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ネット上では賛否両論?リクナビの新機能「OpenES」使用上の注意点

酒井一樹就活SWOT代表

就職ナビサイト最大手のリクナビが「OpenES」という機能を今年から導入しています。「地獄のミサワ」を起用したテレビCMも、色々な意味で話題になりましたね。

コンセプトは、自分の履歴書・エントリーシートをOpenESに登録しておくことで、OpenESを利用する様々な企業に簡単にエントリーできるようになるということ。

つまり「エントリーシートのフォーマットが企業ごとに違うと、いちいち書いたり印刷したり、大変ですよね?だから統一します!」という事ですね。

リクルートキャリアから出ているプレスリリースによると、

人物重視の採用を実現するために、2000年以降広く使われるようになった「エントリーシート(以下ES)」。今では、企業の89%がESや履歴書を使った書類選考を実施し、学生の75.6%が経験。平均22社に提出をしています(出典:就職白書2013)。自らの魅力を伝えられる大切なES。しかし、実に8割の学生がESの作成/提出に負担を感じたと回答しています。手書きだと、1社当たりおよそ2時間かかっており、多くの時間を費やしていることが分かります(2013年リクルートキャリア調べ)。そこで、ESや履歴書をWeb化することで、共通化できる部分を予め登録し、企業に提出できる『OpenES』を開発しました。記入・提出の負担を軽減することでできた時間を、企業・業界研究やOBOG訪問、セミナー参加などにあてることができ、他者からの紹介文やPR写真などもっと自分らしさが伝えられる仕組みを実現することで、企業と学生の相互理解を深めることを目的としています。

出典:http://www.recruitcareer.co.jp/news/old/2013/131105_01/

効率化できる点を効率化すれば、もっと他に注力すべき点に時間を使うことができる…この点は、大変共感できるポイントですし、そうすべきだと思います。

画像

リクルートが共通化するのは氏名や住所、学歴、特技趣味といった基本情報に加え、大学で学んだ内容や自己PRなど。2015年3月に卒業予定の大学3年生や大学院1年生などから使えるようにする。リクナビ上で一度記入しておけば、このESを利用する企業ならば、どの企業に応募しても同じ内容が自動的に送付される。

出典:http://www.nikkei.com/article/DGXDASDD150M9_V11C13A0TJ0000/

2013年12月現在、リクナビ掲載企業の1/3が導入しているようです。(リクナビの公式Twitterより)

一見非常に良い機能なのですが、このことで今、ネット上では賛否両論巻き起こっている様子です。

>>リクナビ2015で新たに導入されたOpenESの「紹介文」って・・・

>>就職ナビに頼りすぎない就活を&OpenESに注意!

上記では様々な方が本サービスについてTwitter上で言及した内容が記載されています。

主な論点としては「就活生の負担を減らすはずが、紹介文を求めるなど逆に負担増になっている」という点などが問題になっているようです。「紹介文」は必須項目ではありませんが、「書いてもらわないと企業から見てマイナス評価になるのでは?」と心配する学生は当然多いでしょうし、心理的な負担はあるかもしれません。

新しく導入された機能だけに、まずはどんな機能であるかをご説明できればと思います。

【よくありそうな疑問】

どんな情報を入力すればいいの?

リクナビからのプレスリリースによると、下記のようになっています。

'''<共通項目>

1)基本情報

2)資格・趣味など

3)学業、ゼミなどで取り組んだ内容

4)自己PR・PR写真

5)学生時代に最も打ち込んだこと・PR写真

6)プロフィール写真

8)紹介文

<各企業の独自項目>

7)追加質問(最大3問)

<その他>

9)管理用バーコード

10)OpenES表示用名称'''

(すべてが入力必須というわけではありません。4、5、8は自由記入のようです。)

これらのデータは、随時編集することが可能です。企業に提出した後に取り消すことはできませんが、企業によっては「再提出」による訂正を可能にされている場合もあるそうです。

いつまでに入力しておけばいいの?

OpenESの説明によると、「企業からエントリーシートの提出を求められるタイミングまでに準備しておけば大丈夫」とのことです。

具体的には1月以降となるようですので、12月は対策に時間を使うことができそうです。

なお、エントリーシートの対策方法についてはこちらの記事などをご覧ください。

関連:エントリーシート自動添削機能・文字カウント機能

…と思いましたが、12月前半の現時点で説明会予約のためにOpenESを求めている企業もあるようです。

「選考で説明会に出られるか決まる」というケースもあるようです。

リクナビからエントリーしていないとOpenESは使えないの?

