実力者も保険が無いと踏み出せない?日本女子ゴルフ選手の米ツアー挑戦を後押ししているものとは
日本ツアーで経験と実績を積み重ねても、そうは簡単に行かないのが米ツアーである。
多くの選手が「将来は米ツアー」と口にするものの、米ツアー予選会挑戦など、そこまで多くの選手が行動に移しているわけではない。
仮に米ツアー出場資格を獲得し1年で撤退となったとする。そうなった時、次の年からスムーズに日本のツアーに復帰できるか、自分の居場所があるか、といえば、それはわからない。
日本ツアーの恵まれた環境を捨ててまでリスクをとる気になれない選手が多いと、推察される。
ただ、そんな選手でも、‟あれば米ツアー挑戦に前向きになれる”ものがある。日本ツアーに復帰してからも使える日本ツアーのシード権である。
日本人選手の米ツアールーキーの成績
2023年以降に米ツアーに主戦場を移した選手の、米ツアールーキーイヤー(現時点)と、前年の日本での、獲得賞金と賞金ランキングを比較すると、日本と比べた場合の米ツアーのハードさが見えてくる。
西村優菜、勝みなみ、吉田優利、西郷真央が、2023年以降に米ツアーに主戦場を移したが、周囲が期待する成績をあげた、と言えるのは、1ドル150円換算で2億3千万円を稼いでいる西郷真央だけである。
2023年以降米ツアーデビュー組4名の賞金ランキング
西村優菜(2023年から米ツアー)
2022年 日本(30試合):1億4915万8595円(2位)
2023年 米国(25試合):61万557ドル(47位)
勝みなみ(2023年から米ツアー)
2022年 日本(34試合):1億3677万6675円(4位)
2023年 米国(23試合):40万3889ドル(71位)
吉田優利(2024年から米ツアー)
2023年 日本(34試合):9716万5228円(8位)
2024年 米国(14試合):9万3588ドル(132位)
西郷真央(2024年から米ツアー)
2023年 日本(23試合):6775万4742円(18位)
2024年 米国(26試合):152万7966ドル(15位)
米ツアーで戦う選手の多くは日本ツアー複数年シード所有者
国内メジャーで優勝したり、年間ポイントランキングで1位になれば、‟任意の年から行使できる3年のシード権”を得られる。
また、同一年に2回国内メジャーで優勝したり、国内メジャー優勝と年間ポイントランキング1位をダブルで獲得すれば、5年シードを得られる。
現在、米ツアーを主戦場にしている多くの選手は、このような複数年シード権を持っている。
シード権がなくても挑戦する選手がいる
先に挙げた2023年以降の米ツアーデビュー組の中では、西郷だけ日本ツアーでのシード権を持っていない。
また、今年も、日本ツアーから米ツアーに主戦場を移すべく、来季の出場資格をかけた最終予選会に挑戦する選手がいるが、その中で、岩井明愛、千怜姉妹は2人とも任意の年から行使できるシード権を持っていない中での挑戦となる。
岩井姉妹の他に、山下美夢有、原英莉花が最終予選会に挑戦するが、山下は、2032年が行使可能期限となる5年シードと、2033年が行使可能期限となる5年シードを持っている。
原は、2031年が行使可能期限となる5年シードと、2033年が行使可能期限となる3年シードを持っている。
日米共催のTOTOジャパンクラックでは竹田麗央が優勝し、来季、米ツアールーキーとして戦うこととなった。
12月に行われる最終予選組から何名、竹田とともに主戦場を米ツアーに移すことになるのだろうか。
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