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Apple売上をグラフで見る、1〜3月iPhone持ち直すもMac・iPad振るわず

小久保重信ニューズフロントLLPパートナー
出所:独スタティスタ

米アップルは2023年1〜3月期も減収を予想している。主力の「iPhone」は中国での生産が通常体制に戻ったためいくらか持ち直すものの、先行き不透明な経済を背景にパソコンやタブレット端末が大幅減収になるとみている。

10〜12月期、約4年ぶり減収

同社が先ごろ発表した22年10〜12月期の決算は、売上高が前年同期比5.5%減の1171億5400万ドル(約15兆4400億円)、純利益が同13.4%減の299億9800万ドル(約3兆9500億円)だった。減収は19年以来、約4年ぶりだった。

アップルのティム・クックCEO(最高経営責任者)は決算説明会で、業績に影響を与えた要因として、(1)ドル高(2)中国での生産混乱によるiPhone 14 Proと同Pro Maxの供給制約(3)マクロ経済環境、の3つを挙げた(米CNBCの記事)。

これまで、同社の中核事業は他のテクノロジー大手と比べてレジリエンス(強じん性)があるといわれてきた。だがクックCEOは説明会で、インフレやウクライナでの戦争、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)などに触れ、「アップルもマクロ経済環境と無縁ではない」と述べた。「アップルができることを最大限に提供しながら、コントロールできないことには素早く適応している」(同氏)

iPhone 8%減、Mac 29%減、Apple Watchなど8%減

アップルの事業別売上高 2022年10〜12月期と前年同期(単位:10億ドル)出所:独スタティスタ
アップルの事業別売上高 2022年10〜12月期と前年同期(単位:10億ドル)出所:独スタティスタ

22年10〜12月期のiPhoneの売上高は、657億7500万ドル(約8兆6700億円)で、前年同期から8.2%減少した。クックCEOは中国でのロックダウン(都市封鎖)について、二重の打撃があったと説明した。1つは台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業の中国・鄭州工場(河南省鄭州市)での混乱による供給制約。もう1つは、中国市場の需要減(ロイター通信)。

22年10〜12月期におけるアップルの中国(台湾・香港を含む)売上高は、前年同期比7.3%減の239億500万ドル(約3兆1500億円)だった。

また、パソコン「Mac」の同四半期売上高は同28.7%減の77億3500万ドル(約1兆200億円)、腕時計型端末「Apple Watch」などを含む周辺機器は同8.3%減の134億8200万ドル(約1兆7800億円)だった。

アップル製機器、20億台突破、サービス過去最高を更新

しかし、明るいニュースもある。タブレット端末「iPad」の売上高が前年同期比29.6%増の93億9600万ドル(約1兆2400億円)となり、Macを上回った。

また、同社は、アクティブデバイスの数が20億台を突破したことを明らかにした。これはiPhoneやMac、iPad、Apple Watchなどの世界で稼働中のアップル製機器の数だ。22年1月時点の18億台から11%増加した。

CNBCによると、これは世界におけるアップルの顧客基盤を示すもので、投資家にとって重要な数値だという。これを基にサービスや製品を通じて一層の収益化につなげられる可能性がある。

22年10〜12月期におけるアップルのサービス売上高は、207億6600万ドル(約2兆7400億円)で、前年同期から6.4%増加。四半期ベースで過去最高を更新した。アプリストアや音楽・ゲーム・動画配信などのサービス事業はアップルの全売上高の約2割を占めており、今やiPhoneに次ぐ事業規模になっている。

CNBCによると、アップルは20年から新型コロナウイルスの感染拡大を理由に業績予想(ガイダンス)を出していない。しかし同社のルカ・マエストリCFO(最高財務責任者)は23年1〜3月期についていくつかのデータを示した。

それによると、全体の売上高は引き続き減少基調だという。MacとiPadはそれぞれ2桁の減収を見込む。iPhoneも引き続き減収となるが、落ち込みは22年10〜12月に比べ小幅にとどまる見通しだ。その一方でサービス部門は増収が見込めるとしている。

  • (本コラム記事は「JBpress Digital Innovation Review」2023年2月7日号に掲載された記事を基にその後の最新情報を加えて再編集したものです)

ニューズフロントLLPパートナー

同時通訳者・翻訳者を経て1998年に日経BP社のウェブサイトで海外IT記事を執筆。2000年に株式会社ニューズフロント(現ニューズフロントLLP)を共同設立し、海外ニュース速報事業を統括。現在は同LLPパートナーとして活動し、日経クロステックの「US NEWSの裏を読む」やJBpress『IT最前線』で解説記事執筆中。連載にダイヤモンド社DCS『月刊アマゾン』もある。19〜20年には日経ビジネス電子版「シリコンバレー支局ダイジェスト」を担当。22年後半から、日経テックフォーサイトで学術機関の研究成果記事を担当。書籍は『ITビッグ4の描く未来』(日経BP社刊)など。

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