リクナビ以外からエントリーをしても、その企業がe-mailなどで提出依頼を送信してきた場合、OpenESを提出することが可能です。

出典:https://open-es.com/media/help/faq.html

リクナビからエントリーしていなくても、企業側がOpenESの利用を要求してきた場合には、OpenESは利用できるようです。(逆に言えば、リクナビからエントリーしていないにも関わらずOpenESの利用を求められる可能性もあるということです。)

紹介文って何を書いてもらうの?

400字以内の紹介文に加えて、紹介者の所属(必須)、肩書(任意)、連絡先電話番号(任意)、連絡先e-mail(必須)、写真(任意)が求められるそうです。

紹介者のメールアドレスは、依頼時に就活生が記載したe-mailが自動入力されるそうです。

なお、紹介文は1企業のエントリーに対して最大2名分まで載せることができるそうです。掲載できる紹介文がない場合は、紹介文無しのまま送信することも出来ます。(せっかく紹介文を書いてもらっても、掲載するよう設定しないと企業には送信されないので注意が必要です)

紹介文を書いてもらうには、どう言って頼めばいいの?

OpenESの公式サイトで、紹介文依頼のメール文例が公開されています。

ただしこれは個人的な意見ですが、この文例そのまま全部コピーしてきた学生がいたら、私はその学生の紹介文を書かないと思います。理由は、「注意点」の方に後述します。

(上記の文例がダメということではなく、「自分の言葉で依頼していないからダメ」という事です。)

【導入されることによるメリットは?】

インターネット上では賛否両論でありますが、個人的には導入によるメリットもあると思っています。

◎メリット:「紹介文をもらう」という作業は、確かに自己分析になる。

ネット上では批判されていますが、「他者から紹介文をもらう」という作業は、確かに自己分析の手がかりになります。これは就活においては「他己分析」と呼ばれるもので、これまでにエンジャパンの [en]学生の就職情報やJOBRASSなどの就活サイトでは、他己分析のための機能が提供されていました。

自分だけで考えるのではなく、友人や知人、恋人、親などに聞いて答えを探すのも自己分析です(厳密には他己分析ですが)。

出典:「自己分析の必要性」

参考1:5分で自己分析ができる!エンジャパンの無料適正診断テスト

参考2:JOBRASS、Facebookで「自己診断」と「他己診断」できるアプリを発表

◎メリット:紙の履歴書が減るなら、手間とコストは確かに軽減される

エントリーシートというよりは「履歴書」の話になるのですが、

紙の履歴書では、証明写真を添付する必要があり、手間もかかればお金もかかります。

関連:就活で履歴書を『手書き』にするのは、有利か不利か?

残念ながら、OpenESに参画していても別途履歴書や個別のエントリーシートを課す企業はある(かもしれない)ようですが、多少なりともその手間が減るという意味では、非常に良い取り組みなのではないでしょうか。

(企業の人事担当者様には「OpenESに参画しておきながら履歴書の別途提出を求めるのは矛盾だ」という事を認識していただければと個人的には思います。)

ある程度、フォーマットが統一されるのは良いことですが、企業によって個別設問が設けられることはあるので、今までのウェブエントリー機能と比較して手間はあまり減らないという可能性もあります。

【注意が必要な点】

以上、まずはメリットを書いてみましたが、以下では注意しておいた方が良さそうな点を解説します。公式サイトのFAQと重複する部分もありますが、サービスの大枠・性質を知るための参考にしてください。

◎注意点:フォーマットが統一されても、ESは毎回改善・カスタマイズするべき。

手軽にES提出できるようになる事は良いのですが、「同じESを気軽に提出しまくった結果、お祈りメールの山ができる」危険があります。

従来のように企業ごとにES設問やフォーマットが異なっていた時期は、1つ1つESを書き上げるのは大変だったかもしれません。

その代わり、1つ1つ書くごとに「この部分はこう書いた方が良いな」と気づいたりしながら、ブラッシュアップしていく事が可能だったとも言えるでしょう。

関連:PDCAサイクルを回し就活中に急成長する方法

つまり、「落ちるレベルのES」を複数企業へ一気に送ってしまうような事はありませんでした。

これは過去からある一括エントリーやブックマークができる機能のES版であって、結果的にたくさんのエントリーができるようになるだけで、決して就活が楽になるものではないと思います。当然その書いた1枚がイケてない内容なら、全部一斉に落ちることだってあり得ます。

