黒潮蛇行が大雪の一因か?
日本の南海上には、暖かく巨大な川のような黒潮(暖流)が流れています。
透明度高く、まわりより黒く見えるので黒潮と呼ばれていますが、この黒潮が天気に影響を与えていることは、あまり知られていません。
黒潮の流れ方は日本の南岸に沿って直進する場合と、グニャグニャと蛇行する二つのタイプがあって、数年おきにそれを繰り返しています。とくに10年に一回くらいの割で大蛇行するときもあり、それが日本の天気にも少なからず影響を与えるのです。
たとえば黒潮が蛇行すると、流れから取り残された冷水域が東海道沖にたまります。冷水域の上では空気が冷やされて、部分的な下降気流が起こるので、西からやってくる雨雲が、この部分で弱まってしまうこともあったりします。
黒潮自体は海水温の高い所ですから、水蒸気の補給役でもあり、近年は梅雨前線の活動と黒潮の関係も研究によって、明らかにされつつあります。
さて、そこで今回の東日本大雪です。もちろん直接の原因は、南岸を通過した低気圧です。この低気圧が、北の方から寒気を引っ張りこんだのは間違いありません。しかしそれに加えて、黒潮の蛇行も大雪の一因とは、考えられないでしょうか。
実は二年ほど前の2012年9月、鹿児島大学水産学部の中村啓彦准教授のグループが、黒潮の蛇行と東京の大雪の関係を調べ、発表しました。しかし、発表当時は黒潮が蛇行していなかったので、大きなニュースになることはありませんでした。
ところが昨年夏ごろから、気象庁の発表では黒潮の大蛇行が始まりました。
私はこのとき、大蛇行によって首都圏でも 大雪が降るのではと思いましたが、まさか、今回のような突出した豪雪になるとは思いもよりませんでした。
今回の大雪の原因は、まだ何がどうなのか定量的な調査が必要な段階ですが、ことによるとその一因に黒潮の蛇行もあったのではないかと考えています。
鹿児島大学(黒潮蛇行と大雪の関係)