「プロゴルファーのようにスイングしたい!」解剖学の「5度」が示す下半身リードの注意点
理想のスイングを表すものの一つに「下半身リード」が挙げられる。バックスイングからの切り返し以降、腰の回転に、上半身や腕、クラブが連動してインパクトへと向かう、ツアー選手のダウンスイングに憧れているゴルファーは多いのではないだろうか。
ただ、この下半身リードは、技術面と健康面で危うさがある。腰(腰椎)の可動域は解剖学上5~10度程度。やり方次第では、スイングバランスを崩すことにつながる上に、可動域が小さい腰を無理に回すことになり、腰を痛めてしまう場合がある。
意識すべきは「回転」だけではない
まず、ダウンスイングの輪郭をとらえておこう。
体を回転させる力、右足から体重をシフトさせる力、上下に地面を押す力、これら「回転」「左右」「上下」3つの力の大きさと、そのバランスがゴルフスイングに大きな影響を与える。
腰を先に回転させることを目指す場合、その回転だけをイメージしても、思うような回転にはならないし、クラブは良い動きをしない。
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可動域「5度」
腰の可動域は5~10度程度。一方、胸(胸椎)の可動域は35~40度程度。つまり、理想的な下半身リードは、腰ではなく、胸が捻じれている状態だ。
胸の可動域が小さければ、下半身リードは不可能。胸まわりの柔軟性がないゴルファーは下半身リードの度合いを強めようとし過ぎないように注意したい。
現状の胸の可動域を無視して、やみくもに腰を回すと、スイングバランスを崩しやすくなる。さらに、胸が回らない分を腰で補おうとしてしまいやすくなる。人体の構造上少ししか回らない腰を大きく回すとどうなるか。腰痛発生だ。
男性よりも女性の方が、年齢は若い方が、比較的、柔軟性がある傾向だ。ということは、日ごろからフィジカルのケアをしている、若手女子プロの下半身リードのスイングを、一般男性が真似ようとするのは危うさがある。
胸の回旋可動域にあった、下半身リードを心がけたい。
下半身だけの問題ではない
下半身リードうんぬんの問題は、下半身だけが問題ではない。上半身も含めたスイング全体の問題だ。例えば、グリップも下半身リードに関係してくる。
インパクトの意識を抑え、クラブの重みを感じながら、リズミカルにテンポよくスイングできると、ある程度、下半身リードのスイングになるはず。
理想的な運動(スイング)の流れは下半身リードだが、そこだけにフォーカスして形を作ろうとしない方が良いだろう。
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