8月の台風発生件数は平年値とほぼ同じ!台風のメカニズムと断面図も紹介
8月も残すところ10日ばかりとなりましたが、今月に入り台風がいつもより多く発生しているイメージがありませんか?
本日19日午前3時に台風9号「ジョンダリ」が発生しました。東北を横断した台風5号から、お盆を直撃し観光地や帰省客に大きな影響を与えた台風7号など、台風関連のニュースが集中していますよね。
しかし、8月の台風は特に多い訳ではないようです。
そこで今回は、8月に発生する台風の平均値と実際の件数を紹介するとともに、台風が発生するメカニズムおよび、オリジナルの断面図も紹介します。
日本気象協会では8月の台風は平年並みか少ないと予想
上記は日本気象協会(tenki.jp)が8月2日に公開した、2024年8月から10月にかけての台風の見通しを解析したグラフです。
このグラフを見ると8月の台風の発生数は平均5.7個であり、予想数は3~6個です。
8月19日時点で台風9号が発生し、8月での台風発生件数は4個となりました。今後10日ほどで、どれだけの台風が発生するかは未知ですが、現状気象協会の予想は当たっているといえるでしょう。
そのため、台風が多いイメージがありますが、実際は平均よりも少ないのが現状です。
海面水温は30度と高いため安心はできない
これは気象庁が公開している8月18日時点の「日別海面水温解析図」です。
台風がよく発生する日本の南に位置する海面の温度は、ピンク色の30度と高い状況を保っています。
そのため今後10日ほどで、連続して台風が発生することは否定できません。今のところ平年よりも少ない発生件数となっていますが、安心はできませんね。
今後も天気予報や気象庁からの情報に、アンテナを傾けておきましょう。
台風が発生するメカニズムを解説
先に「海面水温が30度と高いため安心できない」と解説していますが、ここで台風が発生するメカニズムを紹介します。
筆者は気象予報士ではありませんが、防災士として専門家の指導を受けているため、そのときの講義を元にイラストを作成しました。
台風が発生するのは、日本の南に位置する赤道付近の海の上です。一般的に台風は、海面水温が26~27度の海域で発生するといわれています。
そのため、海面の温度が30度と高ければ台風が発生する確率は高くなる訳です。
1.太陽光によって海面が温められ水蒸気が大量発生し、海面に空気の渦が発生します。
2.空気の渦から上昇気流が発生し熱を放出して、上昇気流がさらに強くなります。
3.水蒸気を含む空気がどんどん集まって熱帯低気圧が発生!
その後熱帯低気圧が発達すると、台風の目ができはじめ台風へと成長していきます。
台風の断面図で構造を解説!台風の目は直径20~200kmにもおよぶ
ここでは以前筆者が作成した台風の断面図を使って、構造を説明していきましょう。
「台風の目」はみなさんご存じの通りで、この目のなかでは穏やかな天候で、雨もほとんど降らず青空が見えることも多いです。
この台風の目は勢力によって異なりますが、直径は20~200kmにもおよびます。
それだけ台風自体の大きさが、巨大である証ともいえるでしょう。台風の目の周囲にはアイウォール(eyewal)と呼ばれる、分厚い積乱雲の壁が存在します。
スパイラルバンドによって豪雨が起きる
アイウォールの外側にはスパイラルバンドが発生し、この雨雲の下では豪雨となります。
アウターバンドはスパイラルバンドの外側
スパイラルバンドの外側には約200~600kmの位置に、アウターバンドと呼ばれる雨雲が存在します。
この雨雲の下では、断続的に激しい雨が降り落雷も発生。ときには、竜巻を起こすこともあります。
これらの全てを総称して台風と呼んでおり、台風がいかに巨大なものであるかが分かります。
自然が作り出す台風は複雑な構造!
断面図を見ても分かりづらいかもしれませんが、台風では風が複雑な動きをしているのです。
台風が発生し維持するには上昇気流が欠かせませんが、台風の目の上空では下降気流が発生しています。
また、地球の自転によって台風は半時計回りに回転しますが、台風の上部ではアイウォールの中をらせん状に上昇してきた空気が、時計回りに吹き出します。
このように、台風を細かくみていくと複雑な構造になっていることが分かります。
元はただの水蒸気ですが、多く集まればこうも複雑な台風を誕生させるのですから、自然の力には驚きますね。