Open ESが定着すると、今度はOpen ESマニュアルみたいな本なりサイトが出てきそうで、この「質の高い人だけ取りたい採用企業」、「採用効率を上げて利益を上げたい採用支援業者」、「たくさんエントリーする就活生」の三者のいたちごっこは続きそうです。

出典:http://diamond.jp/articles/-/45656

OpenESを導入する企業なら気軽にエントリーできるかもしれませんが、その結果、一気にES不合格が届く可能性もあります。

FAQによると「一度提出をしたOpenESを取り消すことはできません」と記載されていますので、送信ボタンを押す前には十分に注意をした方が良いでしょう。(これは、従来のウェブエントリーにおいても同様ですが)

一度、提出するとその内容は変更することはできません。OpenESで登録情報を変更しても、反映されませんので、ご注意ください。

ただし、企業が再提出を許可しており、かつ提出締め切りが過ぎていない場合は、再度提出をし直すことができます。

出典:https://open-es.com/media/help/faq.html#e

また、企業によって自己PR内容を変える方が良い場合もあるのですが、その際に別企業に送る内容を間違って送ってしまわないように、十分注意すべきでしょう。

◎注意点:写真はちゃんと撮りましょう。

そんなこと当たり前ではないか…と思われるかもしれませんが、実際Yahoo!知恵袋でこんなやりとりを見つけました。

リクナビのopen esの証明写真?顔写真?はどのようなものを送ればいいのですか?携帯のカメラ機能とかを使うのですか?

間違っても、私服の写真や、自分撮りした写真、プリクラ…など、そういった写真を使うのはやめましょう。

特に女性は、写真館などに行って撮ってもらう方が良いでしょう。

これは別に顔が重要などというわけではなく、メイク、撮影環境などによって写真の印象が大きく変わるためです。

就活中の化粧については、こちらの記事もご覧ください。

◎注意点:企業によっては「紙の履歴書」や、「独自エントリーシートの提出」が別途必要になることがある。

企業によっては「履歴書」としてOpenESを使う場合は、別途「エントリーシート」を求めたり、「エントリーシート」として使う場合は別途「履歴書」を求めるケースもあります。

この部分が徹底されていないのは少し残念ですが、OpenES参画企業のスタンス次第では、別途エントリーシートや紙の履歴書も必要になるようです。

◎注意点:教授や職員(キャリアセンター・就職課)への紹介文依頼は控えよう

リクナビ自ら、大学の教授や職員に「紹介文を依頼」することは非推奨としています。

紹介文は自分のことをよく知っている人に書いてもらうことが大切です。大学推薦や教授推薦とは異なるため、原則、教授や職員(キャリアセンター・就職課)への依頼は控えましょう。

出典:https://open-es.com/media/help/request.html

現実的なラインとしては、大学の友人や先輩、OB訪問や就活イベントで話した社会人、バイトやインターン先の社員、家族…などでしょうか。

(OB訪問をたくさん受ける社会人の方は、大変そうですね。)社会人からの紹介文ではなくとも良いそうです。

この「紹介文」機能が、ネット上ではかなり批判されているようです。確かに紹介文を依頼された社会人からすると、面倒に思うこともあるかもしれませんね。

なお、注意点とは少し違うのですが、Twitterではこんな指摘もありました。(問題視された場合、今後対策される可能性はあるかもしれません)

リクナビのOPEN ESの紹介文機能だけど、紹介文を依頼した人に届くメールを転送すると、他の人でも紹介文を入力できることが発覚。なので、紹介者と結託すれば、自作自演も可能。まあ、ESでの詐称はよくあることではあるが、これ、システムとして穴だらけじゃないか。

出典:http://twitter.com/yoheitsunemi/status/409625585754046464

確かに紹介文を書いてもらうのは面倒ではありますが、自作自演をするとバレてしまった場合のリスクが高いので、やめておきましょう。

ちなみに就活SWOTでは、月10名限定ですが「キャリアカウンセリングと紹介文作成依頼」を無料で引き受けることにしました。就活SWOTユーザーで新宿オフィスまで来られる方だけになってしまうのですが、興味のある方は是非。(後日、ユーザー向けのメールマガジン内で告知いたします)

