安倍政権が続く限り戦争状態は終わらない
フーテン老人世直し録(129)
睦月某日
2人の日本人が「イスラム国」から殺害を予告された事件は、既に1人が犠牲となり、2人目も生命の危機にさらされている。残念ではあるが想定された通りの展開となった。そしてそれは安倍政権が昨年末から想定してきた展開でもある。
日本人が「イスラム国」に拘束されている事を知りながら、アメリカの「テロとの戦い」に参加する強固な意思を表明するため、年の初めに安倍総理の中東訪問は組まれ、安倍総理は「積極的平和主義」の名の下に「イスラム国」を挑発した。
これを見て、安倍総理の言う「積極的平和主義」とは、アメリカと同様に世界を正義と悪の二つに分類し、悪を倒す戦いにはいかなる犠牲も厭わずに参加するという方針である。そしてそこにはすべての戦いを否定してきた戦後日本の平和主義から日本人を脱却させる狙いがある。
その狙いは成功するのか。現在の日本は、戦後70年続けてきた路線を転換するかどうかの岐路に立たされている。日本のメディアはその点を全く指摘しないが、安倍政権の狙いを正確に読み取っているのはむしろ「イスラム国」の方である。
「イスラム国」は、アメリカに従属して自分たちへの敵意を露わにした安倍政権に照準を合わせ、日本国民に呼びかけて安倍政権の狙いを阻止しようとしている。「イスラム国」が最初にインターネット上に公開した動画は、日本人人質の殺害予告の前に安倍総理のエジプトでの演説ビデオを流し、殺害の原因は安倍総理にある事を明示した。
そして安倍総理が「イスラム国」に敵対する国への支援として表明した2億ドルと同額の身代金要求を安倍政権が受け入れるよう日本国民に圧力を促した。これにすぐさまアメリカが反応する。アメリカにとって日本政府が要求を飲んで人質が解放されるのは最悪である。日本国民にテロリストの暴虐さを見せつけ、テロとの戦いに日本を積極参加させて肩代わりさせようとするアメリカの狙いが外れる事になるからだ。
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