保育実習を有意義にするために大切なこと~元男性保育士が教える【保育実習の準備で大切なことと心構え】
保育士や幼稚園教諭、保育教諭など子どもに関わる仕事に就くために学んでいる学生の皆さん、こんにちは。
元男性保育士のナイスです。
保育士や幼稚園教諭などの資格取得のために学校で学んでいる皆さんは、実習があると思います。数年間の学生生活の中で、実習に行けるのはほんの数回です。僕は学生時代に保育園実習2回、幼稚園実習2回、施設実習1回の計5回の実習を経験しましたが、思うように自分を出せずに終わってしまった苦い記憶があります。保育士になってからは、数多くの実習生をお迎えして指導をさせていただきました。
今回は自分自身の実習での失敗と実習指導の経験を踏まえ、現役学生の皆さんに実習の心構えをお伝えしたいと思います。
尚、「保育の指導実習は失敗できる貴重な機会~元男性保育士が教える【指導実習に大切な7つのポイント】」では指導実習のポイントを解説していますので、あわせてお読みください。
内容を参考にして、実習に役立ててもらえると嬉しいです。
実習前に保育の引き出しをできるだけ増やしておこう!
保育実習では、指導実習で主活動や丸1日の指導を担当する機会があります。指導実習ではなくても、ちょっとした時間に絵本を読んだり手遊びをしたりなど任せてもらえることもあるでしょう。そのときのために、子ども達と楽しみための引き出しをたくさん増やしておくことをおすすめします。実習が始まる間際に急に増やそうと思っても難しいので、普段の学生生活の中で意識していくとよいでしょう。
準備しておくと役に立つものを3つ紹介します。
実習前に準備しておくと便利なもの① 手遊びのレパートリー
絵本の読み聞かせの前などのちょっとした時間に、子ども達と楽しめる手遊びのレパートリーがたくさんあると安心です。手遊びは幅広い年齢で楽しめるものもありますが、未満児向け、年少や年中児向け、年長児向けなど年齢に合ったものもあるため、何歳児のクラスに入っても楽しめるよういろいろな年齢向けの手遊びをたくさん習得しておきましょう。
いざ、子ども達の前でやると緊張して間違えたり忘れたりすることもよくあるので、友だち同士で相手をし合いながら人前でやる経験をたくさん積んでおくのが効果的です。
実習前に準備しておくと便利なもの② 保育グッズ
保育グッズとは指人形やペープサート、カードなどの小物です。ポケットに入れておけるような小さなものがあると、急に振られたときや子ども達との自由遊びのときなどにサッと取り出して遊ぶことができます。実習の初日やクラスに入った日の朝など、実習では自己紹介や挨拶をする機会がありますが、ただ言葉で自己紹介するだけではなく自己紹介グッズを使って自己紹介をすると、子ども達をより惹きつけることができるでしょう。
実習前に準備しておくと便利なもの③ 絵本・紙芝居
実習中に読み聞かせをさせてもらう場合、事前に言われることが多いですが、突然振られることがあるかもしれません。初見で読むよりも、事前に目を通して練習しておくことが望ましいです。
各園には絵本や紙芝居がたくさんあり、借りて読み聞かせをすることもできます。園によっては家に持ち帰って練習させてもらえるところもありますが、持ち帰りは不可な園もあるでしょう。前日に貸してもらえても、日中の疲れや日誌の記入などでじっくりと練習するのは難しいです。そのため、普段から読み慣れた私物の絵本を持って行くことをおすすめします。私物ではなくても実習の少し前に図書館で借りて、実習までに繰り返し家で練習しておくとよいでしょう。
実習中の心構え10選
実習に行く前は学校で実習についての指導や実習先でのオリエンテーションで教えてもらったことを基に、しっかりと準備をしてください。教えてもらった内容は、確実に実行することが大切です。ここでは、実習中に大切な心構えを紹介します。学校や実習先で指導される内容と重複することが多いと思いますが、確認や補足として読んでください。
実習中の心構え① 時間を守る
時間を守ることは、基本中の基本です。遅刻することが絶対にないよう、十分注意してください。特に朝が苦手な人は要注意です。家から実習先が近ければ安心ですが、公共交通機関等を利用して通勤する人は、何かあってもよいように時間に余裕をもって交通機関を利用するようにしましょう。
園によっては、早番や遅番勤務を経験する機会もあります。出勤時間を勘違いしないよう、よく確認しておくことも必要です。
また、出勤時間に限らず「○時までやっておいて」など時間の指示があった場合も時間を守り、もし時間内に終わらなければ報告や相談をきちんと行いましょう。
実習中の心構え② 挨拶をしっかりする
挨拶も時間を守ることと同様、基本中の基本です。ただ挨拶をすればよいわけではありません。「先手で、明るく、笑顔で」行うことが大切です。実習中は緊張もあり普段の自分が出せないかもしれませんが、自分から明るく、笑顔で挨拶することを心がけましょう。
「おはようございます」「お疲れさまです」「ありがとうございます」「すみません」「お先に失礼します」などの日々の挨拶は、その都度心を込めてしてください。
特に大切なのは、実習生として園にお邪魔して指導していただいているという感謝や謙虚な気持ちです。朝は「おはようございます」だけではなく「今日も1日よろしくお願いします」、退勤するときは「お先に失礼します」だけではなく「今日も1日(ご指導)ありがとうございました」など一言付け加えると、その気持ちがしっかりと伝わります。
以前、園長や主任、担当者にはしっかりと挨拶をするのに、それ以外の職員への挨拶が疎かになっている実習生がいて気になったことがありました。そして、実習中は園のスタッフだけではなく、保護者や取引先の業者などスタッフ以外の人と会う機会もあります。園で会う人には誰にでも、分け隔てなく挨拶をしましょう。