◎注意点:「どのメールアドレスに依頼を送っていいか」は紹介者に事前確認を。

これはOpenESサイト上にも書かれていますが、前述の通り「紹介文を書く方のメールアドレス」は紹介者側で変更ができないようです。だからこそ、どのメールアドレスに依頼メールを送れば良いか、事前に聞いておく方が無難でしょう。

例えば大企業に勤務されている方の場合は、社内規程の都合上、不用意にそういった場に個人情報を入力できないケースもあるかもしれません。あるいは、個人で利用しているアドレスにしても「このメールアドレスは友人にしか教えていないから使いたくない」と思われる事があるかもしれませんね。

紹介文を書いた方のメールアドレス・電話番号などは企業側に開示されるようです。サンプル画像(採用企業側もある程度はモラルはあると思われますが、共有された社会人のメールアドレス宛に自社サービスの営業を…なんて事をする企業が出ないよう祈ります)社会人視点では、入力した自分情報がどこのどんな企業に送信されるかまではわからないという点は注意すべき点だと思います。

そういった事に配慮するために、正式な依頼メールを送る前に「送って良いメールアドレス」を確認するようにしましょう。

(OpenESに掲載されているメール文例では、依頼内容と入力ページのURLが同じメールに記載されてしまっています)

◎注意点:「依頼メール文例」のコピペは厳禁!

当たり前のことなのですが、OpenESが公開している「依頼メール文例」をそのまま使うのは絶対にやめておきましょう。

メール文例のページを閲覧していない社会人でも、複数の学生から同じ文面で紹介文の依頼が来たら「あれ?みんな同じ文面で依頼してくるんだけどなんでだろう…?」と不信に思い、薄々「コピペ」であることを感付かれるでしょう。

内容は上記ページを参考にするにしても、ちゃんと自分の言葉で、誠意を持って依頼メールを書くようにしましょう。

「そんなバカな事する学生いるの?」と言われそうですが、念のため書いておきます。

◎注意点:1社あたりの応募学生数は今までより増加?

これについては蓋を開けてみなければわかりませんが、エントリーしやすくなるということは、1つの企業に対して応募する学生が増えるということです。可能性として、競争率は上がってしまう可能性があります。

これは業界関係者に聞いた話ですが、学生1名あたりのエントリー企業数は、現時点で昨年と比較して多くなっているようです。(リクナビの話ではありません。)

また、こんな意見もありました。

リクナビ2015のオープンESで学歴フィルターはますます加速する。

学生側はES提出が楽になるかもしれませんが、人事が「目視で読めるESの量」は変わりません。すなわち、学生1人あたりの「ESを読んで貰える時間」は減ってしまう可能性が高いでしょう。結果として、データマッチングによる選別は進むかもしれません。

対抗策としては、ネット上で他の方も書いていることですが「個別企業の採用HPからエントリーする」というのが1つの選択肢かもしれません。他の学生が殺到するところに自分も殺到するのではなく、「他のルートから行った方が効率的にならないか?」という程度の考えは頭の片隅に入れておきましょう。他の多くの学生が見ていない場所にこそ、チャンスがあるものです。

(なお、学歴によるマッチングとは少し違うのですが、こんなニュースもありました。)

三菱商事や富士通など大手企業が2015年3月卒の採用活動で「学業成績」をより重視する。14年1月以降、エントリーシートに加え成績書も提出させ選考材料の一つとする。これまでは部活動などを重視する一方、大学ごとに異なる成績は客観評価が難しいために積極的に活用していなかった。授業への取り組み姿勢などを評価し優秀な学生の採用につなげる。

出典:http://www.nikkei.com/article/DGXNASDD280WQ_X01C13A2MM8000/

就活SWOT代表

慶應義塾大学在学中、世界初の就活SNSの代表に就任。国内最大の就活SNSへと成長させた後に大学を卒業し、エグゼクティブサーチを行う人材ベンチャーに入社。役員・事業責任者などの幹部人材の採用支援に携わる。2009年にエイリストを設立し「自分の頭で考え、行動する人材を増やす事」を命題として就職情報サイト「就活SWOT」を開設。

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