【ランナーも果物を摂った方がいいの?】実は知られていない、果物のランニングへの効果
ダイエットのためにランニングを始めたという方は多いと思います。そしてランニングを習慣化すると、食生活が多少乱れても体型が維持できます。結果野菜や果物を食べず、ラーメンを食べてビールを飲んで、速く走るためにプロテインやBCAAを摂取する。そんなランナーを多く見かけます。プロテインやBCAAはもちろん効果はあるのですが、果物や野菜は摂らなくても大丈夫なのでしょうか。
1.日本人は野菜、特に果物が足りない!
農林水産省によると、日本人の平均の野菜摂取量は一日約280g(推奨される摂取量は一日350g)、果物の摂取量は一日約100g(推奨される摂取量は一日200g)で、特に果物は大きく足りていません。
さらにはランナーの多い40~59歳は、特に果物の摂取量が少ないようです。そして約半数は全く摂取していないようで、ランナーにも多くみかけます。周囲の人と同じようなものを食べているつもりでも、大きく不足している可能性があるのです。そんな不足がちな果物ですが、運動能力に大きな効果があるのです。
2.ポリフェノールは運動能力を向上する可能性がある
ポリフェノールと運動能力について、14編の文献をまとめた2017年の総説論文によると、7 日間のポリフェノール摂取によりパフォーマンスが1.90%向上するとのことでした。具体的な競技と食品で上げると、16.1kmの自転車のタイムトライアルにおいて、ブラックカラントエキス(ブルーベリーのような果実)で2.4%、ビーツ(カブのような根菜)で2.7%パフォーマンスが向上したとのことでした。
ブラックカラントについては、ランニングについても効果が研究されています。2015年のイギリスの研究で、ブラックカラントを7日間摂取すると、トレッドミルで疲労困憊するまで走った際の総距離が10.6%増加しました。これは間欠的なスプリント走行で、一般的な持久走とは異なりますが衝撃的な数字でしょう。では本来の持久走に近い研究をみてみましょう。
3.ランニングについてもよい効果が証明されている
2022年のイギリスの文献で、ハスカップを1日6g×7日間摂取して、5kmのタイムトライアルや疲労困憊となるまでのランニングを行っています。
結果、5kmのタイムトライアルタイムの速度が0.25km/時速くなり、タイムが20.9秒減少しました。また疲労困憊になるまでのランニング時間が20秒長くなりました。
ハスカップはアントシアニンというポリフェノールを含有しており、これがパフォーマンスに寄与したと考察されています。ハスカップ以外にもブルーベリーやナスにも多く含まれていますので、日頃から摂取してみてはいかがでしょうか。
他にも先述したビーツにも効果あるとされ、15 日間の摂取期間の前後にトレッドミルで疲労困憊するまでのランニングを行った文献もあります。ビーツを摂取する前が1173.0±87.1秒であったのに比べ、摂取後は1269.0±53.6秒と持久力の向上がみられました。プラセボでは向上がみられなかったので、ビーツの効果が実証されました。
4.果物は筋痛の予防効果も
そしてランニング能力の向上は証明されていませんが、例えばキウイ2個×1ケ月でランナーの抗酸化力が向上したという研究や、チェリージュースやビルベリージュースはランニング後の炎症や筋肉痛を和らげるという報告もあります。
「ランナーも果物を摂った方がいいの?」ランニングコーチをしていて、そんな質問を受けることがあります。果物は、ランニングのパフォーマンスのためにも、そしてランニング後の回復のためにも必要です。ランナーを含めて日本人は、摂取量が足りないどころか全く摂取していない方もいます。是非食生活を見直して、果物をしっかり摂取してみてはいかがでしょうか。