また、元気のよい挨拶は気持ちがよいものですが、時と場合によります。午睡中やスタッフ同士で真剣な話をしている最中など、状況に応じて静かな挨拶をしたほうがよい場合もあるので注意しましょう。
実習中の心構え③ 返事をしっかりとする
挨拶と同時に、返事をしっかりとすることも大切です。何か仕事の指示や指導されたときに「はい」「承知いたしました」などの返事がないと、相手は「伝わったのか?伝わっていないのか?」「聞こえたのか?聞こえていないのか?」「理解できたのか?理解できていないのか?」と疑問に思うでしょう。話を聞くときは相手の目を見て真剣に聴き、返事をしっかりすることを忘れないでください。
実習中の心構え④ わからないことは積極的に質問する
実習生は、わからないことがあるのは当然ですが、スタッフが忙しそうにしていると聞きづらかったり「こんなことを聞いてもよいのかな?」と躊躇してしまったりすることもあるでしょう。しかし、わからないまま間違えたことをしたりせっかくの学ぶ機会に学ばずに実習を終えてしまったりするのは非常にもったいないことです。その場で聞きづらければ落ち着いた時間に聞くなどの配慮をしながら、わからないことは積極的に聞く姿勢をもって実習に臨んでください。
実習中の心構え⑤ 笑顔を絶やさない
無表情や不機嫌な表情をしている人より、明るい笑顔、優しい笑顔をしている人に好感をもつ人がほとんどです。笑顔は人を幸せにし、子ども達や保護者に安心感を与えることもできます。子ども達や保護者に媚びを売る必要はありませんが、好感をもってもらえるような笑顔が大切です。実習のときだけではなく、これからもずっと心がけましょう。
実習中の心構え⑥ 身だしなみをきちんとする
笑顔と同様、身だしなみも大切です。人を見かけで判断することはよいこととは言えませんが、見かけで判断する人は多くいます。服装には人それぞれ好みがありますが、実習はプライベートの時間ではありません。せっかく内面によいものを持っていても、清潔感がなかったり過激な髪形や服装をしたりしているために内面のよさが伝わらず、誤解されてしまうのはもったいないことです。好きなおしゃれはプライベートの時間に楽しみ、実習中(仕事中)は清潔感のある身だしなみを心がけましょう。
実習中の心構え⑦ 積極的に行動する
実習では何をやったらよいかわからないときや、やってよいのか迷うときがあると思います。わからないときは「何をしたらよいですか?」、やってみたいけどやってよいのか迷うときは「やってもよいですか?」などと質問するのが1番です。よかれと思ってやったことがよくなかった場合もあるので、基本的には自己判断でやらないほうがよいでしょう。
前述したとおり質問するのはとても大切で、積極的に質問することで相手に意欲が伝わります。しかし、なんでも聞くばかりではなく、自分で考えることやチャレンジしてみることも大切です。迷ったときは、ぜひやってみましょう。後から「やればよかった」と後悔しないよう、いろいろなチャレンジをしてみてください。
実習中の心構え⑧ 失敗を恐れない
やってよいか迷う気持ちの背景には、「失敗したらどうしよう」「注意されたら嫌だな」などのネガティブな気持ちがあるものです。しかし、失敗して初めて学べることもたくさんあります。果敢にやってみたことが失敗することもありますが、失敗をしない実習生はいません。もし、何も失敗をしなかったという人は失敗しないように無難に実習をこなしただけでしょう。実習生同様に、失敗をしない保育士や幼稚園教諭もいません。実習生のうちにたくさんの失敗を経験することが、後々必ず大きな力になることは間違いありません。
実習中の心構え⑨ 期限を守る
実習中は実習日誌などの提出物があります。オリエンテーションで提出期日についての指導があると思いますが、基本的に実習日誌は翌日の朝に提出しましょう。朝提出したくても担当の先生が遅番勤務だったり、保護者対応など忙しそうにしていたりするなど勤務状況によって出しにくいないことがあるかもしれません。万が一期限が守れなかったら、出せなかった理由とともにお詫びをしましょう。
指導実習の計画案などは、早めの提出がおすすめです。早めに提出することで、担当の先生は余裕をもって目を通すことができ、早めにフィードバックをもらえることで自身も余裕をもって改善や準備ができます。
実習中の心構え⑩ 体調管理をしっかりする
実習中は緊張感や慣れない仕事、子ども達と元気に遊ぶなどハードな毎日でクタクタになるでしょう。しかし、帰宅後も実習日誌の記入や指導案の作成、翌日の準備などやることはたくさんあり、睡眠時間も少なくなりがちです。肉体的にも精神的にもかなり疲労が溜まり、体調を崩しやすくなります。実習先で感染症が流行っていると、罹ってしまうこともあるでしょう。そのため、元気に実習を終えることができるよう体調管理はとても大切です。万が一、発熱など体調を崩したときは無理せず欠勤し、できるだけ早く体調を戻しましょう。
実習中の心構え⑪ 報告をしっかりする
何か仕事を指示された場合、終わったら「終わりました」の報告を忘れないでください。終わっても報告をしないと、相手は「もう終わったのか」「これからやるのか」など状況がわからず困ってしまいます。また、自分では終わったと思っていても先生から見るとまだ不十分なこともあるかもしれません。報告はとても大切です。
まとめ
保育実習に向けて準備しておくとよいものや、心構えについて解説しました。心構えはたくさんあり、大変だと感じたかもしれません。しかし、全て大切なことであり、実習生に限らず就職してからも必要なことばかりです。
ただし、前述したように失敗しない実習生はいません。失敗が許されるのも、実習生ならではと言えます。完璧を目指すよりも、失敗して当たり前の気持ちで少し力を抜いて臨むことも必要です。実り多い実習になることを、願っています。