が不安で、心が落ち着かない状態を「ビクビクする」と表現する。

「明日はお客様の前で重要な商談だ。不安でしょうがない」

「仕事で大きなミスをした。明日の朝一番で部長に謝ろう」

高いところが嫌いな人はジェットコースターに乗る前や、バンジージャンプをする直前に「ビクビクする」ことだろう。想像するだけで不安になり、動悸が激しくなる感覚を覚える。

とくに、まったくの初めてのことなら不安な気持ちに襲われるのは仕方がない。

しかし、日ごろから繰り返し起こることに不安を覚えるようではストレスが貯まるというものだ。こんな自分を変えたい。もっと強くなりたいと誰もが思うことだろう。

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経営コラムニスト

企業の現場に入り、目標を「絶対達成」させるコンサルタント。最低でも目標を達成させる「予材管理」の理論を体系的に整理し、仕組みを構築した考案者として知られる。12年間で1000回以上の関連セミナーや講演、書籍やコラムを通じ「予材管理」の普及に力を注いできた。NTTドコモ、ソフトバンク、サントリーなどの大企業から中小企業にいたるまで、200社以上を支援した実績を持つ。最大のメディアは「メルマガ草創花伝」。4万人超の企業経営者、管理者が購読する。「絶対達成マインドのつくり方」「絶対達成バイブル」など「絶対達成」シリーズの著者であり、著書の多くは、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。

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